★ 2014年度京都府公立高校の志願者数が発表された。
★ 山城通学圏、今年度、第1志望で定員割れしたのは京都八幡高校のみ。全体の倍率は1.15倍と昨年(1.14倍)とほぼ同じだった。私立無償化に所得制限が設けられたことの影響はあまり大きくなかったようだ。ただ、ここ数年定員割れをしていた木津高校が1.13倍と上昇している。もし親の所得と学力との間に相関関係があるとするなら、この層に若干の影響があったのかも知れない。
★ 今年度は京都市・乙訓地区の制度改革にともない、山城通学圏でも前期入試が大きく変わった。従来の特色選抜は中学校の内申点でほぼ合否が決まっていたが、新しい制度では学力試験が導入されたため、1発勝負を狙って多くの受験者が殺到した。田辺高校や城陽高校の高倍率には驚かされた。来年度は安定していくとは思えるが、公立高校受験に複数回チャレンジするとった傾向は今後も続くであろう。前期入試の定員比率(現在は定員20%)の変更があるのかどうか見守っていきたい。
★ 東宇治、莵道、城陽、西城陽、久御山、田辺、木津、南陽の8校の総定員2160人(城南菱創・単位制、京都八幡を合わせれば2560人)。すでに前期試験で442人(同690人)が内定を決めている。中期試験(一般入試)は残る1718席(同1870席)に、志願者1980人(同2137人)が挑戦することになる。
★ 今年は名目上およそ260人が公立高校(山城通学圏)に進学できない。(実質上は、第1志望だけ書いて、第1志望に落ちれば私立に行くという生徒がいるので、この数は少なくなる)競争率は1.14倍。
★ 個別に見ていくと、莵道(1.30倍)、城陽(1.35倍)の競争率が比較的高いのに反して、東宇治(1.01倍)、西城陽(1.01倍)、南陽(1.04倍)は定員割れスレスレだ。南陽のサイエンスリサーチ科は0.79倍と定員割れをしている。
★ 南陽は山城通学圏では1番の進学校だが、昨年の倍率の高さ(1.37倍)で敬遠されたのであろうか。それとも上位層の生徒が私立に流れてしまったのか。あるいは前期試験でどこかの高校に既に合格を決めてしまったのであろうか。莵道の倍率(1.30倍)を考えれば、今後1年おきに南陽、莵道と人気が入れ替わることも考えられる。低倍率ゆえに南陽のレベルが下がらなければ良いのだが。
★ 南陽はほぼ全員合格だろう。一方で、莵道は倍率を増やした。これは宇治市の中学卒業者数が増加したことによるものだろうか。莵道を第一志望第一順位とした人の内約80人は、他校に回ることになる。地理的には東宇治、レベル的には西城陽に流れると予想される。
★ 昨年の入試では莵道を抜き、山城で第二位の地位を確かなものとした城南菱創だが、今年はやや失速気味だ。前期入試で従来60%程度の合格者を出していたのを今年はちょうど50%に絞り、残席数が増えたことも倍率低下の原因だが、前期不合格だった生徒の中で安全志向の受験生が中期は他校に逃げたのかも知れない。また近年「難しくなった」という評判が、敬遠を誘ったのかも知れない。城南菱創に入れなかった人(20人)も東宇治、西城陽に流れる可能性がある。
★ 一時期「校則が厳しい」と避けられていた西城陽高校。ここ数年は1.24倍、1.16倍と健闘していたが、今年は定員が40人増えたためか、1.01倍と低い。実際は第一志望第二順位で莵道や城南菱創から生徒が流れてくるから、実質倍率はもう少し上がるであろうが、来年度が注目だ。
★ 「中位の生徒の実力を伸ばす」と評価されている東宇治高校だが、ここ数年は倍率を下げている(1.19倍→1.13倍→1.01倍)。西城陽と同じく第二順位の生徒を受け入れるから実質倍率は上がるであろうが、通学している生徒の声を聞くと満足度が下がっているようにも感じられ、今後安心はできない。
★ オール3あたりの生徒が多く志望する久御山高校。学習とクラブ活動の両立を目指す同校だが、今年は1.15倍と堅調だ。残席224人分に258人が挑む。第二順位で希望している生徒もいると思われるので、さらに狭き門となりそうだ。
★ オール3前後の生徒が多く志望する城陽高校、木津高校、田辺高校。
★ 城陽高校は1.35倍(昨年は1.16倍、一昨年は1.24倍)と人気だ。内申点や模試の結果の成績分布から見て、このレベルの受験者が多いということだろう。久御山に行くには少し成績が足りないが、木津には行きたくないという生徒が多く志望しているようだ。残席246に333人が挑む。
★ 前期試験で7倍の人気を誇った田辺高校。高倍率の背景には工業科を併設しているため普通科の募集定員が200人と少ないことも影響している。中期試験は1.18倍と定員が増えたにもかかわらず昨年の1.17倍とほぼ同じ。安定した人気を得ている
★ 木津高校は3年前0.87倍、2年前0.65倍、そして定員を40人減らした昨年は0.95倍と定員割れが続いていた。しかし今年は1.13倍。残席160に180人が挑む。木津高校にとっては逆転のチャンスだろう。学校としての苦労も多いだろうが、入学した生徒が途中で退学しないように、きめの細かい指導が望まれる。
★ 京都八幡は4年連続の定員割れ。第一志望第二順位や第二志望で定員が埋まるかどうかだ。この学校は前期入試で定員240人のうち168人が内定、残席が72。57人が受験する予定。
★ 山城通学圏の残席は、普通科と城南菱創、京都八幡を合わせておよそ1870席。これに2137人の受験生が挑む。当日の欠席者や第二順位、第二志望を書いていない人もいるので、競争率だけに惑わされず存分に実力を発揮してもらいたい。決して最後まであきらめないことが大切だ。