▼石原知事「河野のバカが日韓関係ダメに」 慰安婦問題
東京都の石原慎太郎知事は24日の記者会見で、日本の官憲による慰安婦募集の強制性を認めた平成5年【1993年】の河野洋平官房長官(当時)による「河野談話」に関し、「訳が分からず認めた河野洋平っていうバカが、日韓関係をダメにした」と批判。また、「ああいう貧しい時代には売春は非常に利益のある商売だった。貧しい人たちは仕方なしに、しかし決して嫌々でなしにあの商売を選んだ」と述べ、強制性を否定した。
一方、「大阪維新の会」を率いる橋下徹大阪市長も同日、河野談話を「証拠に基づかない内容で最悪だ。日韓関係をこじらせる最大の元凶だ」と批判。19年【2007年】の安倍晋三内閣による「強制連行を示す資料はない」との閣議決定が法的に優先されると指摘し、「閣議決定と談話では天と地の差がある。韓国側が談話を根拠として主張するのは間違っている」と述べた。市役所内で記者団の質問に答えた。
(産経新聞・2012/08/25:下線部と【】内はKABUによるものです)
蓋し、それが歴史的事実とは無縁なものであり、閣議決定されたものではなく時の官房長官の<私的な妄想>にすぎないという意味で、「河野談話」の荒唐無稽さは周知のことでしょう。加之、例えば、アメリカ連邦下院でなされた所謂「従軍慰安婦」なるものを巡る反日決議(2007年7月31日)の根拠も煎じ詰めればこの「河野談話」につきており(要は、英米の刑事司法的な観点からは、「被告=日本政府」が<犯行>を認めている以上、特にそれ以上の証拠を提出する責務は「原告側=アメリカ下院」にはないわけですから)、「河野談話」が日本の国益を毀損してきた度合いは計り知れないものです。
更に言えば、(「振り込め詐欺」の被害者は往々にして何度も「振り込め詐欺」の餌食になりがちとはいえ、マクロ的には「虚偽の事実」に基づく「振り込め詐欺」を前提に安定したビジネスモデルを構築することは到底不可能であるのとパラレルに、朴正煕大統領閣下を除く、歴代の韓国の大統領が繰り返してきた所謂「従軍慰安婦」なるものを認め謝罪せよという「振り込め詐欺」に、これまた日本のほとんどの歴代の政権が引っかかってきた不名誉で不細工な現実はあるにせよ、)事実無根の虚偽を前提にして安定した外交などは土台構築できるはずもない。
ならば、これは綺麗事や皮肉ではなく、「訳が分からず認めた河野洋平っていうバカが、日韓関係をダメにした」と石原都知事が喝破されている如く、実定国際法と確立した国際政治の慣習に則って編み上げられるべき、日本と韓国との外交の合理化・透明化・公平化を進める上でもこの「河野談話」が大きな障害になっている。と、そう私は考えます。まーもっとも、私自身は、支那・韓国・北朝鮮という特定アジア諸国と日本との関係は「政凍経冷」くらいがちょうどよいと思っていますから、この最後の点はどうでも良いことではあるのですけれども(笑)。
ことほど左様に、最早、「河野談話」の虚偽を放置しておくことはできない。もちろん、「安倍晋三内閣による「強制連行を示す資料はない」との閣議決定が法的に優先されると指摘し、「閣議決定と談話では天と地の差がある」」という橋下大阪市長のコメントにもある通り、日本の国内法的には、安倍政権による閣議決定(2007年)によって「河野談話」は否定された。けれども、こと政治社会学的にはこの「河野談話」はその害毒をいまだに世界に撒き散らしている。このことは遺憾ながら否定できない日本を巡る国際政治の現実でしょう。
蓋し、再度記しますが、最早、「河野談話」の虚偽を放置しておくことはできない。而して、現在では談話のその害毒が法的なものではなく政治社会学的なものに移行してしまっている以上、「河野談話」を槓杆として回転している虚偽と反日の車輪を止めるには、その談話の主の河野洋平氏ご本人に、談話の事実関係の誤りを認めさせ、それがもたらした日本の国益への実害を謝罪させ、物理的に江ノ島海岸、あるいは、大磯ビーチか鎌倉の材木座の砂浜で腹を切らせるだけでは問題は解決しない。
畢竟、「河野談話」を槓杆とした害毒の再生産プロセスは、最早、その段階に進んでいると思います。ならば、この問題の解決は事実を日本政府が調べその結果を世界に向けて能動的に発信しない限り治癒されることはないのではないでしょうか。
而して、私は、先日、福島第一原子力発電所の事故拡大を決定的にした菅直人氏の不適切な言動を赤裸々に暴露した「国会の事故調査委員会」と同様に、現行憲法によって日本の国会に与えられた国政調査権の正式な発動として、所謂「従軍慰安婦」なるものを巡る「河野談話」の問題(具体的には、①いかにして、このような虚偽に基づく官房長官の私的妄想があたかも日本政府の認識であるかのように世界に向けて発信されたのか、加之、②その前後の歴史として、(「進出」と「侵略」を巡る「歴史教科書の書き換え」を巡る誤報と並んでこの問題に関しても!)朝日新聞の<誤報>がいかにして発信されたのか)を調査/調査結果の完全公開を行うべきではないかと考えます。すなわち、
・専門家の第三者機関を国会に作り
・事実の調査(その調査対象の中には河野氏/誤報を出した朝日新聞の当時の担当者の
証人喚問は当然含まれるべきでしょう)
・結果を資料と共に日本語と英語で公表する
そして、この国会の調査委員会の報告を受けて、速やかに、日本政府は「河野談話」の荒唐無稽さを事実的な根拠を示して、2007年の安倍政権の閣議決定を再度確認するべきであろう。而して、その国会の調査委員会の調査費用は河野洋平氏に全額請求するべき、鴨。まー、神奈川県平塚市の彼のお屋敷を売ればそれくらいの費用は大丈夫ですよ。と、そう私は考えます。
蛇足ながら、朝日新聞の個別の報道を国政調査の対象にすることは、自然人たる個人の人権に比して相対的に副次的な権利内容しか認められない報道機関について、()それが事後的な国会による調査であり「検閲」に当たらないこと。また、()例えば、所謂「悪意理論」を紡ぎ出すことによって、ある不正確な報道がもたらした損害賠償責任について、その報道が「公人」についなされた場合には報道機関にとってより寛容に解した「ニューヨークタイムズ対サリヴァン事件:New York Times Co. v. Sullivan, 376 U.S. 254 (1964)」が名誉毀損に起因する損害賠償を巡るものであり本件とは事案を異にしており、()何より、副次的な表現の自由の受益者にすぎない報道機関が「第4の権力」と呼称される影響力を帯びていることに起因する社会的な責務を鑑みれば、朝日新聞の個別の報道を国会が俎上に載せることには現行憲法が規定する表現の自由の内容からも特に問題はないと考えます。
尚、所謂「従軍慰安婦」なるものを巡る私の基本的な理解については
下記拙稿をご参照いただければ嬉しいです。
・「従軍慰安婦」問題-完封マニュアル(上)~(下)
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/20ed31bc3fbe34030be7c8b2a29b4b72
・戦後責任論の崩壊とナショナリズム批判の失速
http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/65226757.html
・戦争責任論の妄想:高木健一『今なぜ戦後補償か』を批判の軸にして(上)~(下)
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/df613c9e50e4d96c875145fbcc4eaf8a
【資料】
▼“慰安婦性奴隷説”を言い出したのは職業的反日日本人の男
▼捏造された慰安婦問題拡散のきっかけの1つが朝日新聞大誤報
慰安婦問題が広く知られるようになって20年以上が過ぎた。第2次世界大戦時、日本軍が慰安婦を強制連行したとの「説」はその後の調査研究によって、事実ではないと結論が出た。しかし、残念なことに、勉強不足から慰安婦問題については韓国側の主張が「正しい」と信じている日本人も少なくない。
東京基督教大学教授の西岡力氏が慰安婦問題の捏造について語る。ここでは誰が慰安婦問題のきっかけの1つとなった朝日新聞の大誤報について解説する。
* * *
慰安婦性奴隷説は1983年に吉田清治が『私の戦争犯罪 朝鮮人強制連行』(三一書房刊)という本を出して誕生する。吉田は済州島で日本軍人らを引率し、若い未婚女性や赤ん坊を抱いた母親を連行し、レイプしたという「体験」を語ったのだ。だが、『済州新聞』は、現地住民はそのようなことはなかった、吉田は嘘をついていると語っていると1989年8月14日同紙に書いている。
この吉田の証言から8年後、1991年8月11日、朝日新聞が大誤報をして、第1次慰安婦騒ぎが始まる。「元朝鮮人従軍慰安婦 戦後半世紀 重い口開く」という大見出しを付けた記事は〈日中戦争や第二次大戦の際、「女子挺身隊」の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた「朝鮮人従軍慰安婦」のうち、一人がソウル市内に生存していることがわかり、「韓国挺身隊問題対策協議会」が聞き取り作業を始めた〉というリードが付けられていた。
「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され」と書いている点が吉田証言に乗っかった悪意を持つ誤報だった。なぜなら、名乗りを上げた元慰安婦、金学順さんは「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され」てはいないからだ。彼女は貧しさのため母親に40円でキーセン(妓生。朝鮮半島の芸妓・娼婦を指す)として売られたと訴状などで明言しているのだ。今現在まで朝日新聞はこの誤報を訂正していない。
1992年1月に訪韓した宮沢首相は盧泰愚大統領に8回謝った。私は同年2月、外務省北東アジア課の幹部に、首相は権力による強制連行を認め謝罪したのか、貧困による人身売買の被害に対して謝罪したのかと質問したところ、これから調べるという驚くべき回答を得た。以上のような内容を私は同年4月号の月刊『文藝春秋』に書いた。
私の論稿が出た直後、現代史学者の秦郁彦先生が吉田証言について現地調査を行ない、先に引用した済州新聞の記事などを発見して吉田証言も嘘であることを暴いた。金学順さん以外の名乗り出た元慰安婦の証言についても、ソウル大学名誉教授の安秉直先生が学術的な調査を行ない、権力による連行は証明できないという結論を出した。
日本政府は1992年1月以降、過去の公文書を徹底的に調査したが、女子挺身隊制度と慰安婦は全く別物であり、慰安婦を権力によって連行したことを示す文書は1つも出てこなかった。以上のように、第1次論争で実は事実関係については決着がついていた。
(SAPIO・2012年8月22・29日号)