醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより   1275号   白井一道

2019-12-15 11:06:53 | 随筆・小説



   徒然草101段 『或人、任大臣の節会の』
原文
 或人、任大臣の節会の内辨を勤められけるに、内記の持ちたる宣命を取らずして、堂上せられにけり。極まりなき失礼なれども、立ち帰り取るべきにもあらず、思ひわづらはれけるに、六位外記康綱、衣被(きぬかづ)きの女房をかたらひて、かの宣命を持たせて、忍びやかに奉らせけり。いみじかりけり。

現代語訳
 天皇が大臣を任命する儀式である人が諸事を取り仕切る役を勤められたとき、詔勅・宣命を作成する官吏が持っている宣命を持たずに紫宸殿に入り着座してしまった。極まりない失敗であったけれども、立ち帰るわけにもいかず、思いわずらっていたところ、六位の少外記、中原康綱は高位の女官にお願いしてかの宣命を分からないように持ってきてもらい、差し上げさせた。こうして事なきをえた。


 醜態を晒した官房長官   白井一道
 定例記者会見の場で、新聞記者からの「桜を見る会」についての質問について、答えられない事態が生れた。役人たちが準備した答弁書を役人が走って官房長官の席に運び、答弁する姿がテレビのニュースになった。そろそろ安倍政権の終わりが見えて来たということなのかもしれないな。