息子がプレイセラピーを受けている間、私は別室で発達相談を受けていました。
前回の相談からの1か月間の息子の様子、また息子への対応などを、先生と一緒に振り返ります。
終業式の日に、息子の言い間違いを指摘した子を、息子が大泣きしながら殴ってしまった事件を話しました。
「〇〇君はみんなと一緒に・・・っていう思いが強い子やから、2学期もよく頑張ってたんだと思います。
もう、いっぱいいっぱいやったんやろうね。
明日から冬休みという最後の最後に爆発してしまって、本人もショックやったろうね。」
と、先生は言われました。
それから、息子の様子、学校での様子、私の対応などを少しずつ話を広げながら、詳しく聞いてくださいました。
その日、息子は、帰ってくるなり、私にぎゅーっと抱きついてきました。
「どうしたん?」と聞いても、息子は何も言いませんでした。
息子が、ボールを蹴りに公園に出かけているときに、担任の先生から電話がかかってきました。
学校での対応。
私が息子に話したこと。
一つ一つ振り返っていきます。
私は、息子に、
・嫌なことがあっても、言葉で言って、暴力を使わないこと
・間違ってもいいこと、間違いを教えてもらった方が、正しいことが分かって得すること
・カーッとなってしまったら、深呼吸して5秒数を数えること
・子どもの頃は、私もよくけんかをしたけど、いつの間にか仲直りしてたこと
などを話したことを伝えました。
「その前に、〇〇君はどう思っているのかな?」と、先生は聞かれました。
「間違いを訂正される前に、他の子に『だっせー』と言われたので、その子と一緒になって自分をからかっていると思ったそうです。」
「たたいてしまったことについては?」
「『手を出したらあかんって分かってるけど、出ちゃった』と、言ってました」
「〇〇君は、『手を出したらあかん』ってことは分かっているけど、中には、『向こうが嫌なことをしたから、やり返して当然や』って、思う子もいます。
また、何が悪かったのかも分からないまま、事態終息のために謝らざるを得ない子もいます。
まず、しっかり話を聞いてあげて、〇〇君の気持ちをすっきりさせてあげ、その上で、何がいけなかったのか正しく教えてあげることが大事だと思います」
と、先生は言われました。
「『間違いを訂正した』事実はそうであるけれども、見えない部分の本当のところは分かりません。
でも、間違いを正されて、暴力を振るったとなると、100%〇〇君が悪くなってしまいます。
以前、〇〇君は友達と一緒に遊んでいるつもりでも、通級の先生が見かけて、『それは、からかいで卑怯なことである』と、その友達に注意されたことがあるように、そういうことはよくあります。
また、10歳はギャングエイジと呼ばれる難しい年齢で、一人一人はいい子でも、集団になるとやんちゃがエスカレートして、ずる賢く、悪くなってしまうことがあります。
〇〇君に、からかいかどうか見抜く力がまだなく、逆にどんなことが友達を怒らせてしまうかも分かりにくいので、やはり、学校の先生方に注意して見ていただくということが必要だと思います。」
とも言われました。
「担任の先生も注意して見てくださってはいるのですが、クラスでは困った様子がないらしく・・・、ただ、休み時間に、息子が敵役で、大勢の子が息子にかかっていって、息子一人が応戦するという遊びをしていて、息子に困った様子はなかったけれども、『そういう遊びはおかしい』と、注意してくださったことはあるみたいです」
と、私が言うと、
「多分、〇〇君も「いじめ」や「からかい」とは思っていないけれども、『あれ? なんか嫌だな』と感じるようなことが積み重なってきて、今回のことが起きたように思います。
先生方も、表面上に見えないことを見ることは、『こんなこともあり得る』と想像する力というか感性みたいなものが必要で、本当に難しいことだと思います。
でも、どんな友達とどういう遊び方をしているかなど、学校のことはお母さんが見ることは出来ないので、『ちょっと気になるのですが・・・』と、先生にお願いしていいと思います。
声をかけるだけでも、見方は変わってきますよ。」と。
さらに、「カーッとなってしまったら、深呼吸して5秒数を数えること」は、とても大事だけれども、カーッとなる前に気持ちをコントロール出来るよう、自分のイライラした気持ちをビーカーの中の水に例えて意識することも教えていこうと言われました。
多分、最初は理解できないだろうから、息子がゲームでうまくいかずにカーッとなった時などに、
「〇〇のイライラは、今、このぐらい?」と、絵に描いて見せてあげたり、
「嫌な気持ちどれぐらいやった?」と、話の中で聞いてあげたりすることから始めようということでした。
そして、イライラや嫌な気持ちがいっぱいになりそうになったら、
「もうすぐいっぱいやな、気を付けよう」と、その場を離れたり、誰かに話を聞いてもらったり、好きなことをしたり考えたりして、気持ちを落ち着かせることを身に付けていこうという話でした。
これは、大人になってからも役に立つもので、私達親にも勧めていることだそうです。
こうして、相談室で話を聞いてもらう中で、私にも見えてくるものがあります。
息子は、起きたことを言葉で表現することが苦手なので、あまり詳しく話をしてくれないのですが、それでも、息子の言葉をくみ取り、一緒に色々なことを考えていこうと思いました。
自分の気持ちを伝え、何がうまくいかなかったのか考え、どうしたらよかったのかを考える・・・
全てに答があるわけではないけど、息子が私に話をしてくれる間は、親子で振り返る経験を重ねていきたいと思います。