英語と書評 de 海馬之玄関

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資料:「インバウンド」がまだ業界内の言葉だった頃の話

2019年10月11日 18時35分33秒 | 雑記帳

 

 

朝日新聞とかの圧力でもと記事がなくなるのは残念。

英語教育業界/留学研修業界から同じことを書きたい、鴨。

いずれにせよ、よって、以下、リブロ記事コピペ。


・・・要は、

外務省とNHKの、分割国営化+民間委託。

公教育の分割民営化。これで、この国はすぐに

明日からでも良くなる。と、そう思います。

 

▽草稿・科挙としての留学の意義と無意味

 https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/3d2bc3378bcef0da078a1b30c9681d79

 

▽ピグライフは勝れものの「マネージメントスキル開発ツール」かも

 https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/ee74458c5f6769163b91f13e9a13d8f4

 

▽英会話学校の破綻と米国留学の減少は日本の成熟か衰退か

 https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/3c36e88f9315ee1f41f4dc711ebd411d

 

 

 

 

 

「インバウンド」がまだ業界内の言葉だった頃の話

 

2019-10-11 07:57:03
 
 
 

 

観光立国が唱えられ、観光庁ができ、「訪日外国人客の目標4,000万人!」とぶち上げられる遥か昔、中国人のビザが緩和される前の、まだインバウンドが長閑だった頃(80年代、90年代)のお話・・・。

2004年に足を洗うまでの20余年、分類としてはシンクタンク業界、その隅っこで観光プランニングを主業とする会社で働いていた。

主に市町村や都道府県、並びにその広域において観光客の誘致・受け入れをプランニングする、地域サイドに立つ仕事で、旅行代理店などの送客とは逆の立場だ。

多くの場合、日本人観光客を主対象とするプロジェクトで、外国人観光客に限定したものは数こそ少なかったが、規模的には複数県に跨るなど大きかった。

当時、暗黙の了解で、打ち合わせや業界人へのインタビューなど口頭では「インバウンド(inbound)」という言葉を使っていたが、成果品としての報告書は情報公開されるため、外来語の多用は避けるきらいがあって、「訪日外国人客」や「訪日外客」と置き換えていた。

 

インバウンド計画で私が担当したことがあるのは、北関東、中部、南東北で、どのプロジェクトも複数県に跨っていた。

冒頭にも書いたが、その頃はまだ中国人のビザが緩和される前で、主たるアジア人客は韓国、台湾、香港、シンガポールだった。

今もその頃も、客数ではアジア>欧米・オセアニアだが、欧米はどうしても時間距離上のハンデがある(交通費が掛かる)ので、致し方ない面はある。

当時を想い返すと、「北海道大好き!台湾客」と「ニセコ(スキー)、水上(ラフティング)で観光事業に参画し始めたオーストラリア人」の存在が印象に残っている。

私自身が携わった調査では、外国人利用の多い交通ターミナル(駅のi案内所等)や見学施設、宿泊施設等に英語、ハングル、繁体字の3言語による調査票を設置し、協力者には着物地で作ったコースターとボールペンをお礼に差し上げていた。

赤い生地のコースターが人気で多めに発注していたのを覚えている。


私が担当した地域の中で最も集票でき、比較的3言語のバランスが良かったのは日光だった。

英語票が稼げたのは松本城だった。


調査票以外に外国人客の利用が多い施設にはインタビューもしたが、幾つか印象に残っている実態把握や問題点の指摘を紹介しよう。

あるi案内所(多国語対応案内所)では、

「文化財の写真付きパンフレットを、日本人客なら一人一枚しか取らないが、外国人客は土産代わりにごっそり持ち帰るので、すぐに無くなる」

「欧米のバックパッカーに“各駅停車でここ(北関東某所)から京都までどう行けばいいのか?”聞かれた時には困った」

といったのがあった。

日本人の常識を外国人に期待するのは無理がある。

 

アジア系観光客と欧米・オセアニア系観光客とでは同じ地域を訪れても志向が異なるケースも興味深かった。

一例として、佐渡。

「欧米・オセアニア人客は個人行動で鼓童の公演を目的に来島。ジャパンレールパスの適用外のジェットフォイルは避けてフェリーを使い、ユースホステルに泊まる。アジア人客(主として台湾客)は団体行動でジェットフォイルも利用、観光ホテルに泊まって金山観光に行く。」

というもの。

 

某県庁所在地にある外国人客の利用が多いホテルで語られた本音は、

「本当は通年安定して日本人客に利用してもらいたい。ただオフシーズンがあるので、稼働率を高めるために外国人客を受け入れている。

アジアからの団体客は関空から入国してバスで翌日には東京ディズニーランドに行くようなハードスケジュールで動いている。

旅行代理店から宿泊予算を低く抑えられ、その範囲で受け入れなければならない。お客は客室冷蔵庫の有料飲料の利用も無ければ館内の自販機の利用もしない。慌ただしく来て慌ただしく去る」

というものだった。

 

繰り返すが、この時点ではまだ中国人のビザ緩和はされていない。

つまり、ちょっとマナー違反の、いかにもビギナーな動きをしているのは台湾客を中心としたアジア人客だった。

今、台湾客を見てみると、団体旅行から個人旅行にシフトしており、ベテランリピーターも多く、マナーも良くなった。

 

観光客は進歩するものだ。


我々日本人も団体周遊型や団体一泊宴会型の旅行から個人旅行を主としたグループ形態の多彩さ、多目的化と変化を遂げて来たのと同じだ。

インバウンドと仰々しく構えることなく、全ての観光地において「外国人が一人歩きできる」ことが基本方針の一つであることは今も昔も変わらないはずだ。

ただ、21世紀になって変わってしまったのは、「大国の送客調整が他国に対する戦略の手段」になったことだ。

気に入らなければ渡航禁止にして、相手国の経済にダメージを与えることが可能となった。

中国が台湾や韓国に対して行ったし、韓国が日本に対して行っている。バルブを閉めるだけなので、すぐさま効果(ダメージ)が出る。

インバウンドは国の外貨獲得に占める観光のウェイトが高いと、そういうリスクを負うし、もっと根本的に発地国の不況の影響をもろに被る。

受け入れ国側でも大規模災害や治安悪化などが起これば、観光客は避ける。

結構、観光はデリケートな産業なので、一番良いのは身近でケアできる人(例えば災害復興時にすぐにお客として訪れ、お金を落とせる人達等)、つまり自国民が積極参加することが望ましい。

今回、韓国による日本観光ボイコットがあったことを教訓に、もっと日本人の国内観光参加を推進すべきだと思う(と言っても、オリンピック以降の話になるんだろうけど)。

 

それと、離島、山村といった人口減少が著しい地域には修学旅行や高齢者クラブなどに補助金を付けてでも送客するシステムがあってもいい。

特に子供達には国境の島というものを見せた方がいい。

 

・・・なんて、ことを思い出し、考えた。



 

#welovegoo



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