★ 芥川賞受賞、本屋大賞ノミネートと今話題の新人作家、宇佐美りんさんの「推し、燃ゆ」(河出書房新社)を読んだ。
★ 昨夜一度読んだが、疲れた頭では主人公のペースにはついていけず、迷った挙句、今朝もう一度チャレンジした。
★ 「推しが燃えた。」で主人公の語りは始まる。文豪やベストセラー作家やご贔屓な作家は別にして、小説は出だしが勝負だと思う。この出だしは、なかなかゾクゾクさせる。
★ 「推し」とは平たく言えばご贔屓のアイドルだ。アイドルは、もちろん「仕事のない、何もしない、遊んでいる」(旺文社英和中辞典)のidleではななく、「偶像、神像、崇拝される人」(同前)を表すidolだ。
★ 出だしは快調だったが、「推し」との出会い、ピーターパンが出てきたあたりで、早くも作者のペースから少々遅れ気味になった。そこは何とか乗り越え、主人公の高校生活、バイト、家族関係などを知る。
★ 主人公はどうも身の回りの片付けができない性分らしい。発達障害の傾向があるのかも知れない。そんな自分を何となく理解しながら、「推し」にその活路を見出しているようにも感じた。そのことは家族をはじめ周りの人々には理解されないが。
★ 「推し」のCDを棚に飾る(彼女は「祭壇」と言う)あたり、「推し」のサイン入り写真を「教会の十字架か、お寺のご本尊」のように飾るあたり、彼女の「推し」崇拝はもはや宗教である。「推し」と同期(帰依)することによってのみ彼女は自らのアイデンティティを保っているのかも知れない。
★ そして、SNSの存在である。彼女は「推し」仲間や、もしかすると崇拝する「推し」が読んでくれることを想定して、投稿を続ける。現実の彼女が「ケ」とするなら、SNS上の彼女は「ハレ」の舞台だ。
★ ある事件で、「推し」のグループは解散し、「推し」が芸能界を引退するという、「神」の人間宣言を彼女は受け入れることができるのか、「推し」ロスを彼女はどう乗り越えていくのか、興味あることろだ。
★ 21歳の新人作家。前作「かか」の超言語的なデビューほどの衝撃はないが、より深いところに踏み込んでいくような期待を感じた。
★ 昨夜一度読んだが、疲れた頭では主人公のペースにはついていけず、迷った挙句、今朝もう一度チャレンジした。
★ 「推しが燃えた。」で主人公の語りは始まる。文豪やベストセラー作家やご贔屓な作家は別にして、小説は出だしが勝負だと思う。この出だしは、なかなかゾクゾクさせる。
★ 「推し」とは平たく言えばご贔屓のアイドルだ。アイドルは、もちろん「仕事のない、何もしない、遊んでいる」(旺文社英和中辞典)のidleではななく、「偶像、神像、崇拝される人」(同前)を表すidolだ。
★ 出だしは快調だったが、「推し」との出会い、ピーターパンが出てきたあたりで、早くも作者のペースから少々遅れ気味になった。そこは何とか乗り越え、主人公の高校生活、バイト、家族関係などを知る。
★ 主人公はどうも身の回りの片付けができない性分らしい。発達障害の傾向があるのかも知れない。そんな自分を何となく理解しながら、「推し」にその活路を見出しているようにも感じた。そのことは家族をはじめ周りの人々には理解されないが。
★ 「推し」のCDを棚に飾る(彼女は「祭壇」と言う)あたり、「推し」のサイン入り写真を「教会の十字架か、お寺のご本尊」のように飾るあたり、彼女の「推し」崇拝はもはや宗教である。「推し」と同期(帰依)することによってのみ彼女は自らのアイデンティティを保っているのかも知れない。
★ そして、SNSの存在である。彼女は「推し」仲間や、もしかすると崇拝する「推し」が読んでくれることを想定して、投稿を続ける。現実の彼女が「ケ」とするなら、SNS上の彼女は「ハレ」の舞台だ。
★ ある事件で、「推し」のグループは解散し、「推し」が芸能界を引退するという、「神」の人間宣言を彼女は受け入れることができるのか、「推し」ロスを彼女はどう乗り越えていくのか、興味あることろだ。
★ 21歳の新人作家。前作「かか」の超言語的なデビューほどの衝撃はないが、より深いところに踏み込んでいくような期待を感じた。