歳がばれるようでいささか気が重たいのですが(笑)、私達は「1973年のオイルショック→狂乱物価」、要は、トイレットペーパの買い溜め騒動を子供の頃経験しています。そして、それに先立つ「公害列島」キャンペーン騒動も。
四日市の大気汚染、水俣病やイタイイタイ病の悲惨とも無関係ではないが、それとは別次元でマスメディアが発信し続けた1970年前後の「公害列島」キャンペーン。その際、私達の郷里、福岡県大牟田市は日本でも最悪の「カドミウム汚染米」の産地として連日報道されました。実は(「ベルリンの壁」の崩壊後、旧社会主義国の公害の凄まじさが公表されるまでは)、「世界で一番化学物質に汚染された汚い川」として有名だった大牟田川が郷里のシンボル。当時の大牟田川は、良きにつけ悪きにつけ「世界一というのは凄かことばい♪」と、私達、大牟田育ちの子供達のアイデンティティーの依代でした。
而して、風評被害の凄まじさを子供心に焼き付けて、それとの比較において、その後の「カイワレ大根」や「ダイオキシンほうれん草」等々の騒動を見ながら私達は世過ぎ身過ぎしてきました。要は、大牟田川等々の地域に根ざした産業構造の裏面としての公害とは異質の、マスメディアが生産・流通・消費する<情報>だけが捲き起こす風評被害の怖さを一応知っているつもりです。その私達の目にも、東日本大震災を契機とする現下、首都圏の「米不足」は、一種、この社会の時代の変り目と映るのです。
品薄情報が宣伝され数の子やミネラルウオーター等々の「嗜好品」がスーパーの棚から消える、逆に、「体に悪いのではないか」という情報が独り歩きして代替のきく商品が売れ残る。つまり、プラスとマイナスの風評被害は「人情」として私達も理解できる。自分でも、頭では「大したことはない」と理解していても有害性が喧伝されているのなら、例えば、ほうれん草は買わずにチンゲンサイを買うかもしれないから。また、放射能予防に効くらしい(?)という都市伝説が広まれば、私も「そんな御伽噺に影響されているお馬鹿な私」と自嘲しつつも納豆とかヨーグルト買うかもしれないから。
けれども、民衆の「パン寄越せ」デモに対して「パンがなければお菓子を食べれば」と言ったとか言わなかったというマリー・アントワネットでもあるまいに、米はまずは必需品。しかも、供給も問題ないことは明らか。なのに、例えば、川崎市麻生区で私がインタビューした80歳代の一人暮らしの女性グループ5人組みの皆さんは(通常は月に5キロしか消費しない所)、この2週間毎日、一人が20キロ購入したとのこと。「タクシーを相乗りして買出しも楽だったわよ」、と。これ実に彼女達の平均消費ペースのほぼ4~5年分!
ということで、
皆さんのご近所のスーパーとかお米屋さんでは、
普通の消費者が米を容易に買えますか?
とブログ仲間に聞きました。
以下はいただいた回答。
北海道帯広市>
震災前と変わりません。
北海道旭川市>
普通です。
青森県八戸市>
東日本大震災の被災地ですが、米は現在そこそこありますね。ただ、地震直後から1週間ぐらいは品薄状態でした。それと余談なんですが、コメの袋が足りなくなって、特別に「新米」の表記がされてる袋に新米じゃないコメを入れて販売してます。
群馬県伊勢崎市>
地震の次の週初めにほとんどなくなりました。
ある場合も個数制限されていました。
私の見る限りでは20日以降は確保できるようになっているようです。今は地震前同様かどうかはわかりませんが売っていますし、特に値段がつり上がっている様子はありません。値段に関しては、他の品目についても極めて普通の値段で売られているので、助かっています。ただ、ヨーグルトと納豆は個数制限にもかかわらず完売状態です。
東京都江東区>
米は入手困難でした。わがやでは幸い購入したばかりで備蓄があったので問題はありませんでしたが、行きつけの食堂では、近所の奥さんが「米を売ってくれ」と言ってこられて、一人に売れば他の申し出も断れないし対応に困ったと聞いています。
東京都葛飾区>
先週まで、米は店頭から消えていました。ちょうどなくなっていたので、少々困ったのですが、山陰の実家から「緊急支援物資」が届けられたので。
で、本日見たところ、かなりのレベルに回復していました。一時の嵐は過ぎ去ったか、と。余談ですが、ヨーグルトと納豆はまったく消えたまま、ですねえ。当方の帰宅時間の観察ですけれども。
東京都小金井市>
震災の直後にお米が店頭から無くなる事が有りました。妻の勤めるスーパーでは、開店1時間前から並ぶ人も居たそうです。現在では、お米に関してはいつもより少ないモノの、我が家がお世話になっている安い価格帯のモノまで揃っています。
数は少ないですが、パニック買いがichijunしたのでしょうか^^;。
神奈川県横浜市鶴見区・磯子区>
神奈川県川崎市多摩区>
おこめ少ないですね。【専業農家のブログ同志】にご近所の分も含めて
緊急要請し送っていただきました。感謝しています。
神奈川県海老名市>
海老名では、スーパーの米は不足してますね。殆ど売切れです。埼玉の実家の方に行って見ますと、JAの農産物直売所は売り切れ。しかし、民営の農産物直売所にはまだまだ沢山ありましたね。
物が何も無いコンビニで、見かけた光景。
『何か買って行きましょうよ。何も無くなっちゃうかも知れないから』
いや、無くならへんって・・・(^^;)
あと、お米屋さん。定期的に配達するお得意さん向けにはきちんと確保してあるみたいです。一見さん(って言うのか?)には売ってくれないとか。
これは、会社の同僚の証言です。 では(^^)ノ
そして、私、
神奈川県川崎市麻生区>
川崎市麻生区では昨日(28日)もスーパーにお米がありません。というか、5日くらい前(23日)からは「開店後15分くらいはある」状態にまで<回復>してきていますが、それまでの10日以上は、正に、全くお米が手に入らない状態でした。
でもね、一人暮らしのサラリーマンや共働きの若夫婦が
「開店15分」に向けてスーパーに並べるかちゅーねん、なんです。
大阪府大阪市>
米に関しては値段・品揃え共に特に変わった様子は見受けられません。今日も普通にスーパーの精米売り場に積み上げられていることを確認。ただ、ミネラルウォーターが入荷量が絶対的に不足しているためか空っぽになっていたことが印象的でした。
京都府京都市左京区>
気にしたこともありません。米足りなくなってるんですか?
京都府京田辺市>
うちはパン食ですが、【高校の】生徒の保護者からもお米の話は聞いたことありません。
京都府福知山市>
うちもわたしと主人の実家も米余って困ってます。なんなら送りましょうか?
香川県高松市>
高松は異常なしです。
山口県山口市>
売るほどありますが何か?
福岡県福岡市>
九州は今のところ地震災害の影響は少ないです。
ご質問の米についてですが震災以前とかわらぬ品揃えで大概の店舗でまだ安く販売されてます。
ディスカウント系のスーパーで
5キロ 1298円~1680円(銘柄ブランドで価格差あり)
10キロ 2480円~3000円程で販売してます。
震災前より若干値が下がった感があります。
でもペット水の販売は少なく品切れの店が多いです。
福岡県大牟田市>
米んなかなら宅急便で送ろうか?
そげんか食糧難ては終戦直後のごたんね。
熊本県北部玉名地方>
米は普通に売っていて不足しているということはありません。
熊本県熊本市>
米は今のところ大丈夫です (^^)ゞ
ただ、日曜日、近所(熊本市中央部)のスーパー無洗米は品切れでした。
それがたまたまなのか、震災の影響なのかはわかりません。
ところで、、、
塩を買い占めたあげく困っている中国人のニュースに、久しぶりに笑いました。
こんなことで、いかんいかんと思いつつ、、、
やっぱり、災害で暴利を貪ろうとする輩は、許せんですもんネ!
鹿児島県鹿児島市>
パン党なのでよくわりませんが、近所のスーパーの売り場に特に変わったことはないように思います。
ということで、現在の所、首都圏以外では今回の「米騒動」は起きていなかったものと思われます。そして、三重県の専業農家のブログ同志からはこんな情報をいただきました。
そして、お米も~♪ アキラさん、感謝だよね!
ヽ(^o^)丿ヽ(^o^)丿
現在三重県伊賀地方では、スーパーその他の小売店では米不足は起きておりません。
スーパー、ホームセンター、米屋、酒屋など、普通にお米は在庫があります。
まぁ人口あたりの耕作面積が優秀な地方なので余るぐらいです。
我が家の在庫ですが、ほぼ例年通りの減り方をしています。
価格も30kg袋玄米が13,000円(身内価格10,000円)は変わりません。
小売店の方でも販売価格に上下はなさそうですよ。
お米の流通は、すでに秋の収穫直後にモノがJA(全農)もしくは
卸しの方にほとんど流れてしまっているので、
首都圏の小売店舗に在庫が無いのは、ほぼ間違いなく、
・需要過多
・卸し(中卸し含む)、小売段階での在庫の締め付け
の2点であると思われます。国家レベルでの備蓄米自体はアホほどありますので、
ごく一部地域でさえも足りないわけはないのです。
つまり、供給側の輸送力、物流不具合が原因ではないでしょうかね。
もちろん圧倒的大多数の情報弱者ちゃんたちの
根拠の無い不安による先買いも大きな原因です。
本日、2011年3月30日、午前11時の段階でも私達の住む川崎市麻生区の新百合ヶ丘エリアのスーパーにはお米が棚に残るようになりました。それが冒頭の画像です(画像中の張り紙の赤い文字は「お一人様一袋」を消して「一家族様一袋」と書き直したもの)。これ、在庫払底の2-3日前の状況に比べれば夢のような光景。それ、正に、溢れんばかりの米の山!
スーパーの皆さんのご苦労を感じないわけではないのですが、しかし、1973年のオイルショック時とは異なり、取り敢えずは米がなくなるはずのない今回、その情報を多くの国民が頭では理解していたはずなのになぜ3週間近くも首都圏では普通のスーパーから米が消えたのか。
私はそこに、「平成の米騒動」とも言うべき事態を感じました。首都圏の多くの住民は、例の「無計画停電」よりも拙劣な「ロシアンルーレット停電」ともいうべき「計画停電」を一つの契機として、政府やこの社会の仕組みに対する、そして、この社会の将来に対する不信と不安を募らせた、と。
左翼かぶれのインテリの理屈や官僚の計画ではなく、1918年、富山の漁村の主婦が火をつけた「米騒動」が、(その後、40年体制から55年体制と続く)日本の社会主義路線への移行を決定ずけ、そして(大正デモクラシーの残り火を誘導灯にして)1923年の関東大震災がその社会主義路線導入を確定したように、「神は細部に宿る」。また、歴史の変化は日常の平凡な風景の中にこそ表われているの、鴨。それは、ポー『盗まれた手紙』と同じ、鴨。
そう思えば、今回の「平成の米騒動」には『盗まれた手紙』どころかアガサ・クリスティーの『ベールをつけた貴婦人』の構図の如き、後から見れば明白な<歴史の変化>が淡々と描かれているのではないか。繰り返しにまりますが、それは一見愚かな庶民の皮膚感覚的不信感に根ざすこの国の政府や社会の仕組みに対する「三行半」の絶縁宣言だったの、鴨。
それは、ベックが素描した「リスク社会」にいよいよ日本も本格的に突入したことの合図なの、鴨。要は、所謂「格差社会」などという(その認識が正しいとしても)まだ社会全体としては豊かで安定した社会から、勝ち組も含め誰も安閑としてはいられない社会に日本も入ったの、鴨。ならば、「平成の米騒動」は、これからこそ深く静かに浸透していき、この社会を別の社会に押し流していくのではないか。その予感を私は払拭できないのです。
而して、いずれにせよ、
б(≧◇≦)ノ ・・・頑張れ、東北!
б(≧◇≦)ノ ・・・君は一人/独りじゃない!
б(≧◇≦)ノ ・・・共に闘わん!