☆ 石原千秋さんの「漱石と三人の読者」(講談社現代新書)から第2章「小説と格闘した時代」を読んだ。
☆ 夏目漱石を通して、明治20年代から40年代にかけて、小説というものがどのように形成されてきたのかが書かれていた。
☆ 「小説」というジャンルが実はそれほど古いものではないということを改めて知った。その「小説」も美文、写生文、写実主義、自然主義と変遷してきたと書かれていた。自然主義文学の意義と限界とでも言おうか、そこに漱石が登場する。
☆ 「(自然主義文学が)やがて社会性を失い私小説に収斂してしまった」というのが定説だという。門外漢にはこうしたことも発見だ。「性の問題を好んで主題化したこともあって」「出歯亀主義」と揶揄されたことなども面白い。
☆ ところで「出歯亀」は明治時代に実際に起こった強姦(今でいう強制性交)殺人事件の犯人の名前からつけられたもの。当時は「出歯る」などというナウい言葉も流行ったとか。今でも「のぞき」のことを「出歯亀」と言ったりする。
☆ 英語では、「ピーピング・トム」。語源はチョコレートのブランド「ゴディバ」にも関連するから、興味のある方は検索あれ。
☆ 話は反れた。要するに自然主義はエンディングを読者に託して終わる形。勧善懲悪の戯作物よりは可能性が広がったが、何とも締りは悪い。「え、ここで終わり」とびっくりすることがある。うまくいけば余韻を残すが、下手な作品では消化不良のもやもや感が残る。それを踏まえて、漱石の仕掛けとは。続きを読み進めたい。
☆ 蛇足ながら、昔、渡邉健一著「音楽の正体」(ヤマハミュージックメディア)という本で「レット・イット・ビーは終わらない」という章があった。完全終止で終わるのではなくて、あえて不完全なコードで終わることによって、繰り返し聞きたい気分にさせる。人間の感性を利用した面白い仕掛けだと思った。小説も名作は似たような構造があるのかも知れない。
☆ 夏目漱石を通して、明治20年代から40年代にかけて、小説というものがどのように形成されてきたのかが書かれていた。
☆ 「小説」というジャンルが実はそれほど古いものではないということを改めて知った。その「小説」も美文、写生文、写実主義、自然主義と変遷してきたと書かれていた。自然主義文学の意義と限界とでも言おうか、そこに漱石が登場する。
☆ 「(自然主義文学が)やがて社会性を失い私小説に収斂してしまった」というのが定説だという。門外漢にはこうしたことも発見だ。「性の問題を好んで主題化したこともあって」「出歯亀主義」と揶揄されたことなども面白い。
☆ ところで「出歯亀」は明治時代に実際に起こった強姦(今でいう強制性交)殺人事件の犯人の名前からつけられたもの。当時は「出歯る」などというナウい言葉も流行ったとか。今でも「のぞき」のことを「出歯亀」と言ったりする。
☆ 英語では、「ピーピング・トム」。語源はチョコレートのブランド「ゴディバ」にも関連するから、興味のある方は検索あれ。
☆ 話は反れた。要するに自然主義はエンディングを読者に託して終わる形。勧善懲悪の戯作物よりは可能性が広がったが、何とも締りは悪い。「え、ここで終わり」とびっくりすることがある。うまくいけば余韻を残すが、下手な作品では消化不良のもやもや感が残る。それを踏まえて、漱石の仕掛けとは。続きを読み進めたい。
☆ 蛇足ながら、昔、渡邉健一著「音楽の正体」(ヤマハミュージックメディア)という本で「レット・イット・ビーは終わらない」という章があった。完全終止で終わるのではなくて、あえて不完全なコードで終わることによって、繰り返し聞きたい気分にさせる。人間の感性を利用した面白い仕掛けだと思った。小説も名作は似たような構造があるのかも知れない。