出町柳から約30分程で鞍馬に到着。 鞍馬寺の入り口から若干登ったところ
にケーブルカーの乗り場が。 聞くと丁度今出たばかりなので、次の発車まで
は20分ほど待つと。 どうしようか思案していると、「鞍馬寺までは1キロ、
できるだけ歩いて登りましょう」といった内容の表示が。 なるほど、ならば
歩くか と登りはじめる。 しかし、それなりに急な坂道であり、途中から
石段に変わった。 それでもなんとか鞍馬寺までたどりつく。 気温が低い
のだろう、はく息が白い。 桜もちょうど見頃であった。 写真も撮った
ことだし、さて戻ろうかと思ったその時、「奥の院まで800M」との標示が。
なに? まだ奥があると申すか。 ここまで来て、奥に行かない手はない。
よし行こう。そう決めたこの時点で、この先に待ち受ける過酷な状況を誰が
予想できたであろう。
奥の院へ向かう石段を登り始めたその時、空気が変化したような印象を受けた。
ひんやりとして、新鮮な空気を感じつつ先に進む。 石段を登る そして登る。
やがて下りはじめた。あれ?下るの? えっ?まだ下るの? 地図に目を
向けると、奥の院のさらに先に「貴船口」という駅がある。よし、ここまで
下ったのであれば、再び戻る気はしない。 奥の院を経由して、貴船口駅から
帰ろう そう思った。
ほどなく奥の院へ到着。 お参りをして、貴船口方面の道を進む。完全な
山道となった。とにかく下る。 まだまだ下る。 足もだいぶ疲れてきた
頃、ようやく車の通る道まで出た。貴船寺という寺があるらしい。折角なので
貴船寺にお参りし、貴船口駅に向かうことにした。 駅までどのくらいの
距離があるのか見当つかなかったが、観光案内の簡易な地図によるとさほど
の距離でもなさそうだった。 これが大きな誤算となった。
少し歩くと、貴船口駅という標示が見えた。あ、着いたな と思ったら、
「貴船口駅 行きバス乗り場」と書かれていた。 あれ?そんなバスに
乗って行くほどの距離なのかなぁ~と思いながらも、たいしたことない
だろうと根拠のない思いが頭を支配し、歩くことに。
ところが、道には歩道もなく、車も少ないためか、たまに走る車は猛スピード
で通過していく。 かなり歩いたが、全く駅の気配も感じない。それどころか
民家の1軒も存在しない。 徐々に心細くなる。ヒッチハイクでもするか
ななどと思いながらもさらに歩き続ける。 雨も降り出した。泣きたい気持ち
を我慢し、自暴自棄になりかけたその時、なにやら建物が。 え、駅だ!
まさに砂漠の中のオアシスであった。
ようやく救われた。 快適な電車に乗って出町柳まで戻る。
つづく