かって、1950年代-60年代には人口20万を超えていた地方都市があり、当時のエネルギー資源の中核であった石炭についてその地方都市が全国生産の4割を毎年採掘していたとします。そして、その<東京>や<西洋>から遠く離れたある地方都市の子供達にとって、自分が住むその街の繁栄、よって、<東京>や<西洋>と自分がつながっている誇らしさを確認する<場所>があり<儀式>があったとします・・・。
はい、そのある地方都市とは福岡県大牟田市のこと。
そして、誇らしさを確認する<場所>こそ、かって、大牟田市に存在した松屋デパートであり、その<儀式>とはデパートの6階食堂でお子様ランチか洋風かつ丼をいただくことでした。そんな月に1回あるかないかのハレの<儀式>には、もちろん、よそ行きの服を着せてもらいお出かけ。
而して、<儀式>の最中には6階食堂の窓に拡がる、この街の活気を感じながら、
大牟田の子供達は自分が天下を取った気分になったものです。
それから幾星霜。あの「総資本 vs 総労働」と呼ばれた三池争議
が終わって(1959年-1960年)半世紀。三池炭鉱もすでにない。
そして、大牟田市の人口は減少の一途を辿り、
松屋デパートも2004年倒産。
(><)
そんな大牟田市出身者にとって小さいけれど嬉しいニュースを聞いた。
そう、松屋デパートのあの「洋風かつ丼」が復活する、と!
・おおむた洋風かつ丼
http://www.omutacci.or.jp/omutayoukatsu/about/index.html
ということで、今年の3月半ばに試作品披露イベントが開催された。そのイベントは主催者側--大牟田商工会議所・おおむた洋風かつ丼研究会--の予想を遥かにこえて長蛇の列。整理券もたちまち完売(?)。なにより、そんな一度にどっとお客が来るとは読んでいなかったのか、イベント会場の臨時の厨房では途中で何度かライスがなくなっていた・・・(苦笑)。
つまり、「松屋デパートの洋風かつ丼」をもう一度食べてみたいという隠れキリシタンみたいな市民や大牟田市出身者は、少なくとも、主催者側の想定よりも多かったということでしょうか。実際、熊本県の長洲に「松屋デパートの洋風かつ丼」を出すレストランがあると聞けば行ってきたとか、大牟田市内のあるゴルフ場のレストランで「松屋デパートの洋風かつ丼」を出していると耳にすれば駆けつけた--山のあなたの空遠く・・・涙さしぐみ帰ってきた--という隠れキリシタンの苦労話はそう珍しくないものね。
而して、KABUと「松屋デパートの洋風かつ丼」マニアの友人の見立てに拠れば、
その試作品はまずまずの出来映えであり、これなら「松屋デパートの洋風かつ丼復活」と
公言しても広言ではなかろうというもの。完成品が楽しみだよね、と。
それからしばらくして、そう確か、試作品披露イベントから半年経過した、
今年の10月。これまたちょうど帰省していたおりに完成品がリリースされた。
しかも、洋風かつ丼を提供する32ものお店がスクラムを組んでの、
松屋デパートの洋風かつ丼復活を核にした街おこし企画に組み込まれた上で。
ヽ(^o^)丿ヽ(^o^)丿ヽ(^o^)丿
けれど、この企画はそういい評判ばかりではない。
少なくとも、私の廻りではかなり評判が悪い。
なぜか、はい、それは、
>松屋デパートの洋風かつ丼復活、
>ただし、<本物>は32分の2、ということだから。
確かに、<本物>は32分の2ですよ、と主催者が作成した
『復刻版! おおむたの魂飯--ソールフード--洋風かつ丼MAP』の協賛店のメニューには、よく読めばちゃんとそう書いてある。
けどね、
ならね、
なら、
協賛32店に商工会議所が配布した共通ののぼりに
書かれた「復刻版」の三文字はまずいでしょうよ、と。
実際、現在、同志達と手分けして確認した範囲では、主催者が<本物>と認定している、2店舗、すなわち、--今後の参考に『洋風かつ丼MAP』の番号を添えておけば--㉖中国料理彩花さんと、㉚旧三井港俱楽部の洋風かつ丼に加えて、JR大牟田駅改札前バス停横の㉕写楽と歌麻呂さんの<作品>を除けば他は「松屋デパートの洋風かつ丼」とは全くの別もの。似て非なるどころか全くの別もの。
б(≧◇≦)ノ ・・・松屋デパートの洋風かつ丼復活、
б(≧◇≦)ノ ・・・ただし、<本物>は32分の2?
б(≧◇≦)ノ ・・・これ詐欺ちゃうんかい!
洋風かつ丼を鍵にしたこのイベントに関する主催者側のロジックは、例えば、「松屋デパートの洋風かつ丼」の復刻版と言える<本物>は確かに2個しかない。けれど、2個にせよ<本物>を復活させたわけだし、後は、それら<本物>を中核にして「洋風かつ丼」を鍵にした街おこしをしてなにが悪いのか、と。ラーメンや餃子を鍵にした街おこしやうどんを鍵にした県おこしが許されるなら、そんな、「松屋デパートの洋風かつ丼」か「洋風かつ丼」か、など細かいことは言いいなさんな。それともあんたは朝日新聞か、と。
実際、批判に対する理論武装(笑)のためなのか、『洋風かつ丼MAP』には「おおむた洋風かつ丼」の定義も書いてあった。畢竟、このイベント企画は白黒はっきり言えば<松屋デパートの洋風かつ丼>の思い出に連なる、洋風かつ丼を鍵にした街おこしなのでしょう。而して、<本物>の松屋デパートの洋風かつ丼の復活はそのためのイベント開始を告げる花火にすぎなかった、と。
▼おおむた洋風かつ丼の定義
1)ご飯とカツ
白いご飯の上にカツを直接乗せます・・・。
2)ソース
とろみのあるソースを使用します。
市販のソースをアレンジせずに利用することは
決してありません。
3)フォーク
昔ながらの雰囲気とともに味わって頂くため、
フォークでお召し上がり頂くことを基本としています。
でもね、
どこまで行っても、
>「復刻版」の三文字はまずいでしょう
ならば、「松屋デパートの洋風かつ丼」と「洋風かつ丼」の概念の使い分けは、朝日新聞の「従軍慰安婦」と「慰安婦」の概念の使い分けのような姑息なもの。少なくとも、イベント主催者側やこのイベントに補助金を支給する県の役人のロジックではあっても、多くの市民やまして隠れキリシタンを納得させるものではないでしょう。
と、そう私は考えていました。
【レストランだいふくさんの作品】
それから2カ月。現在では私は違う考えをしています。
「復刻版」の三文字は勇み足にしてもこのイベント企画はあり、鴨と。
このイベント企画のロジックは思想的にも妥当なもの、鴨と。
そう考えを変えたのは、㉜大牟田温泉満月の湯でいただいた「豚カツ自体にスパイスで味付けしてみました」という<作品>を美味しいと思ったことと、㉕写楽と歌麻呂のマスター、⑨たかののオーナーシェフさんと話をしたこと。
彼等はどう言ったか。
はい、それは、
簡単に言えば、技術的には<本物>を復刻することは自分にも可能だけれど--現下のイベント企画のためにレシピを手弁当で開発して、それを協賛店舗に提供した㉖中国料理彩花さん、および、公式にそのレシピを再現していると認定されている㉚旧三井港俱楽部の<作品>以外をとりあえず主催者が<本物>と認定することはないだろうし、多分--、寧ろ、自分は<松屋デパートの洋風かつ丼>が子供達に提供していたわくわく感やら誇らしさ「自分が天下を取った気分」をこそ提供する道を選ぶ、と。
そして、「実際、今食べてみなさいって、「松屋デパートの洋風かつ丼」はそーんなに美味しいものじゃないよ。なら、料理人として、それが<本物>ではないにせよ俺は美味しいものを出したい」、と。
具体的には、
⑨たかののソースは<本物>とは別ジャンルのデミグラスソース
㉕写楽と歌麻呂のカツは<本物>に比べてゴージャス
どういうことか。
はい。
つまり、彼等にとって再現に向けて解読されるべき<松屋デパートの洋風かつ丼>という<テクスト>の意味は、物理的な料理としての「松屋デパートの洋風かつ丼」ではなく、<松屋デパートで洋風かつ丼を食べていた自分の誇らしいイメージ>というより拡大された<テクスト>であるということでしょうか。そして、これは、主催者が定義に書いていた「昔ながらの雰囲気とともに味わって頂く」ということと通底していることなの、鴨です。
と、私は今はそう考えているのです。
【中国料理彩花さんの作品-正解1】
この理路を検算すべく、ここで、
ちゃぶ台返しのような話を大小二つ記しておきます。
松屋デパートの倒産から10年。
実は、現在では正確な意味では、当時の醤油なり油なり
調味料は入手できないということ。
つまり、正確に言えば、最早、<本物>は誰にも作れないのです。
これが第一のちゃぶ台返し。
次に、実は、松屋デパートが倒産するまで10年近くにわたって、松屋デパートで「松屋デパートの洋風かつ丼」を作っていた料理人の方は、現在も大牟田市在住と言うこと。しかも、彼は、数年前まで、大正町交番近傍で「きまぐれや」という料理屋さんを開いておられ、常連さんの注文があれば「松屋デパートの洋風かつ丼」を出していた由。
KABUは残念ながらその<作品>を食したことはありませんけれど、何度も食した元常連の方々に聞くと、今回のイベント企画の<本物>は良くできているけれど--微妙にせよ、鶏ガラスープが入っていない等々--、まちがいなく本物のはずのきまぐれやさんの「松屋デパートの洋風かつ丼」とは微妙に違うということ。つまり、正確に言えば<本物>も「完全な復刻版」ではないかもしれないのです。
そして、もっと怖い想定は、「松屋デパートの洋風かつ丼」には時代により厨房で働いていた人々の人脈により複数の系統があるのかもということ。そう、マルコによる福音書の系列--共観福音書の系列--の<テクスト>だけではなくヨハネによる福音書の系列の<テクスト>もまた存在したようにです。これが第二のちゃぶ台返し。
ここまで来ると「本物とは何か」という哲学的な話になるのかもしれない。
ならば、私は、かなり正確な<本物>が32分の2にせよ存在する限り、単に、洋風かつ丼ではなく<松屋デパートで洋風かつ丼を食べていた自分の誇らしいイメージ>をも提供してくれる<作品>が<松屋デパートの洋風かつ丼>という<テクスト>の現在における正解ではないかとさえ考えるのです。
蓋し、トルコライスのような⑬さんげん堂さんの<解釈>も、⑥もんど水産さん、⑧もんど商店さんの魚のフライを大胆にあしらった<解釈>も、豚バラ肉をミルフィーユにしちゃった⑳もんどころさん、チーズを贅沢に使った⑮丸徳鮮魚市場さん、なにより、⑨たかの同様にデミグラスソースでこの<拡大されたテクスト>の意味に迫った㉓レストランだいふくさんの<解釈>もお洒落ではないか。畢竟、<松屋デパートで洋風かつ丼>という<テクスト>は過去に対してだけではなく未来に向けても開かれていると言うべきなの、鴨とも。
蛇足ながら申し添えておくと、この<解釈>の開かれた構造という経緯は、
所謂「地方再生」一般についても言えることなの、鴨。
例えば、三池炭鉱なき現在、どんだけ待っていても、シャッター商店街が
往時のように復活することなどありませんよ。11万を切りつつある現在の
大牟田市が、ほっといて昔のように20数万の人口を回復することなどもない。
ならば、「東京と地方の格差が問題!」とか大騒ぎするリベラル派の--結局、東京で国が徴収した税金だのみの無責任な--主張はほっておいて、人口10万を切っても暮らしやすい、そして、子供達が誇りを持てる<地方>を再構築するしかないのではないか。
蓋し、<大牟田>という<テクスト>の意味とイメージを再解釈しなければならない。そのためには、最早、過去に根ざした<再生>ではなく、例えば、近隣のみやま市、熊本県南関町や荒尾市とともに新たな<自分の街>を<創生>する--デミグラスソース的な--将来に向けた<テクスト>のダイナミックな解釈作業が不可欠になるの、鴨です。
<(_ _)> お粗末さまでした。
多目的交流施設「えるる」
(要は、あの、「染料の売店」の跡地!)
の道向かいに佇む洋風膳所たかの
尚、「大牟田」に関しては下記拙稿も御参照いただければ嬉しいです。
・地方再生と日本再生を郷里・大牟田で思う(上)~(下)
http://ameblo.jp/kabu2kaiba/entry-11148540450.html
・OMUTA, my Hometown
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/af5b5b18617c5c6e6499a3949d794379
・なしをいただいた、嬉しかった。なぜだろう?
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/0abee39acedde2838a544c2c679b0b25
・小さな<窓>からも空は見える-日本再生のケーススタディーとしての福岡県大牟田市の菓子舗だいふく物語
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/2dcd3dfb908582c9cd5581881d5a6187
・マンハッタンで書店が激減--そこに垣間見える日本の地方創生のヒント
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/09d308f3eb0fd0271ce0e94e7b3308a2
・海外報道紹介☆京都の<観光開発>に見るマーケティングの欠如(上)(下)
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/61b73b94d2b970004f0d4dc0438621ec
大牟田名物「おおむた洋風かつ丼」をレストランだいふくで食す
2019年12/29(日) 10:46
大牟田名物「おおむた洋風かつ丼」をレストランだいふくで食す
12/29(日) 10:46配信ファンファン福岡
大牟田と言えば、
「炭鉱」、キャラクターの「ジャー坊」、「草木饅頭」、「高菜漬け」
などが有名ですよね。
そして今、大牟田市動物園をテーマにした映画「いのちスケッチ」でも盛り上がっているのですが、大牟田名物グルメ「おおむた洋風かつ丼」というのがあるのをご存知でしたか?
大牟田商工会議所のホームページによると、「おおむた洋風かつ丼」とは以下のように定義されているとのことです。
『おおむた洋風かつ丼の定義
1、ご飯とカツ
白いご飯の上にカツを直接乗せます。キャベツ等でははさみません。カツはロースが基本ですが、チキンカツやビーフカツの場合もあります。※ご飯のかわりにリゾットを使う場合もあります。
2、ソース
とろみのあるソースを使用します。市販のソースをアレンジせずに利用することは決してしません。
3、昔ながらの雰囲気とともに味わって頂くため、フォークでお召し上がり頂くことを基本としています。』
大牟田名物「おおむた洋風かつ丼」をレストランだいふくで食す
店内
人生初となる「おおむた洋風かつ丼」を食すため、大牟田の老舗菓子店&レストラン「だいふく」を訪問しました。
さすが地元大牟田。映画「いのちスケッチ」のポスターが決まってます。
大牟田名物「おおむた洋風かつ丼」をレストランだいふくで食す
テーブルクロスにも「おおむた洋風かつ丼」のことが
テーブルには「おおむた洋風かつ丼」について記されたペーパーテーブルクロスが。
大牟田にかつてあった松屋デパートの名物料理だったんですね。
まさに大牟田のソウルフードと言って良い一品です。
大牟田名物「おおむた洋風かつ丼」をレストランだいふくで食す
メニュー
メニューには、「おおむた洋風かつ丼」ではなく「だいふく洋風カツ丼」と記されています。
大牟田名物「おおむた洋風かつ丼」をレストランだいふくで食す
だいふくの「おおむた洋風かつ丼」 だいふく洋風カツ丼
そして出てきた現物がこちら。
思った以上に上品!
だいふくの「おおむた洋風かつ丼」は、「かつ丼」色より「洋風」色がかなり強いですね。
見た目は、「野菜入りカツカレーのルーがハヤシ」です。
一口食べると…
まさに、「野菜入りカツカレーのルーがハヤシ」という表現がドンピシャでハマる逸品です。
美味しい!一口で確信したのは、「レストランだいふくは、多分何のメニューでも美味しい」ということです。
基本の「ソース」が美味しいお店は全部のメニューが美味しい、これは私の持論です。
大牟田商工会議所のホームページによると現在、14店舗。
それぞれのお店ごとに特徴があるのが見て取れます。
こうなってっくると、色々なパターンの「おおむた洋風かつ丼」が食べたくなってきます。
3食連チャンでもいけそうな感じです。
次はまた違う美味しさの「おおむた洋風かつ丼」を食べに行きます!
お菓子とレストランのだいふく
福岡県大牟田市有明町2丁目1-番地3
TEL 0944-53-3333
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191229-00010000-fanfun-l40
勝手に、共感の「広告」2本(↓)・・・大牟田市・みやま市・南関町・荒尾市、
柳川市・大川市・八女市・筑後市、玉名市・長洲町とかとか限定!! (たぶん?)
・勝手に連帯ー世界の子供たちに本を送ろう~♪
(大牟田ガールスカウトさんの企画)
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/161d5fd522c95ef57f280bf920ce1d42