8月になりました。
特別水泳教室も終わり、夏休みのサッカースクールは8月8日から始まるので、毎日、息子はのんびりと過ごしています。
いつもメールのやり取りをしたり一緒に遊びに行く友達がおたふく風邪にかかってしまったため、この10日間は友達とも遊ばず、DAZNでサッカーの試合を観たり、サッカーゲームをしたり、サッカー関連の本を読んだりと、好きなことをして過ごしているようです。
ただ、何もしていない時間は、相変わらず「落ち着かない」と言って、ボールを蹴りながら家の中をぐるぐるぐるぐる回っています。
何もせずにじっとしていると、自分自身が消えてしまうようで落ち着かないのでしょうか?
熊谷高幸さんの「自閉症と感覚過敏 特有な世界はなぜ生まれ、どう支援すべきか?」を読むと、
「そうして大きく体を動かすことによって、意識が外部からのわずらわしい刺激から解放されて自分自身に向き、自分を取り戻すことができるから、という理由である。自閉症の人々は、感覚過敏を持つため、外部からの刺激を通常よりも強く感じ取っている。だから、じっとしていると、その圧力が強まり、脅威となる。しかし、自分の体全体を大きく動かすと外部刺激は攪乱して弱まり、世界の中心は自分の方に移るのである。」
ということが書かれていました。
こんなにのんびりと好きなことをして過ごしていても、息子は、何もしていない時間に落ち着かなくなってしまう。
いったいなぜなのか?、と思っていたのですが、なんだかしっくりきました。
今まで、多動があるからしょうがない、と思っていましたが、息子は、小さい頃に比べて格段に落ち着いて暮らせるようになっています。
ただ、このボールを蹴りながら家の中をぐるぐる回ることはやめられません。
東田直樹さんも、著書「自閉症の僕が跳びはねる理由」の中で、
「跳んでいるときには、自分の体の部分がよく分かるからだと思います。手を叩けば、ここが手。跳びはねれば、ここが足。というふうに。」
と、書かれていました。
そういうものなのかもしれません。
2013年のDSM-Ⅴによって、自閉症の中核症状である、「社会性の障害」「コミュニケーションの障害」「想像力の障害(こだわり)」に加えて、「感覚の過敏性、もしくは鈍感性」が加えられるようになりました。
感覚のことが取り上げられるようになったのは本当に最近のことで、東田直樹さんをはじめ多くの当事者の声が、外から見た障害だけでなく、感覚という内から見た障害を理解するきっかけになっているようです。
過敏と鈍感を併せ持つ息子の不思議な世界は、ある刺激に過敏であるゆえに、他の刺激をとらえる余裕がないからなのかもしれません。
また、一つのことに集中し過ぎて2つ以上のことを同時に出来ない。
異常に疲れやすいことなど、感覚の過敏性は多様な困難の原因となっているように思います。
話は変わりますが、今年の夏の特別水泳教室で息子は25メートルを泳げるようになり、私はとても驚きました。
何が変わったのか?
息子自身の成長ももちろんありますが、去年と今年では、夏休み中の水泳教室の着替え場所が変わったのです。
去年までは、プールの更衣室を使うことになっていました。
今年は、体育館で着替えることになりました。
暗くてじめじめして半分土足のような更衣室が苦手だった息子。
しかも、特別水泳教室の後は、自由水泳の子ども達が着替えに来るため、大急ぎで着替えなければなりません。
苦手で嫌な感覚は、着替え中だけでなく、プールに入っているときも、家に帰って来てからも、息子の感情や行動を支配していたように思います。
今年、体育館が更衣室として使われるようになったことは、息子が25メートルを泳げるようになったことに、私は、少なからず影響があったと思っています。
息子がのびのびと水泳に集中できる環境を整えてくださり、先生方には本当に感謝しています。
息子の持つ特性と、支援のあり方、それに応えて社会で働く大人になるためには何が必要なのか、これからも勉強していきたいと思っています。