英語と書評 de 海馬之玄関

KABU家のブログです
*コメントレスは当分ブログ友以外
原則免除にさせてください。

時事英語コラムでも特定秘密保護法を批判する朝日新聞

2013年12月12日 09時55分59秒 | Weblog



特定秘密保護法が成立した先週末日曜日の朝刊。朝日新聞の「家庭欄」(スタディー)を見て、
思わず吹き出してしまいました。これです。


railroad
The ruling coalition railroaded the state secrets protection bill through the Lower House.

[訳]
与党は、特定秘密保護法案を衆議院で強引に可決させた。

(以上、転記終了)



この和訳には特に問題はないと思います。問題というか「吹き出してしまった」のは、例文の後、訳の前にサンドイッチされた〈解説〉の内容、てゆーか、その言い種。


「railroadには、「~を強行採決する、無理に急がせる」の意味がある。例文は、外交や安全保障上の秘密を漏らした公務員らを処罰する特定秘密保護法案が衆院で可決されたことを報じた[朝日新聞の英語ニュースサイトの!]記事から。知る権利の侵害など問題の多い同法案は、国連の人権高等弁務官も批判していた」という箇所です。


最後の「知る権利の侵害など・・・」は、英語学習コラムの「解説」には、不要な盲腸みたいなものですよね、多分。しかし、まー、それを書くか書かないかは解説者のセンスというか気分に任せられるべきことではある、鴨。致命的なのは、この解説には嘘が書かれていること。そう、例えば、池田信夫さんがブログで指摘されているように「日本以外には、「強行採決」という言葉は存在しない」(強行採決は民主主義の機能する第一歩・2013年12月5日)のだから。

要は、(1)与野党が議院運営理事会つまり実際には「与野党の国会対策委員会」で決めた審議日程を、(2)衆参の委員会の委員長や議長が無視して、(3)行われた採決を「強行採決」と呼ぶとすれば、そんな「強行採決」などおよそ日本にしかないということ。そんな採決は米英では普通のことだから、特に名称は存在しないのです。だからこそ、アメリカの議会では採決妨害のために、一昼夜にも及ぶマラソン演説(filibuster)を法案反対派は行う。

なぜか、

はい。演説が終わった刹那、採決の動議が出されるにせよ、委員長や議長(アメリカ上院の場合は、副大統領が名目上は「上院議長」ですから、実質的な議長である上院副議長)が職権で行うにせよ、さっさと採決されるからです。


ことほど左様に、「railroadには、「~を強行採決する」の意味がある」というのは嘘。少なくとも、間違い。故意に書かれたとすれば姑息な世論操作、過失とすれば杜撰な解説。逆に言えば、特定秘密保護法反対派の方が友人のアメリカ人に「与党は衆参の両院で強行採決したのよ!」(They railroaded the bill through both houses! )と安倍政権の非道ぶり(?)を訴えたとしても、そのアメリカ人の友人の方は「それがどないしたん?」(So what?)としか思わないだろうということです。と、そう私は思います。


それにしても、朝日新聞の反特定秘密保護法の執念というか同法案が成立したことに対する悔しがりようというかは凄いですよね。当分、〈成仏〉する気配はないような・・・(笑)

いや、本当、明日の「家庭欄のお料理のコラムに、

例えば、

そう例えば、

「海上自衛隊のカレーのレシピ」なんかが紹介されていて、そいでもって、「このレシピは横須賀の海上自衛隊の基地で取材させていただいたものですが、取材に応じてくださった自衛官の方や取材した記者も特定秘密保護法で処罰されたりするような、そんな息苦しい世の中になるのではないか心配です」

とかとか書かれていたとしても
私は驚かない、鴨です。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。