▼ダルビッシュ選手頑張れ!
-而して、野茂英雄選手に回顧する「アメリカ社会侮り難し」の体験
March 05, 2012 14:56:22
球技は、サッカー、しかも、厳密に言えば「女子サッカー」にしか興味ない、鴨の私ですが、メジャーリーグ(MLB)の日本人選手には結構注目しています。とくに、今年は、私の好きな「パリーグのエース」と言うべき存在だった、ダルビッシュ投手が太平洋を渡ったので格別。そのダルビッシュ選手はアメリカの現地でも強い関心を集めているらしい。
б(≧◇≦)ノ ・・・頑張れ、ダルビッシュ選手~!
▽ダルビッシュ会見速報! 報道陣は騒ぎすぎ~
ダルビッシュの会見には150人以上の日米メディアが殺到した。入札金を含めて1億1000万ドル(約88億円)超が動いた大型移籍でテキサスレンジャーズ入りしたダルビッシュ。全米注目の右腕にファンも日米メディアも殺到した。
--ファンや報道陣の多さ、サイン攻めは想像通りか、初めてか
「日本でもそういうことはあったりしたので、全然何もびっくりせず、普通に対応できました」
--コミュニケーションを積極的にとっている
「同じユニホームを着ているので話しかけるのは当たり前。変に日本人だけで固まるのも失礼。
多少まだ言葉は出てこないが、メチャクチャな英語で言ってます」
--今季どれくらいいい結果を出せると思うか
「1球も投げてないので何もわからない。よりよい投手になりたいとは思うが、
自分では何も予想は立てられない」
--このキャンプでも日本式の球数の多さを続けるのか
--分刻みで行うブルペン投球や打撃投手に難しさは
「僕はもともとキャンプで、球数をチームでも一番投げてなかった。これくらいで十分です」
「すべてに適応する以外、何もない。文句言うつもりもない。5分と言われば5分。普通に気持ちよくやりましたけど」
--日本から来ている投手で成功していない例も多いが、自分がレッテルをはがしたい気持ちはあるか
「あります。でもその重圧はない」
--報道陣の騒ぎをどう感じるか
「なんか、ちょっと過剰じゃないかなと思いますけど。そんなに注目されるような人間かなと、
自分では思う」
(ZakZak:2012年2月24日)
さて、ダルビッシュ選手のMLB初年度の活躍を期待するとき、しかし、私には忘れられない思い出があります。それは、実質的に日本人メジャーリーガーの先駆者、野茂英雄選手のこと。まずは、野茂選手引退の報道をプレーバック・・・。
▽野茂投手、現役引退 メジャーでノーヒット・ノーラン2回
米大リーグでノーヒット・ノーランを2度達成した野茂英雄投手(39)が現役を引退することが17日、分かった。野茂は、1990年に近鉄入り。1995年にドジャースに入団、日本人選手の米大リーグ進出の先駆け的存在となった。大きく振りかぶってから背中を打者に向ける独特の投法は公募により「トルネード投法」と命名された。日本と大リーグで通算201勝(155敗)。
(産経新聞:2008年7月17日)
野茂選手について忘れられない思い出というのは、引退の13年前、1995年のシーズンに近鉄バッファローズからロサンゼルス・ドジャーズに移籍した時の野茂英雄投手のこと。実は、この年は仕事で、5月上旬と8月下旬の二回私はアメリカを訪れました。
その5月、Base ballが大好きな旧知の大学関係者達に私が「野茂はどうですか。メジャーで活躍できると思いますか?」と聞いたら、マサチューセッツでもミネソタでも(そして、サンフランシスコでも!)皆、
”Nomo who?” ”I don’t know of a Nomo.”
「野茂って誰?」「野茂とかいう奴なんか知らないよ」・・・。
(ちなみに、I know Nomo.は「野茂選手を(個人的に親しく)知っている」:I know of Nomo.は「(知識や情報として)野茂選手のことを知っている」の意味。また、人名に不定冠詞がつくと、a Charles Johns「チャールズ・ジョーンズと名乗る人」の意味です)。
そして、それから12週間後の8月末。その時すでに10勝をあげ、奪三振王確実の成績を収めていた野茂投手のことを、春と同じ大学関係者の人々が逆に私に聞くではありませんか。
”Do you know Nomo?” と。而して、私は
”No. but I know of him very well!”と答えましたとも。
その時、日本人としてなんと誇らしかったことか。
б(≧◇≦)ノ ・・・ありがとう、野茂選手~!
б(≧◇≦)ノ ・・・次は君の番だ、頑張れ! ダルビッシュ選手~!
蓋し、このエピソードはアメリカの社会の一面をよく表していると今でも思います。つまり、(優等生的な言い方ではなくて)アメリカでは国籍やエスニシティー(ethnicity)の違いを超えて、フェアにルールを遵守しつつ活躍した者には誰もが賞賛を惜しまないということです。それこそが、健全な「保守主義」のエートスというものであろう、と。
もう一つエピソード。アメリカでは、野球といわずフットボール(=日本語では「アメリカン・フットボール」)といわず、また、プロとアマとを問わず「地元意識」が凄いです。簡単に言えば、すべてのチームについて、日本の、そう、「野球では甲子園球場の阪神タイガース、Jリーグでは新潟のアルビレックスや浦和のレッズ、鹿嶋のアントラーズの3.3倍の地元意識」と言えば少しはイメージしていただけるでしょうか。
例えば、私は、昔、ウイスコンシン州との州境にある人口10万人弱のミネソタ州のある大学町に長期滞在したことがありますけれども、そこは1Aの(=日本で言えば、トップ選手の1軍から3つ下の「4軍」レベルの、)独立系のあるプロ野球チームの本拠地だった(★)。
★註:Duluth-Superior Dukes
Dukesは、アメリカでも最初の女性プロ野球選手の一人、Ila Borders選手が在籍していたことでも有名ですが、残念ながら、2003年のシーズン以降、フランチャイズを移して「Kansas City T-Bones」と名称も変更しました。Duluth市民、そして、隣接するウイスコンシン州のSuperior市の皆さんの慚愧の念は想像するに余りあります。
而して、こと野球に関してその町で「今日は勝った」「先週は負け越した」のセンテンスの主語(They)はすべてその1A球団-「Dukes:Duluth-Superior Dukes」のこと。誰も、州一の大都市ミネアポリスが擁するツインズや、まして、ヤンキースやレッドソックス(日本でいえばさしずめ「巨人」と「阪神」?)、あるいは、テキサスレンジャーズ(くどいですが、それに、なーんも根拠はないですが、日本に置き換えれば「ソフトバンクホークス」?)のことなど話題にもしません。
これを見聞きすれば、アメリカ体験の醍醐味は地域コミュニティーの一員になることであり/実利的にも地域コミュニティーの一員になればアメリカも英語も数倍深く理解できるんだなと誰しも気づくと思います。
重要なことなので再度書いておきます。何を私は言いたいのかといえば、それは、大きく言えば「異文化理解」の積み木の部品調達作業に他ならない英語のセンテンスの理解には英文法の知識はマストだとしても、それは英語のセンテンス理解の必要条件にすぎず十分条件ではないということ(English grammar is not a sufficient condition but a necessary condition to understand an English sentence.)。ならば、最低限の英文法の知識をさっさと獲得した上で、実際に、英語を使うのが合理的に決まっているということ。
その点、アメリカで地域コミュニティーの一員になれるようなら、使える英語力の向上においてもそれは最高の環境であり手段でしょう。他の有力なメソッドと単刀直入に比較しても、それは、英語のネーティブスピーカーの彼氏や彼女、夫や妻を持つよりも遙かに効果的でしょう。だって、所詮、彼氏・彼女、夫・妻とのコミュニケーションは「非言語コミュニケーション」で代替可能な要素の比率が高いですからね。
而して、地域コミュニティーの一員になるためにも英語力は大事。そして、最初のうちは変な英語(?)だなーと思われようと、(支那の人や韓国の人とは違い、世界でも評判のよい日本人らしく、あくまでも、TPOをわきまえて)どんどん話しかける勇気がもっと大事。
ならば、ダルビッシュ選手の記者会見の言葉、「同じユニホームを着ているので話しかけるのは当たり前。変に日本人だけで固まるのも失礼。多少まだ言葉は出てこないが、メチャクチャな英語で言ってます」というのは、はからずも、正に、その定跡に適った思想と姿勢と行動ではなかろうか。と、そう私は考えます。今年の/今年からのメジャーリーガー・ダルビッシュの活躍はかなり期待できる、鴨とも。
б(≧◇≦)ノ ・・・頑張れ、ダルビッシュ選手~!
ということで、皆さんにもマインドセットにおけるダルビッシュメソッドをお薦めします。
そう、目標は英語圏の地域コミュニティーの一員になることが可能な英語力の獲得。
加之、英語力向上における、英語圏の地域コミュニティーの一員になることの死活的重要性の確信です。
そのためにも今からどんどん、どんどん
英語に触れましょう。英語を使いましょう。
英文法書を捨てて街に出ましょう。可及的速やかに、
英語圏の地域コミュニティーに入りましょう。
そして、そのためにも英文法、鬼のように頑張りましょう。
英文法書を一刻も早く投げ捨てられるように。
Let's do it, shall we?