★ 昭和39年(1964年)、東京ではアジア初のオリンピックが目前に迫っていた。戦後の復興から20年。オリンピックは老若男女、学生運動をしている左翼学生までが期待する国を挙げての大祭事となっっていた。
★ そんな中、一人の大学院生がオリンピックを人質にして警察に身代金を要求する。要求が受け入れなければ世界中の多くの聴衆が見ている中で、オリンピックを爆破すると予告して。
★ 警察は彼を確保すべく動くが、公安と刑事の対立、所轄警察官との連携の悪さなどから、2度、3度と逃がしてしまう。そして遂に10月10日。オリンピックの開会式がまさに始まろうとしていた・・・という話。
★ 国家の威信をかけてオリンピックを成功させようとする意気込みが伝わってきた。同時に、実際にオリンピックに伴う東京大改造を行っていたのは、東北などから出稼ぎに来ている日雇い労働者であったという現実を知る。
★ 主人公は、貧しい家庭に育ち、進学の手助けをしてくれた長兄を出稼ぎ先で失った。自ら肉体労働を体験し、繁栄の陰に生きている労働者の姿を目の当たりにする。そして、国を脅迫するという行動に出た。
★ 実行犯と彼らを取り巻く人々、彼らを捕まえようとする警察。その攻防が面白かった。
★ 構成上、時系列が前後する場合があり少々とまどった。