★ 猛烈な寒波。とはいえ、気温自体は私が小学生だった頃の方がもっと低かったように思う。温暖化に慣れてしまって(あるいは暖房に効いた環境に慣れてしまって)、寒さがこたえるのかも知れない。
★ この寒い中、一人の塾生は受験のため東北へと出発した。野球の推薦入試だという。最近は、全国規模で野球選手が移動している。目指すは甲子園。高校の数が多い都市部の学校より、トーナメントで勝ち上がりやすい地方の高校を志望する中学生が目につくようになった。
★ 今入っているクラブチームでまとまって受験に向かうそうだが、無事たどり着けただろうか。
★ 野球ということで、今日はあさのあつこさんの「晩夏のプレイボール」(角川文庫)から「街の風景」を読んだ。
★ 主人公の男性は野球強豪校のエース。2年生の時は地方大会で惜敗したが、3年生の夏、遂に甲子園で優勝を果たした。彼にとって、甲子園に出場すること、そしてそこで優勝することが夢であり目標だった。その目標を達成し、この先何を目指せばよいのかと空虚な日々を送っている。
★ 彼には幼なじみがいる。病弱で入退院を繰り返し、病状は思わしくない。彼は同級生を見舞い、そこで燃え尽きた現状を吐露する。同級生は苦しい息の中で、彼を励ます。
★ 若い人の生と死は、三田誠広さんの「いちご同盟」やこの作品にインスパイアされた新川直司さんの「四月は君の嘘」が印象に残っている。
★ 一段一段、登りつめるほどに不安が訪れる。それは勝者が味わう宿命なのかも知れない。一方で、病弱の同級生がなんとか回復して欲しいと願った。