英語と書評 de 海馬之玄関

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翻訳資料☆アメリカ下院<「従軍慰安婦」を巡る対日批判決議案>

2007年02月22日 09時43分42秒 | 日々感じたこととか

★弊第1ブログ「」からの自家原稿転載記事です。

・松尾光太郎 de 海馬之玄関BLOG

 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba 

ここに紹介するのは、アメリカの第110回議会第1会期(2007年)の下院外交委員会(the Committee on Foreign Affairs)で提案された「反日決議」:「所謂「従軍慰安婦」を巡る対日非難決議」(House of Representatives, 110th Congress 1st Session, Resolution 121, submitted on January 31, 2007)の全訳である。これを読む時、この決議が支那・韓国・北朝鮮という特定アジア3国ならびに彼等の代理人、例えば、朝日新聞の主張とパラレルであることに誰もが気づくと思う。そして、この決議案のロジックの分析からは、所謂「河野談話」がいかにその理路の補強に貢献しているかもまた一目瞭然である。

而して、大東亜戦争後のこの社会で跳梁跋扈し猖獗を極めた戦後民主主義を信奉する勢力、就中、媚支那/媚特定アジア派の反日勢力を、我々、保守派-民族派が「新しい歴史教科書の制作と採択」を軸に批判してきたここ15年の闘いは(その論点の選択と主敵の特定の双方において)間違いではなかったと言えると思う。そして、これからの我々の闘争課題は「闘いの方法論の確立」と「大洋国家日本を再構築するプロセスの確定」ということも。

なぜならば、NGOを含む政治の営みにおいても、「現状が孕む問題の把握→問題を問題たらしめている原因の特定」の次に来るべき作業は「問題解決の方法論の確立」であり、また、新しい方法論を打ち立てるためには(詰め将棋に喩えれば)「問題が解決した場合の<詰め上がり>のイメージ」を確定することと、「その<詰め上がりのイメージ>に向けた具体的な手順の吟味」が有効なことはビジネス一般の営みから類推されるからだ。

蓋し、保守派-民族派を結合させる要因が「特定アジア」であり「戦後民主主義」、または、「コミンテルン流の自虐史観」であるとすれば、他方、(新しい歴史教科書を推進するグループを分裂させ、自民党のコア支持層が拡散しつつあることでも自明なように)保守派-民族派を分断させるものは、「親米」と「グローバリズム」、あるいは、「自己責任の原則と市場主義」を巡る見解の相違であろう。このことを鑑みるに、以下紹介する「反日決議」がアメリカの下院で採択される趨勢にあるという現実は、正に、保守派ー民族派にとって「福音」以外の何ものでもない。

畢竟、それは「アメリカ」と「グローバリズム」を巡る守旧派と改革派への保守の分裂を止揚し再結集を進めるための、思想的な<相互交流の土俵>を提供するだろうからだ。もっとも、この保守派内部の対立は「国家と市場の関係のあるべきあり方のイメージ」という社会思想的-社会政策的な立場の違いにまで遡り得る根深いものであり、その最終的な止揚は容易ではないだろうけれども。

おおよそ、このような問題関心と運動論的な狙いを持ちながら Resolution 121を翻訳した。而して、「日本外交の再構築の方法」および「対特定アジア関係の再構築ならびに一般のアジア諸国との連携強化の方途」を考える際に Resolution 121とそれに付随するテクストの小訳が少しでも役に立つのであれば嬉しい。

尚、テクスト中には、例えば、「所謂「従軍慰安婦」なるもの」と訳すべき"comfort women" という、歴史的事実から見て、いやしくも文明国の(まして、インターネット時代の)議会で採択される文章には不適当な語彙も散見される。けれども、(【】括弧の中で補足した以外は)本ブログでは可能な限りテクストに忠実な訳を供することを優先させた。読者の了解を乞う次第である。

[House of Representatives, 110th Congress 1st Session, Resolution 121]の原典、ならびに、この決議案採択を巡る(i)「日本の対アメリカ外交戦略」、(ii)「河野談話撤回の必要と方法」に関する私の基本的な考えについては下記URLを参照いただきたい。

・決議案テクスト
 http://www.govtrack.us/congress/billtext.xpd?bill=hr110-121

・<慰安婦問題>米下院の決議案採決こそ日本外交再建の好機
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/44919676.html

・<麻生太郎外相>河野談話の可及的速やかなる撤回を!
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/44949836.html


          110th CONGRESS
           1st Session
           H. RES. 121


Expressing the sense of the House of Representatives that the Government of Japan should formally acknowledge, apologize, and accept historical responsibility in a clear and unequivocal manner for its Imperial Armed Force's coercion of young women into sexual slavery, known to the world as `comfort women', during its colonial and wartime occupation of Asia and the Pacific Islands from the 1930s through the duration of World War II.

IN THE HOUSE OF REPRESENTATIVES
January 31, 2007

Mr. HONDA (for himself, Mr. SMITH of New Jersey, Mr. ROYCE, Ms. WATSON, Mr. HARE, Ms. BORDALLO, and Mr. WU) submitted the following resolution; which was referred to the Committee on Foreign Affairs


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              第110回議会第1会期
              下院第121決議案


下院は次のような見解を表明する。すなわち、日本政府は、1930年代から第二次世界大戦の全期間に渡り、アジアの植民地支配と太平洋諸島を占領していた戦時に、日本帝国の軍隊が強制力を行使し若い女性を性奴隷にしたことを(その性奴隷とは、現在では「従軍慰安婦」としてすっかり知れ渡っているのだが、)公式、かつ、平明で明瞭なやり方で認め謝罪すべきであり、また、そのような事実に対する歴史的な責任も同様に平明で明瞭な形式を通して受入れるべきである、と。

於下院
2007年1月31日

Mr. HONDA (および、Mr. SMITH of New Jersey, Mr. ROYCE, Ms. WATSON, Mr. HARE, Ms. BORDALLO, and Mr. WU) は以下の決議案を提出した。而して、当該決議案は【下院】外交委員会に付託された。

★KABU註:この決議案の提案者7議員については下記URLを参照
Mr. HONDA:民主党(CA) http://www.govtrack.us/congress/person.xpd?id=400185
Mr. SMITH:共和党(NJ) http://www.govtrack.us/congress/person.xpd?id=400380
Mr. ROYCE:共和党(CA) http://www.govtrack.us/congress/person.xpd?id=400348 
Ms. WATSON:民主党(CA)http://www.govtrack.us/congress/person.xpd?id=400423
Mr. HARE:民主党(IL)  http://www.govtrack.us/congress/person.xpd?id=412204
Ms. BORDALLO:民主党(GU)http://www.govtrack.us/congress/person.xpd?id=400041
Mr. WU:民主党(OR) http://www.govtrack.us/congress/person.xpd?id=400437

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RESOLUTION
Expressing the sense of the House of Representatives that the Government of Japan should formally acknowledge, apologize, and accept historical responsibility in a clear and unequivocal manner for its Imperial Armed Force's coercion of young women into sexual slavery, known to the world as `comfort women', during its colonial and wartime occupation of Asia and the Pacific Islands from the 1930s through the duration of World War II.


★KABU註:上記、同一テクストの訳参照

Whereas the Government of Japan, during its colonial and wartime occupation of Asia and the Pacific Islands from the 1930s through the duration of World War II, officially commissioned the acquisition of young women for the sole purpose of sexual servitude to its Imperial Armed Forces, who became known to the world as ianfu or `comfort women';

以下の事実を鑑みるならば、すなわち、1930年代から第二次世界大戦の全期間に渡り、アジアの植民地支配と太平洋諸島を占領していた戦時に日本政府が、帝国の軍隊に供される性奴隷(性奴隷とは、現在では「慰安婦」や「従軍慰安婦」としてすっかり一般に定着しているけれども。そのような性奴隷)にする唯一の目的のために、若い女性の調達を公式に委託した事実。この事実を考慮すれば;



Whereas the `comfort women' system of forced military prostitution by the Government of Japan, considered unprecedented in its cruelty and magnitude, included gang rape, forced abortions, humiliation, and sexual violence resulting in mutilation, death, or eventual suicide in one of the largest cases of human trafficking in the 20th century;

Whereas some new textbooks used in Japanese schools seek to downplay the `comfort women' tragedy and other Japanese war crimes during World War II;

Whereas Japanese public and private officials have recently expressed a desire to dilute or rescind the 1993 statement by Chief Cabinet Secretary Yohei Kono on the `comfort women', which expressed the Government's sincere apologies and remorse for their ordeal;


以下の事実、すなわち、「従軍慰安婦」の制度が日本政府の手になる軍隊のための強制売春の仕組みであることを鑑みて、さらに、「従軍慰安婦」制度がその残酷さと規模の大きさにおいて前例のないものであること、換言すれば、それは、強制連行、堕胎の強要、陵辱、および、身体の障害に至らしめる性的な暴力、死、あるいは、結局自殺を選ばざるをえなくした、20世紀の人身売買の中でも最大規模のものであることを考慮すれば;

以下の事実、すなわち、日本の学校で使用されている幾つかの新しい教科書が「従軍慰安婦」の悲劇や第二次世界大戦中の日本の戦争犯罪を控えめに扱おうとしていることを考慮するならば;

以下の事実、すなわち、日本の朝野の有力者が近年、河野洋平内閣官房長官が「従軍慰安婦」に関して公表した1993年の談話の効果、(それは、この苦い経験に対する【言い訳できないような破廉恥な自らの行いに対する】日本政府による衷心からの謝罪と慚愧の念の表明であったのだが、その河野談話の効果)を退歩、あるいは、撤回したいという願いを表明していることを考慮するならば;


Whereas the Government of Japan did sign the 1921 International Convention for the Suppression of the Traffic in Women and Children and supported the 2000 United Nations Security Council Resolution 1325 on Women, Peace, and Security which recognized the unique impact of armed conflict on women;

Whereas the House of Representatives commends Japan's efforts to promote human security, human rights, democratic values, and rule of law, as well as for being a supporter of Security Council Resolution 1325;

Whereas the House of Representatives commends those Japanese officials and private citizens whose hard work and compassion resulted in the establishment in 1995 of Japan's private Asian Women's Fund;

Whereas the Asian Women's Fund has raised $5,700,000 to extend `atonement' from the Japanese people to the comfort women; and


以下の事実、すなわち、日本政府は1921年の女性および児童の人身売買防止協定に署名しており、また、武力紛争における女性の特異な影響力を確認した【武力紛争により被害を受ける人々の多くが女性であり、他方、紛争の予防および解決における女性の役割の重要性を再確認した】女性と平和及び安全保障に関する 2000年の国連安保理決議1325号に対して日本政府が支持を表明したことを考慮するならば;

以下の事実、すなわち、国連安保理決議1325号の支援者であることのみならず、人間の安全保障、基本的人権、民主主義の価値、および、法の支配を推進しようという日本の取り組みを下院が賞賛してきたことを考慮するならば;

以下の事実、すなわち、その勤勉と義侠心をして1995年に日本の民間の【組織である】女性のためのアジア平和国民基金【略称は「アジア女性基金」】を設立せしめた日本の政府職員および市民の方々を下院が賞賛してきたことを考慮するならば;

以下の事実、すなわち、アジア女性基金は5,700,000ドルの資金を集め、日本の人々から元従軍慰安婦への贖罪を進めてきたことを考慮するならば;而して、



Whereas the mandate of the Asian Women's Fund, a government initiated and largely government-funded private foundation whose purpose was the carrying out of programs and projects with the aim of atonement for the maltreatment and suffering of the `comfort women', comes to an end on March 31, 2007, and the Fund is to be disbanded as of that date: Now, therefore, be it

Resolved, That it is the sense of the House of Representatives that the Government of Japan--

(1) should formally acknowledge, apologize, and accept historical responsibility in a clear and unequivocal manner for its Imperial Armed Force's coercion of young women into sexual slavery, known to the world as `comfort women', during its colonial and wartime occupation of Asia and the Pacific Islands from the 1930s through the duration of World War II;

(2) should have this official apology given as a public statement presented by the Prime Minister of Japan in his official capacity;

(3) should clearly and publicly refute any claims that the sexual enslavement and trafficking of the `comfort women' for the Japanese Imperial Armed Forces never occurred; and

(4) should educate current and future generations about this horrible crime while following the recommendations of the international community with respect to the `comfort women'.


以下の事実を鑑みるならば、すなわち、アジア女性基金の【外務省との間の】委任契約が2007年の3月31日をもって終了し、同日には基金も解散する予定であること。他方、アジア女性基金が政府の主導で創設され主に政府拠出資金によって成り立っている民間の基金であり、同基金の目的は「従軍慰安婦」が被った虐待と受難に対して償いを施すために【諸々の】プログラムとプロジェクトを実行するものであったことを考慮すれば;今や【これらの事実と根拠】ゆえに、以下の如く決議されるべきである、と。すなわち、下院は日本政府が次のことを行うべきと考える。

(1) 1930年代から第二次世界大戦の全期間に渡り、アジアの植民地支配と戦時に太平洋諸島を占領しているた戦時に、日本帝国の軍隊が強制力を行使し若い女性を性奴隷にしたことを(その性奴隷とは、現在では「従軍慰安婦」としてすっかり知れ渡っているのだが、)公式、かつ、平明で明瞭なやり方で認め謝罪すべきであり、また、そのような事実に対する歴史的な責任を受入れるべきであること

(2) 首相の公的な資格に基づた公式な謝罪を行い、かつ、それは【文書の形式で】公表されるべきこと

(3) 日本帝国の軍隊のための【若い女性の】性奴隷化や「従軍慰安婦」の人身売買など存在したことはないという主張を明確かつ公式に否定すること

(4) 国際社会のすすめに従い、「従軍慰安婦」を巡るこの恐るべき犯罪のことを現在および将来の世代に対して教育すべきこと

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