★ ドラマ「遺留捜査」(2021)の第7話には「闇バイト」が登場する。
★ 廃業したキャバレーで男性の刺殺体が発見される。男性はあるヤクザ組織の幹部だが、実は潜入捜査をしている警察官だった。その組織は特殊詐欺に関わっているらしい。
★ 今、一人の若者が「闇バイト」に応募している。どうやら強盗をするようだ。その手口(調査グループが押し込み先を調べ、実行グループが強盗する)が最近流行りの事件と類似している。(ニセ警官が後始末をするところは違っているが)
★ 上川隆也さん演じる糸村刑事は、遺留品の「石」に注目し、真相に迫る(犯人は意外な人物だった)。最後は親子愛にほろっとさせられる。「闇バイト」とは、このドラマに先見の明があったのか。
★ さて今日は、髙村薫さんの「地を這う虫」(文春文庫)から「父が来た道」を読んだ。副総理まで務める政界のドンの運転手が主人公。
★ 政界のドンも最初からその地位にあったわけではない。魑魅魍魎蠢く政界の中で権謀術策を駆使し、ここまで上り詰めてきた。そしてこのボスを支えてきたのが地元の後援会の会長だ。ところが贈収賄事件の罪を一人被って、彼は今収監されている。
★ 主人公の青年はこの会長の息子で、ボスと父親との縁で運転手を務めて3年がたつ。もともと青年は警察官、それも贈収賄事件を担当する捜査2課に配属されていたが、父親の事件を経て職を辞した。
★ この青年運転手の目を通して、政界の実態、政界のドンが見ている世界を垣間見る。官庁、業界、政治家の癒着はなくならないものか。この三者に警察、検察が加わるともはや泥沼だ。