★ 10月も今日で終わり。今年も受験シーズンがやって来た。まずは、中学校の期末テスト。先日中間テストが終わったと思ったら、もうあと20日。また忙しくなりそうだ。
★ さて、垣根涼介さんの「信長の原理」(角川文庫)の下巻を読み終えた。歴史小説なので、大まかなストーリーは、NHKの大河ドラマで何度も観た通り。
★ この作品の面白さは、信長が「パレートの法則」を見抜いていたという点だ。戦国時代の時代小説の形をとりながら、なぜか企業小説(あるいは政治小説)の雰囲気がある。
★ ある男が、親から継いだ小さな商店を、日本有数の大企業へと成長させていく出世物語とも読み取れる。
★ 今ではパワハラと糾弾されそうなことも数々あるが、カリスマ性を帯びたワンマン経営者が、1代で企業を育てていく、まるで高度経済期の日本企業を見るようだった。
★ 作品で描かれる信長は、織田家を大きくすること、天下をとることと目標が明確だ。その一点のために、使える人材は敵対していた人物であろうが大胆に登用する。一方、旧来のスタッフでも働けなくなれば容赦なく切り捨てる。
★ 信長自体は「なぜみんな自分を裏切るのか」と何度も自問する。その理由、彼は経営術に秀でていても、決して人を信じることができなかったからだと思う。部下に畏怖させて動かす経営は効果的ではあるが、一方で、いつ自分が切り捨てられるのかという不安感を植え付ける。このボスに従ってている限り、平穏な日々が送れないと精神的に疲弊してしまうのだ。
★ 時代の変革期には信長型の人材が必要かもしれない。しかし、当人は結局悲劇的な最期を遂げるのであろう。これもまた天の差配なのかも知れない。