KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

マラソンを愛する皆様、こんにちは。
2022年は積極的に更新していく心算です。

皇帝の、皇帝による、皇帝のためのベルリン・マラソンvol.3

2007年10月30日 | マラソン観戦記
ハイレが30kmを過ぎる前に、カメラは後方の瀬戸智弘の姿を捉えたが、解説の金さんは
「瀬戸ですね。」
と言っているのに、アナウンサーは入船だと言っている。画面のテロップ(日本語)も入船の名前が出る。体型で分かりそうなものだが。先の北海道マラソンでの、ゴール直前の日本人のトップ争いでランナーの名前を取り違えた大醜態を思い出した。先のボクシング世界戦の中継アナよりも、恥かしく情けない中継だった。

ハイレはひたすら1人の世界を突っ走る。ペースは全く衰えない。フォームも乱れがない。斜め後方から映すカメラは、彼の肩甲骨回りの筋肉もしっかりと捉えている。全国の学校や実業団の長距離ランナーたちには、このレースの映像は格好の教科書になりそうだ。

女子のトップ、ワミは1時間40分43秒で30kmを通過。ペースメイカーはゴールまで引っ張るようだ。2分の差で坂本がついているというが、映像は見せてくれない。

35kmを1時間43分38秒。ペースを上げてきた。ゴール予想タイムも2時間5分を切った。テルガトの世界最高よりも21秒上回る。2位集団、マニイム、キプサング、キルイの3人も1分14秒差で通過。かなりの好タイムが期待できる。キルイは2時間10分41秒が自己ベストのランナー。今年のウィーンで3位。ちなみにこの時の優勝は、大阪の世界選手権で金メダルを獲ったルーク・キベト。

ポツダム通りからライプチヒ通りを独走するハイレ。少し、表情が歪んできた。2位はキルイが抜け出した。

ゲルトラウデン通りの40km地点を1時間58分8秒。35kmから更にペースを上げている。30kmからの10kmが29分12秒。
世界新記録更新が見えてきた。

ブランデンブルグ門を過ぎればゴールまで200m。

世界新記録誕生!!2時間4分26秒!テルガトの記録を29秒も更新!

2位のキルイも自己ベストを3分50秒短縮する2時間6分51秒でゴール。これも立派な記録だ。3位のキプサングも2時間7分29秒だ。

5位はエチオピアのアディマス。6位はスキンへッズの白人、びわ湖で入賞歴のあるオーストラリアのリー・トループ。

ワミの自己ベスト、2時間21分34秒は去年のベルリンでの優勝タイム。35km通過タイムが1時間58分1秒。40kmは2時間15分38秒。既に23分台のペースになっている。2位には地元ドイツのミキテンコが浮上してきた。坂本はどうなったか?
「2時間30分切ったら、十分」
とは金さんのコメント。まだ、50%の練習しか出来ていないという。

ワミは2時間23分15秒で2連覇のゴール。2位はミキテンコ、35歳で初マラソン2時間24分51秒の好記録。3位がヘレナ・キロップ、4位にティモフェイワ。

ピンクのユニフォームが見えてきた。坂本だ。2時間28分33秒、5位でゴール。

フィニッシュシーンは映らなかったが瀬戸が2時間12分21秒の9位でゴール。
「マラソン初完走」
とアナウンサーは言うが、今年のびわ湖、確かに完走している。しかし、本人は完走の内には入れたくないだろう。2時間30分をオーバーしていたから。

ハイレは陽気で気さくな男だ。
「日本では去年も走ったし、いつかまた日本で会いましょう。」
とインタビューで答えた。リップ・サービスで終わって欲しくはない。
「このタイムはしばらく破られないと思いますから忘れないで下さい。」

そう。この記録を破れるのは、ハイレ自身だけではないだろうか。

坂本も笑顔でインタビューに答えていた。自信をつけていたのだろう。

もし、2時間3分台を出そうとするならば、中間点からペースメイカーを走らせる、という手もあるが、それでは公認されないだろう。


(了)



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