暮らしの差し色

慢性腎臓病の夫と二人、静かな生活です

確定申告あれこれ

2016-02-18 19:21:14 | 日記
きのう、税務署に確定申告書を提出に行った。


税務署に着くと、庁舎の外の庭にうねうねと長蛇の列があった。

例年は、還付の申告が多く、確定申告期間前の提出をするのが常だったので、提出は窓口に行けばすぐ受領印を押印してくれて、はい終わり、となるだけだった。


この日は、確定申告の受付期間が開始したばかりなので、相談作成をする列と、提出だけをする列のふたてに別れて、長い列を作っている。

相談のほうの列は提出の列の2倍くらいの人で庭を埋め尽くしていた。

並んでいるひとたちは、年金受給者なのか男性の高齢者が多い。


いつも長い列を見ると、

    「日本人は小さいころから集団教育を徹底されているからか、
     こうして並ぶことにも おとなしくルールを守り整然としているなあ。
     教育の効果だわ」

と思う。


友人に、列やごみの分別などのルールが従順に守られているのは教育の効果だと思う話をしたことがあるが、その友人は

    「当たり前だと思う」

と話していた。

当たり前だと思うところが、教育の効果ではないだろうか。


自動販売機が日本にたくさんあるのを海外の人が驚くと聞いたことがある。

途上国では、自動販売機ごと持って行かれてしまうこともあるからだという。


さて、税務署では、その長蛇の列で じじっ、じじっと前に詰めてようやく順番が来て、提出したが、この日はじつに疲れた。


列に並んでいた人から、係員になんの苦情もなかったかというとそうではなかった。


提出対応専用ののプレハブの出口の外のとびらのそばに、書類用のポストがあった。

ポストは人の列で、遠くからはよく見えない。

係員が、質問者に答えているのを聞いていると、申告書を提出する際に、税務署の受領印の押印が必要なければ、クリアファイルに提出用を入れて、ポストに入れてくれれば、今日の提出になります、ということだった。

列の中にいた人がそれを聞いて、そんなことはもっと列に並ぶ前に知っていれば、並ばずにポストに入れたのに、もっと税務署の入口に近い所で話があるべきじゃなかったのか、もう列も前に進んでしまったので、このまま並ぶけれども、私は受領印なんかいらなかったのに、と係員に話していた。

男性の高齢者だった。

帰りに外に出たときは、係員はその苦情を言った利用者の意見を入れて、なるべく列の最後尾のそばで、案内をしているようだった。


係員は、銀行に確定申告書を見せなければいけないとき(借入金のようなとき)には、受領印が必要だが、特にそのようなこともなく、受領印が必要ないというかたは、ポストに入れてください、と説明している。


だが、会計事務所に8年余り勤めていた私としては、受領印はもらっておいたほうが良いと思う。

列に並びたくなければ、確定申告書の控えの1枚目だけでも提出用の原本に付けて郵送して、返信用の切手を貼った封筒を同封すれば、受領印を押印して返送してくれる。

提出と同時でないとあとからは、受領印は押してもらえない。

あとから、受領印が欲しかったのに、は、できない。

それを考えると、この先、なにがあるかわからないのだから、確定申告書には受領印は是非もらっておいたほうがよい。


ついでに言うと、確定申告書の控えは、添付の確証をできる限りコピーしておいたほうがよい。

医療費の領収証はコピーを全部取るのはきついから、会計事務所でもコピーは取らない。

そのかわり、医療費はExcelで、表をしっかり作成する。


話はそれるが、会計事務所では、こんなこともあった。


税務署から電話がかかってきて、「●●についての証明がない」というのだ。

そのかたのファイルを出してきて、見てみると、控えの確定申告書に、たしかにその証明のコピーがとじ込まれている。

電話に出た会計事務所の担当者が、コピーはこちらにあると回答すると、税務署が、それをFAXしてほしい、という。

要するに、税務署で、その確証を紛失したのだ。


そういうことも人間がすることだから、起こりうる。

まして、税務署では、確定申告の書類を点検するのに、パートや派遣のひとに大勢協力してもらって、大量の申告書の添付資料を整理する。

その過程のうちには、はずれてどこかに紛れてしまっても無理はない。


「少額無視」というのもあるから、多少の金額で大勢に影響がないものなら、紛失しても、申告されたものをそのまま信じてスルーするケースもあるだろう。


税務署に法人の法人税の確定申告書を提出することも会計事務所の毎月の仕事だ。

会計年度の期末が同じ法人が何社かあれば、その数だけの確定申告書をまとめて税務署に提出に行く。

大量の月もあるわけだ。

法人の受付の窓口で、またこれ大事な受領印を正、副、控と押してもらって、こちらとしては、それをじっと見ている。

押し忘れがないか、お客さんの申告書だ、真剣に見ている。

そして、ひととおり押してもらって返されると、別のテーブルに並べて、ひとつずつ受領印の洩れがないか、点検する。

すべてもらった!と、会計事務所にバスに乗って帰り、会計事務所の先輩職員に見せて確認してもらう。

あっ!

もらってきた控の申告書のうち、ひとつは正本のほうだったのだ。

税務署職員から渡された申告書が、提出用だったのだ。

税務署職員も、現場で点検した私も、作業が慣れで行ってしまったか、まさかそんなこと起こるとは思わなかったか、ケアレスミスだ。

あわてて、税務署に電話をして、またバスに乗って税務署に行き、交換してもらった。

そんなこともあったな、いま思い出した。



話が税務署の延長になるが、役所はサービスでいいこともしてくれる。

源泉徴収票というのは、4枚くらいの複写になっていて、本人にも1枚くれるが、勤務先が税務署に提出する対象の人でなくても、住所の市役所・区役所には複写のうちの1枚は必ず送る。

たとえば、関東に出稼ぎに来ていて、住民票が青森ならその町役場にも郵送する。

だから、収入が少なくても、住民票がある役場はその人の給与の収入ならつかんでいる。

まあ、蛇足だが、勤め先がそうすることをあえてしないでいるなら、役場は収入をつかめないともいえる。


それで、こんなことがあった。

ある家庭のご主人(▲▲さん)について、区役所から電話が会計事務所にかかってきた。

「▲▲さんの奥さんは、年収が×××円以下なので、▲▲さんの配偶者控除に該当しますから、それで計算して頂ければ、税金がもどります」

と、わざわざ知らせてくれたのだ。

所得税は税務署なので、区役所は住民税のことで知らせてくれたのではあるが、当然、所得税にも反映する。


というわけで、会計事務所は、ご本人の確認をとって、訂正して提出した。


役所は、住民から取ることばかり考えていそうにも思うが、住民が損にならない配慮もしてくれている。
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