夏休みの宿題で最後まで残ったのが、「平和新聞」でした。
本を読んだりテレビを観たりして、「平和」についての新聞をA4サイズの規定の用紙に書かなくてはなりません。
テーマが大きすぎて、息子は「どうすればいいのか、さっぱり分からない」といった状態でした。
まずは、息子に「平和」のイメージを聞いてみました。
なかなか思い浮かばないようなので、私が、
「ママは、家族みんなでご飯を食べたり、おいしいものをお腹いっぱい食べれること、かな。」
と、言うと、
「テレビ観ること。」
「ゆっくり寝れること。」
「サッカーしたり、サッカー観に行けること。」
など、次々に言葉が出てきました。
「『新聞』っていうのは、みんなに伝えたいことを読んでもらうために作るんやから、まずは、平和について、〇〇は何を一番伝えたいのか考えてみよう!」
そう言って、約1ヶ月の間に色々な本を息子に紹介しました。
限られた時間の中なので、読みやすい本、息子が興味を持ちそうな本を探すために、延べ20冊以上の児童書を図書館から借りてきました。
その中から8冊をいつでも手に取れる状態にしておくと、息子は5冊の本を読み終えたようでした。
真剣に読み入っている様子を見ると、息子にも感じることがあったのだと思うのですが、
「何が一番心に残った? どれを伝えたい?」
と、聞いても、
「分からん。何をどう伝えたらいいんか、全然分からん。」
と、言います。
そこで、本の中で、息子が「自分もそう思った」とか、何かを感じた箇所を書き出すことにしました。
子どもが戦火に巻き込まれる場面
自分以外の家族が死んでしまう場面
「胸が張り裂けそう」
「罪がない、知らない人を殺すのは、人殺しと同じ」
たくさんの言葉が出てきました。
また、空襲のことを描いた絵本「おかあちゃんごめんね」の話をしていた時に、主人が、
「〇〇のじいちゃんの家にも、焼夷弾が落とされたんやで。」
と言ったので、戦争の話が遠い夢物語ではないことを息子も感じたのではないでしょうか。
義父は疎開をしていたので無事で、終戦後は養子に出されたそうです。
「戦争中は、楽しそうに歌を歌ったり、自分の好きなことをしていたら、『兵隊さんが命懸けで戦っているときに、何をへらへらしてるんだ~!』って、どつかれたりしたんやて!」
「学校でも、勇ましく戦うことが偉いって教えられてて、『人を殺したらあかん』とか『命を大切にしよう』なんてことを言ったら、『非国民!』って、白い目で見られたんやて。」
と、話すと、息子はとても驚いていました。
「平和と安全」という本は、息子が好きなランキング形式で書かれていて、日本は、平和度指数が出されている162ヶ国中6位、殺人事件が少ない国としても、189ヶ国中堂々1位となっていました。
10万人あたりの1年間の殺人は、日本は0.3人であるのに対し、164位のブラジルでは21.8人も殺されていて、単純に計算すると日本の72倍以上も危険な確率となり、
「だから、安全な日本に家族を連れてきて、Jリーグでプレーをするブラジルの選手が多いんや。」
という話になりました。
第二次大戦以後、日本は戦争をしていませんが、世界各国で紛争は絶えず、1988年から始まったコンゴ内戦に至っては、鉱物の採掘権や民族間の対立など様々な要因があるとはいえ、死者が540万人以上もいることを知り、言葉もありません。
自分の国が平和で安全ならばいいのか?
どうしたら兵器を使わずに、世界中が平和に暮らすことが出来るのか?
・・・この本は問いかけているのです。
「平和」についてたくさんのことを学んだ息子ですが、また記事にするのが一苦労。
記事を書くことはもちろん大切な勉強ですが、一人ではなかなか難しくて、私が息子の言葉を「こういうことやね」という風に文章にしていくアドバイスをしました。
そうした過程で、息子自身が、一番伝えたいことを見つけることが出来たようです。
A4サイズの新聞に書ききれることなんてわずかなものです。
けれど、それを作るために、本を読んだこと、調べたこと、知って、考えたこと、そうしたことは息子の大きな力になっていると思います。
話は変わって、学校の授業でも時々新聞を作ることがあるそうなのですが、
「一生懸命やってるのに、いっつもみんなより遅くて、最後の方は先生に手伝ってもらったりするねん。」
と。
そんな息子に一言、
「じっくり考えて作ったものって、いいものが出来ると、ママは思うで~。」