じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

映画「崖上のスパイ」

2024-06-29 18:45:02 | Weblog

★ この前はスパイを扱った韓国映画を続けて観たが、昨日から今日にかけて、アクション満載の中国映画を2本観た。

★ まずは、「崖上のスパイ」。日本が満州を支配していた時代。ソビエトで特殊な訓練を受けた工作員たちが密かに中国に侵入する。ミッションはある「同志」を救出すること。

★ 誰が敵か味方かわからない。腹の探り合いのハラハラ感が見どころだ。拷問シーンは残酷だが、アクションシーンは面白い。

★ ロシア語で「夜明け」を意味する作戦。その遂行に多くの人が死んでいく。映像の背後に流れる音楽が切ない。

★ 続いてみたのが「ヘリオス 赤い諜報戦」。韓国の小型核兵器が謎の犯罪集団「ヘリオス」に奪われる。どうやら彼らはこの兵器を売りに出すようだ。

★ 韓国のエージェント、香港警察、中国の公安がけん制しあいながら、「ヘリオス」と奪われた兵器を追う。

★ 主人公級の人物が次々と殺されていくのは意表をつかれた。続編への余韻を残して物語は終わる。

★ 韓国や中国などアジアの映画も見ごたえがある。

 

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水上勉「雁の寺」

2024-06-26 19:13:30 | Weblog

★ 菅元総理の発言が話題になっている。岸田内閣に引導を渡すのか。

★ 「引導」ということで、今日は水上勉さんの「雁の寺」(「雁の寺・越前竹人形」新潮文庫所収)を読み終えた。

★ 京都洛西の孤峯庵には、画師・岸本南嶽による雁の襖絵がある。その南嶽が死に、彼と馴染みのあった女性・里子を孤峯庵の慈海和尚が引き取るところから物語が始まる。

★ 昭和初期の話とはいいながら、当時の僧侶は戒律を蔑ろにし、飲酒するは、愛人を囲うはと乱れている。慈海もまた酒に溺れ、夜ごと里子との肉欲に溺れていた。

★ 孤峯庵には一人の小僧がいた。名を慈念という。家庭環境に恵まれず、北陸からこの寺にやってきて、中学に通いつつ、僧侶への修行をしながら、寺の雑務を担っている。

★ 和尚とその愛人の女性、そして小僧という不思議な構図で話が進む。

★ ある日、和尚が失踪する。

★ なぜ和尚は姿を消したのか。終盤、真相が明らかにされる。三島由紀夫の「金閣寺」とはまた違った角度で、若い僧侶の屈折した心理を描いている。

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芥川龍之介「仙人」

2024-06-23 11:16:05 | Weblog

★ 去年の夏は「新しい学校のリーダーズ」の首振りダンスが流行り、ちょっと前までは「ビングバングバングボーン」や「カンカンダンス」、そして今は「たんたんふるふる」と若い人たちの流行は目が回るようだ。

★ 若い人相手の仕事なので、時代遅れにならないように努めねば。

★ さて中学校の期末テストが終わり、次は高校の期末テスト。それが終われば、夏期講座だ。今年も受験勉強が始まる。

★ 今日は短い作品、芥川龍之介の「仙人」(「蜘蛛の糸・杜子春」新潮文庫所収)を読んだ。

★ 大阪を舞台にした話。権助という男が口入れ屋を訪れる。男は仙人になれる奉公を求めているという。呆気にとられた口入れ屋。しかし、「よろず口入れ」という暖簾を嘘にはできない。なんとかならないかと考え、ある医者の家に仕事を見つける。

★ 奉公先を見つけてもらい喜んだ権助。医者の家を訪れる。生真面目な医者と狡猾な女房。女房は口から出まかせで、20年間無給で奉公すれば仙人になれると言った。

★ それから20年。約束通り方向を務めた権助。果たして仙人になれたのやら、という話。

★ セリフが大阪弁なら上方落語に援用されそうな話だった。

★ それにしても、この物語は何が言いたいのだろうか。解釈が読者に委ねられている。そもそもが権助は仙人だったのではないかとさえ思えた。狡猾な人間を驚かすための年月をかけたドッキリなのかも。

☆ ところで「たんたんふるふる」。後輩の女の子が先輩におねだりする「マーラータン」「タンフル」を試食してみたくなった。

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立松和平「蛍の熱」

2024-06-17 14:55:50 | Weblog

★ 今年は梅雨入りが遅れているという。6月は「水無月」ともいう。旧暦とはいえ「水がない月」とはどういうことか。語源は諸説あるようだが、「無」が当てられている「な」は「の」が転じたものだというのが有力だそうだ。「水無月」は「水の月」だという。

★ 京都では氷を模したういろうに小豆を乗せた和菓子が出回る。じめじめした季節にちょっとした清涼感が漂う。

★ さて今日は、立松和平さんの「卵洗い」(講談社文芸文庫)から「蛍の熱」を読んだ。昭和20年代の田園地帯には多くのホタルが夜ごとほのかな光を放っていたそうだ。

★ 「卵洗い」は、父親の実家に住む少年の目で当時の暮らしを描いている。母親は食料品店を営み、卵がヒット商品になっている。父親は近所の農家を訪れては、卵を仕入れてくる。

★ 「蛍の熱」は蛍狩りをし、家に持ち帰った家族の静かな就寝風景が描かれている。エアコンなどなかった時代、今から思うと相当に寝苦しかったであろうが、部屋に設置された蚊帳の中で家族が寄り添って寝ている。

★ 天井の電球を消すと蛍が光を放つ。それは家族の呼吸と息を合わすかのようだという。

★ テレビもスマホもゲーム機もない。素朴な生活の中で、みんな、時には愚痴をこぼしながらも一生懸命に生き、そして死んでいく。一夜光り輝いた蛍が翌朝には色を変えて死んでいる。

★ 無常を感じ、それでも人々は力強く生きている。

☆ 気候不順の折、食あたりに備えて正露丸を買ってきた。小粒の懐かしい丸薬だが、あの独特のニオイが困りものだ。書斎には置けず、寝室に隔離したが、寝具にまでニオイが付きそうで気がかりだ。このニオイが効き目なのだろうがね。

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髙村薫「李歐」

2024-06-16 18:41:52 | Weblog

★ 中学校の期末試験対策2日目。今日は来る生徒が少なく、少々期待外れ。

★ 空いた時間を利用して、髙村薫さんの「李歐」(講談社文庫)を読み終えた。

★ 時代に翻弄されるある男性の物語。宿縁とでもいえそうな人々が絡み合い、大阪の町工場からアジア、世界まで大きく広がる物語だった。

★ 父母が仲違いをして東京から大阪に移り住んだ母子。幼子は近所の町工場を遊び場とし成長する。子が成長すると母親は彼を残してある男性と中国に去る。

★ 子は大学生となり、ナイトクラブでボーイとして働く。そこで殺人事件に巻き込まれるとともに、美しい容姿を持つ殺し屋・李歐と出会う。

★ 李歐は再会する約束をして日本を去る。男性は罪を背負って服役する。刑期を終えた男性は町工場を引き継ぎ、李歐との再会の日を待つ。

★ それから15年。男性は幼なじみの女性と結婚し、子にも恵まれた。そんな折、事業に成功した李歐に誘われ中国へと旅立つ決心をしたのだが・・・。

★ 途中は、拳銃や機械のことが詳しくて読み進めるのが辛かったが、400ページを過ぎたあたりから、物語が一気に進む。450ページを超え、最終章「櫻花屯」は時間を忘れて読み進めた。

★ 数奇なる生涯と言えばそれまでだが、何か得体の知れないもの(時代とでもいおうか)に動かされる人々が印象的だった。

★ 蛇足かも知れないが、同性愛も一つのテーマなのか。

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横山秀夫「黒い線」

2024-06-15 14:31:11 | Weblog

★ 中学校の期末テストまで6日。今日と明日はその対策講座に追われる。

★ 社会科はどの学年も「時事問題」が出題される。さて、この2か月はあまり大きなニュースはなかったなぁ。「政治資金規正法」改正とか、「太陽フレア」とか、郵便料金の値上げとか、「定額減税」「合計特殊出生率」が過去最低の1.20に下落したとか、新幹線の点検車「ドクターイエロー」が引退するとか、カメムシが大量発生しているとか、そんなところだろうか。

★ 世界経済フォーラムの世界の男女格差調査で、日本が146か国中118位というのもあった。「ジェンダーギャップ」。

★ ということで、今なお男性が幅を利かす警察官の社会。横山秀夫さんの「陰の季節」(文春文庫)から「黒い線」を読んだ。

★ ある県警。わずか48人の女性警察官の適正配置を巡って、女性管理職(いちいち女性と肩書されること自体がジェンダーギャップかも知れないが)は頭を悩ましている。そんな折、部下の一人の女性警察官が失踪する。前日、彼女が描いた似顔絵がひったくり犯逮捕に貢献したということで、大きく新聞で取り上げられたばかりだというのに。

★ 捕まった犯人が暴走族のトップだというから、もしやお礼参りか。

★ 方々探している内、女性警察官の車が駅前に発見される。車の状態から事件性はなさそうだ。一安心するが、彼女の姿はみつからない。夜遅くなり、彼女の実家から連絡が入った。どうやら実家に戻っているらしい。

★ なぜ彼女は失踪したのか。物語は男中心社会の歪に迫っていく。

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佐々木譲「博労沢の殺人」

2024-06-12 00:52:28 | Weblog

★ 映画「前科者」を途中まで観た。授業が終わったら残りを見よう。先日、滋賀県で保護司が殺害されるという事件があったが、「前科者」では有村架純さんが演じる保護司が活躍する。

★ 保護司とは、仮釈放中の受刑者の更生を支援する非常勤の国家公務員で、ボランティアのため無報酬だという。民生委員もそうだが、無報酬でも社会の役に立とうという人がいることに驚いた。

★ さて、警察小説つながりで、今日は佐々木譲さんの「廃墟に乞う」(文春文庫)から「博労沢の殺人」を読んだ。

★ 17年前のある殺人事件。被疑者に限りなく近かったが決め手となる物証がなく逮捕に至らなかった牧場主。その人物が何者かに撲殺された。

★ かつての捜査に新米刑事として関わり、現在は休職中の仙道刑事が事件の真相に迫る。

☆ いよいよ、中学校の期末テストまであと1週間。久々に忙しくなりそうだ。

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堂場瞬一「検証捜査」

2024-06-09 19:51:17 | Weblog

★ 韓国映画は今日も1作。ハ・ジョンウ主演の「哀しき獣」(2010年)を観た。北朝鮮と中国の国境地帯、その朝鮮族居住区でタクシーの運転手をしている男が主人公。多額の借金を抱え、妻は韓国に出稼ぎ。借金を返すために男は仕事を引き受ける。それは韓国である男を殺すというもの。

★ 男は韓国に密入国できたのだが、思わぬバトルに巻き込まれる。

★ さて、堂場瞬一さんの「検証捜査」(集英社文庫)を読み終えた。連続婦女暴行殺人事件の犯人として逮捕され、公判にかけられた男に無罪の判決が言い渡される。捜査を担当したのは神奈川県警。冤罪事件となったことを受け、捜査に問題はなかったのか、検察庁は各地の警察官を集め検証チームを編成する。

★ 主人公は警視庁に籍を置く神谷警部補。警視庁管内で起こった婦女暴行事件での強引な捜査を責められ、離島の警察署に左遷されている。彼の元上司の配慮で、今回の検証チームに参加することとなる。

★ 神奈川県警で当時捜査に関わった人物への聞き取り。口の堅さと隠ぺい体質はどこの警察も変わらない。組織防衛が前面に立ち、中間管理職のような捜査官では歯が立たない。しかし、検証チームの粘り強い調査で、少しずつ真相が見えてくる。

★ 辿りついた真犯人は意外な人物だった。

★ 中盤以降、スラスラと読み進められる。この作品はドラマ化もされている。主人公の神谷警部補役を仲村トオルさん、北海道警から派遣された女性捜査官を栗山千明さんが演じている。

★ チームをまとめるキャリア官僚と大阪府警から派遣された監察官をドラマでは誰が演じているのか興味深かったが、キャリア官僚を滝藤賢一さん、監察官を角野卓三さんが演じている。

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韓国映画

2024-06-08 21:23:51 | Weblog

★ 夏を感じる気候。暑いが、洗濯物が早く乾いてありがたい。明日は下り坂とか。

★ さて読書の方は、堂場瞬一さんの「検証捜査」(集英社文庫)がもう少しで読み終わる。

★ この3日間で韓国映画を3本観た。

★ 1本目は、「サスペクト 哀しき容疑者」。殺された妻の仇をとるため脱北した元「北」のエリート工作員。復讐の機会をうかがっていたが、ある殺人事件に遭遇し、濡れ衣を着せられ追跡される羽目に。容疑者チ・ドンチョルと彼を追うミン・セフン大佐。これに対北情報局室長の不正が絡んで・・・という話だった。

★ チ・ドンチョル役のコン・ユが良い感じだ。

★ 2本目は、「ベルリンファイル」。2度目か3度目の視聴。「北」のエージェントと「南」のエージェントがベルリンを舞台に、ある時は対立し、ある時は協力する。事件の背景には「北」の権力争いが絡んでいた。「北」のエージェント役はハ・ジョンウ、南のエージェント役は、「キム・サブ」のハン・ソッキュ。(久しぶりに「シュリ」も観てみたい)

★ 3本目は、「白頭山大噴火」。北朝鮮と中国の国境地帯にある白頭山が大噴火し、朝鮮全土が大きな被害に遭うという話。更なる大噴火を阻止するため、北朝鮮が保有する核弾頭を爆発させマグマの圧力を逃がすというエンタテインメント作品。

★ 韓国軍が北朝鮮の核弾頭を略奪し作戦を実行するとか、核弾頭の場所を知るために今は収容所に囚われている「北」のエージェントを奪取するとか、現実にはありえなさそう。だが、兵役除隊間近の将校(ハ・ジョウン)と「北」のエージェント(イ・ビョンホン)のやり取りが面白かった。

★ 日本なら「富士山大爆発」というところか。イ・ビョンホンさんの役は日本では内野聖陽さんが良いかな。役作りだろうが何か似てる気がする。そういえば内野さんの「春画先生」も観てみたい。

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垣根涼介「室町無頼 下」

2024-06-05 20:00:23 | Weblog

★ 今日は宇治のあがた祭り。塾生は祭りに興じているらしく、塾は開店休業。

★ 時間が空いたので、垣根亮介さんの「室町無頼」下巻(新潮文庫)を読み終えた。面白かった。

★ 室町時代後期。幕府の権威は落ち、民は支配者たちの重税に窮していた。そんな時代、京に二人の豪傑がいた。1人は稲荷大社を拠点に、弱体化した幕府に変わって町の治安をあずかる無頼の頭、道賢。もう1人は、向日神社を拠点とする無頼の頭、兵衛。立場を異にするも豪傑は相通じるものがあると見えて、お互いの腕と才を認め合う関係だった。

★ そしてもう1人。家族に恵まれず、幼いころから棒振りで糊口をしのぎ、棒術の際に恵まれやがては土倉の用心棒となる才蔵という男。

★ 道賢の一味が土倉を襲った際、道賢は気まぐれか、あるいは才蔵に何かを感じたのか、彼の命を助ける。そしてその身柄をライバルの兵衛に預ける。

★ 兵衛は滋賀に住む棒術の名人に才蔵を預け、その腕を磨かせる。決死の訓練の末、才蔵は実戦で活かせる棒術を極める。兵衛はなぜ才蔵に棒術を磨かせたのか。それには理由があった。

★ 下巻に入り、時は風雲急を告げる。兵衛は権力者たちに虐げられた民を率いて一揆を起こす。

★ 豪傑たちが時代を変えるのか、それとも時の流れが豪傑を生むのか。彼らの死の上に時代は移り変わってゆく。やがて、応仁の乱となり、戦国の世が訪れる。

★ 戦闘シーンなど京都の地名が多く出てくる。600年も前の話だが、京都に生まれ暮らしていると馴染みが深く親近感を感じた。

★ 垣根さんの時代小説、次は「信長の原理」(上・下巻)(角川文庫)に挑戦してみよう。

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