遊心逍遙記

読書三昧は楽しいひととき。遊心と知的好奇心で本とネットを逍遥した読後印象記です。一書がさらに関心の波紋を広げていきます。

『MARGRET & H.A.REY'S Curious George and the Hot Air Baloon』 Houghton Mifflin Company

2022-11-19 14:52:15 | レビュー
 英語絵本の電子書籍版で読んだ。本書のイラストは H.A.Rey の絵を継承して Vipah Interactive が描いている。これまでにもここが担当した絵本が幾つかあった。1998年のコピーライトと表記されている。

 この絵本は、年長の子供たち向きといえそうである。文がけっこう長くなっていて、いろんな表現も出てくる。
 ジョージと友達・黄色帽子の男が休暇中の旅行に出て、あと2ヶ所の立ち寄り先を残すという移動場面から始まる。They wanted to make just two more stops. という表現が使われている。
 その2ヶ所とはどこか? 1つはサウスダコタ州にあるラシュモア山(Mount Rushmore)で岩壁に4人の大統領の顔が彫り込まれていることで有名な場所。もう1つはその近くで開催される気球大会の見物。
 まず、ジョージと黄色帽子の男は、ツーアーガイドに案内され、ラシュモア山の展望所へ。4人の大統領、ご存知ですか? 私が知っていたのは2人だけだった。4人とは、
 George Washington, Thomas Jefferson, Theodore Roosevelt, Abraham Lincoln
 ジョージが、大統領の顔の近くを飛ぶヘリコプターを見つけると、黄色帽子の男は、 Maybe we can take a ride later. とジョージに語る。take a ride と簡単な言い方、翻訳英語の頭には、こんな表現が即座に出て来ないのが哀しい。

 黄色帽子の男は一旦、熱気球大会の会場に移動する。
 一つの熱気球を残し、他の熱気球はレースへの準備が整っていた。既に熱気球のゴンドラに乗っている人もいれば、まだ熱気球が係留されているだけのものもある。黄色帽子の男は、レースに間に合わせようと熱気球を膨らませている男の作業を眺めている。一方、ジョージは浮かんでいる熱気球に関心が向いていて、遂に熱熱気球を係留しているロープをよじ登って行く。それがハプニングの始まり。
 Sometimes when a monkey sees something to climb, he can't help himself. He
has to climb it. 
George thought he would climb just one rope then quickly climb down. 
と記されている。ジョージはちょっとロープを登ってすぐに降りてくるつもりだった。
 熱気球のゴンドラにつながったロープで登れるのを見ると、ジョージはじっとしていられなくなった。help oneself (自制できない、がまんできない)という表現が使われてる。
 登っている途中で気球を係留するロープが解けてしまった! 
 ジョージは熱気球のゴンドラの中に、乗り込んだもののレースに参加する人が乗っていないので、どうして良いのかわからない! 熱気球の所有者は地上で怒っている。さて、ジョージの運命は・・・というストーリー。
 子供たちは数多くの気球が空に浮かびレースが始まったシーンを思い浮かべることだろう。熱気球の操作法を知らないジョージはどうするのか、心配になることだろう。自分もジョージと一緒に乗っている場面を想像するかもしれない。
 お話は、思わぬ方向に展開する。風向きが変わり、熱気球は大統領の顔の方向へと流されて行った・・・・。
 ジョージは、ここでも怪我の功名で、人を助けジョージも助けられるという展開に・・・・。最後はめでたしめでたしということに。絵本を読む/聞く子供たちはほっとすることだろう。
 
 George flew higher and higher, and the people below grew smaller and smaller.
簡単な比較級表現が、対句の形でさりげなく出てくる。
 George felt bad. He didn't mean to take the balloon.
mean の第一羲は「意味する、意味を表す」ですが、ここでは「[+to do]<・・・する>つもりである」という使い方。こんなのも復習になる。

 As the wind whisked him away, he wished he had someone to help him.
whisk という単語は初見だった。文脈から推測できるが、辞典を引くと「軽々と運び去る」という意味。この主文を読み、ああこういう表現方法もあったな・・・と。

 熱気球が、ワシントン大統領の顔に近づいた場面で、ジョージは修復作業に携わっていた作業員の一人に気づく。
 He was stranded on Gerorge Washington's nose!
strand という単語をこの絵本で学んだ。辞典を引けば、「立ち往生する。行き詰まる」という意味。作業中に何かまずい状態に立ち往生していたのでだろう。イラストでは、彼の作業中のロープに何か問題が起こっていたような描写になっている。

 この絵本では次のような表現法も自然な流れの中で出てくる。
 一つは、黄色帽子の男が、展望所から熱気球大会の会場にいく時間だとジョージに告げるときの会話文。
 "Maybe we can take a ride later," the man said. "But now we need to leave or
we'll be late for the hot air balloon race,"
「たぶん、ヘリコプターは後で乗れるから、今はここを出なくちゃ。さもないと、熱気球レースに間に合わなくなるからね」 ここでの or という接続詞の使い方。
もう一つは、ジョージがとんでもないことをしたという気持ちを表す場面。
 Oh, if only he hadn't climbed that rope .......
仮定法を使う表現なんかも出て来る。
 子供たちは「or」の使い方や仮定法表現も、自然に馴染んでいくのだなと思う。

 絵本の終わり近くで、次の一文が出て来る。
 George got a special treat - he got to ride in the helicopter.
treat は名詞で使うと、「(めったにない)楽しみ、(思わぬ)喜び(こと)」という意味になる。動詞では見慣れていますが、名詞の意味は意識していなかった。。ヘリコプターに乗るんだから、やはり ride in なのだ。

 この英語絵本から、いくつも学ぶことがあった。英語のリハビリ学習に役立つ。
 ラシュモア山の岸壁、直に眺めてみたいな・・・・。

 お読みいただきありがとうございます。

本書の関連で関心事項をネット検索してみた。一覧にしておきたい。
ラシュモア山  :ウィキペディア
Mount Rushmore  From Wikipedia, the free encyclopedia
マウントラシュモア国立モニュメント  :「Link-USA」
Mount Rushmore National Memorial  :「BLACK HILLS」
熱気球  :ウィキペディア
アメリカのすばらしい5つのバルーンフェスティバル :「USA」
関西の熱気球体験・ツアー   :「ACTIVITY JAPAN」
関東の熱気球  :「じゃらん」

インターネットに有益な情報を掲載してくださった皆様に感謝します。

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その点、ご寛恕ください。)


 こちらもお読みいただけるとうれしいです。

『Curious George Takes a Trip』   Houghton Mifflin Company
『Margret and H.A.Rey's Curious George CURIOUS ABOUT PHONICS』
                  HOUGHTON MIFFLIN HARCOURT
『MARGRET & H.A.REY'S Curious George and the Firefighters』
Houghton Mifflin Company
『MARGRET & H.A.REY'S Curious George and the Puppies』
                  Houghton Mifflin Harcourt
『MARGRET & H.A.REY'S Curious George and the Pizza Party』
                  Houghton Mifflin Harcourt
『MARGRET & H.A.REY'S Curious George Goes Camping』
                  Houghton Mifflin Company
『MARGRET & H.A.REY'S Curious George Goes to the Beach』
                  Houghton Mifflin Company
『MARGRET & H.A.REY'S Curious George Makes Pancakes』
                  Houghton Mifflin Company
『MARGRET & H.A.REY'S Curious George Goes to the Zoo』
                  HOUGHTON MIFFLIN HARCOURT
『Curious George Color Fun』 Houghton Mifflin Harcourt
『Curious George's First Day of School』
                  Houghton Mifflin Harcourt
『Curious George Goes to the Hospital 』 MARGRET & H.A.REY
                  Houghton mifflin Harcourt
『Curious George Learns the Alphabet』 H.A.REY
                  Houghton Mifflin Harcourt
『Curious George and the Birthday Surprise』 MARGRET & H.A.REY
                  Houghton Mifflin Company
『Curious George Goes to a Movie』 MARGRET & H.A.REY
                  Houghton Mifflin Company