★ 中学校の期末テストが終わり、次は高校の期末テスト。中学3年生は、いよいよ過去問をやり始め、高校3年生は公募制推薦入試の結果待ち。だんだん慌ただしくなってきた。
★ そうそう、年末年始の予定、冬期講座の案内を配布。今年は31日まで冬期講座があり、1月1日から自習室を開ける予定。早速塾生から「行きますよ!」という頼もしい声。
★ さて、今日は重松清さんの「鉄のライオン」(光文社文庫)を読み終えた。私とほぼ同年代の「僕」が主人公。1980年ごろの風景を懐かしく読んだ。
★ 一人の主人公が体験した出来事を断片的に描いた短編集。
★ 「東京に門前払いをくらった彼女のために」は、高校生時代付き合っていた男女が東京の大学を受験。男性だけが合格し、女性は地元に帰ったという話。竹の子族が一世を風靡し、ジュリーが「TOKIO」を歌っていた時代。「1981年ー。僕は、東京で暮らしはじめた」。
★ 「恋するカレン・みちのく純情篇」は、東北出身の友人の故郷を訪れる話。友人の話では地元に彼女がいて、熱々の遠距離恋愛をしているとのことだったが・・・。レコード、カセット、ウォークマン。今では懐かしい。
★ 「マイ・フェア・ボーイ」は、ドラマ「ふぞろいの林檎たち」が話題に。中井貴一さん、時任三郎さん、柳沢慎吾さん、懐かしい。観てたなぁ。
★ 「走れ!東上線ターボ」、友人を慕って後輩が上京してきた。その容姿が「気仙沼ちゃん」というから、これも懐かしい。欽ちゃんの番組に大笑いしていたなぁ。あの頃は心の底から大笑いができた。
★ 「洗いざらしの幸運」は、コインランドリーでのエピソード。「僕」の優しさが輝く。
★ 「4時間17分目のセカンドサーブ」は、20年を経て社会人になった「僕」の話。バブルを経て浮かぶもの沈むもの。人生万事塞翁馬だ。コナーズとマッケンローのテニスの試合が懐かしい。
★ 「君の名は、ルイージ」、いきなり村上春樹さんの「1973年のピンボール」が出てきて驚いた。まさに私と同時代人だ。双子の姉妹の物語。
★ 「僕と少女とブルーベリー」は、大人になって妻と娘をもった「僕」が家族とリゾートホテルを訪れるところから物語が始まる。朝食のブッフェでブルーベリージャムを選んだことから回想する大学時代のエピソード。当時大学生の「僕」は小学3年生の女の子の家庭教師に雇われるのだが、20歳の大学生の限界を思い知る酸っぱいエピソードだった。
★ 「さらば愛しき牛丼」。この作品を読むとどうしようもなく牛丼が食べたくなった。無駄に時間を消費できた学生時代が懐かしい。あの頃は人生が有限などとは思わなかった。
★ 「黄昏のイエローサブマリン」。学生時代、バイトをしていた居酒屋の同僚の女の子と「横浜ドリームランド」に行く話。ディズニーランドが開園した時代、ドリームランドに行くというのが良かった。大船駅のモノレール、当時は設計ミスで休止していたというが、その後復活したのか。懸垂型のモノレールって素敵だと思うけれどなぁ。
☆ 宇治駅、淀駅あるいは八幡駅辺りで、京阪宇治線、近鉄京都線、京阪本線をつなぐモノレールができたらいいのになぁ。
★ 「人生で大切なものは(けっこう)ホイッチョに教わった」は、「幸せって何だ」がテーマ。さんまさんの「ポン酢しょうゆ」が懐かしい。
★ そしてエンディングは「ザイオンの鉄のライオン」。この作品は結構グッとくる。「僕」は当時塾の講師をしていた。それも最底辺のクラスを担当。その中に1人、反抗的な塾生がいた。家庭に問題があるらしい。しかし、そんな彼は街の人々が目を背けるホームレス(愛称ボブ)と仲が良い。ザイオンとは旧約聖書に出てくる安息の地のこと。少年はボブが故郷に帰れるようにはたらきかけるのだが・・・。
☆ 昔、京都の河原町にも「ジュリーさん」という有名なホームレスがいた。その姿をイメージしながら読んだ。
★ 20歳の「僕」は年を重ねて、40、50となった。数々の経験を経て、知識も広がった。けれどまだまだ安息の地には遠いという作者に共感した。