KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

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防府読売マラソン速報

2004年12月19日 | マラソン観戦記
今年最後の陸連公認マラソンとなる、防府読売マラソン。西日本の日テレ系列局のみ放映となるこのレースの模様を、随時お伝えしたいと思う。

防府市陸上競技場をスタートし、市内を周回するコースは、記録の出易いコースと言われている。

今回より、防府にも公認のペースメイカーがつけられるようになった。エチオピアのランナーに、沖電気の榎木和貴が集団を引っ張る。

今回は日本人サブテン・ランナーが2人も出場する。一人は5年前のこの大会で初めてサブテンをマークした渡邊共則(旭化成)。そして、地元出身のベテラン、五十嵐範暁(中国電力)。
この数年、海外からの出場選手も多くなったが、ケニアからエントリーしていた、ヘンリー・チェロノは欠場。5kmの入りは15分17秒。悪くない。

五十嵐は榎木の真後ろに位置取る。今や、「マラソン王国」であり「駅伝日本一」の中国電力で初のサブテンランナーであり、チーム最古参である。しかし、これまで、パリ世界選手権の補欠代表にはなったこともあるが、マラソン日本代表になったことはない。今回の目標は、当然、マラソン初優勝。2週間前の福岡での、チーム・メイト尾方剛の優勝に続きたいところだろう。

中国からの招待選手は先頭集団から脱落する。昨年、公式サイトで知ったのだが、中国選手は皆内蒙古自治区の出身で、往年の名ランナー、佐藤寿一氏の指導を受けているのだという。遅れているというよりも、持ちタイムから見れば、先頭集団のペースはかなり速い。自分のペースで完走狙いに切り替えた、ということだろう。

日本人招待選手では、スズキの吉原一徳が脱落する。

10kmを30分38秒で通過。大会記録2時間8分16秒が出た時と同じペースだ。記録保持者のハイレ・ヌグセはアテネ五輪にエチオピアのマラソン代表になった。

今回も3人の選手がエチオピアから出場している。最もいいタイムの選手で2時間12分台。しかし、解説の伊藤国光さんからは、
「高地のアジスアベバで出した記録だから、侮れない。」
との指摘。確かに、その選手、ハルフォム・アベベはエチオピアのナショナルチームのランシャツで走っている。

先頭集団に残っている主な日本人選手は五十嵐と渡邊の他にはNTT-ATの藤野英之、カネボウの稲垣孝一、トヨタ九州の福永晃大、JFEの吉富一成、大塚製薬の服部元康、九電工の吉橋慧。

エチオピア人のペース・メイカーは12kmで脱落する。榎木は実に「いい仕事」をしている。かつては、旭化成の西政幸がこの大会ではペースメイカーを務めたこともあった。こういうのを見ていると、10年以上前から、宗茂さんが、
「ペースメイカーを日本人にやらせろ。」
というのは、正論だったなと思う。

服部と藤野が脱落。15kmを45分51秒(画面表示)で通過。大会記録と差が無い。福岡よりもいい記録が出そうだ。

この大会には10kmの部も開催されているのだが、地元カネボウの大黒柱、マラソン日本記録保持者の高岡寿成も出場して、3位でゴールしたようで、インタビューに応えていた。元旦の駅伝に向けての練習の一環だったのだろう。

服部、吉橋に次いで、吉冨も脱落する。20kmを1時間1分11秒で通過。稲垣と福永も離れかける。

1時現在、気温は14℃、湿度67%。

五十嵐は顔をしかめ、苦しげに見える。いや、これが彼の独特のスタイルなのではあるが。中間点を過ぎて、彼も離れようとしている。

折り返し地点で先頭集団は榎木、渡邊、アベベ、エチオピアのゲルメッサ・クムサ、そして五十嵐もまた食らいついている。ここからが、五十嵐の本領だ!と思いつつも、集団との差は25mに広がった。後方から追い上げて来た吉冨にもかわされた。

なんと、25km直前で渡邊がトイレに駆けこんだ!!これは痛い!!25kmの通過タイムは1時間16分37秒。榎木も退き、先頭はアベベとクムサのエチオピア勢のマッチレースになりそうな気配。コースの戻った渡邊。先頭との差は60m。追いつけるか?

エチオピア・コンビは代わる代わる前に立つが、さほどペースを上げているようでもない。渡邊も28km過ぎて、追いついた!アベベをかわして2位に。クムサがスパートをかける。

後方では五十嵐が吉富をかわして4位に浮上。

29km過ぎて、渡邊が前に出た。(また、CMのせいで、スパートの瞬間が見られなかった)

30kmの通過タイムは1時間32分34秒。25kmからのスプリットが15分57秒に落ちたのが、渡邊には幸いだったかもしれない。

クムサが脱落。そして後方から五十嵐が追い上げ3位に浮上!「五十嵐走り」は健在!!
先頭の渡邊とアベベは牽制し過ぎて、ペースを落としている。五十嵐の逆転も、あり得ないことではない!先の東京国際女子のような「ドラマ」もありか?

32km過ぎて、五十嵐と先頭との差は50mにまで迫った。先頭の2人は気づいているのか?

どうした渡邊?またコースアウト。五十嵐が2位に上がる。しかし、渡邊も立て直し、追いついた。このまま、2人が競り合って、先頭に追いつければいいのだが。

35kmの通過は1時間49分。かなりペースは落ちている。

五十嵐が渡邊を引き離し、アベベを追う。36km手前でついに追いつき、36km過ぎて前に出る。五十嵐、先頭だ!!逃げろ!アラシ!!

渡邊は体調を崩してしまったのか?3度目のコースアウトの後は、完全に走りに精彩が無くなった。4位の吉富にも追いぬかれた。

五十嵐は先頭、首を傾け、両腕を広げて、前傾姿勢で苦しそうに走り続ける。2位、アベベとの差は60mに広がる。

40km過ぎてタイムは2時間5分台。もうタイムなんてどうでもいい。五十嵐が初優勝に向けてひた走る。それだけでいい。

ラスト1km。アベベとの差が50mに縮まった。少しペースが落ちている。もう五十嵐、危ない!!限界に来ている。今にも倒れそうだ。

競技場入り口でアベベがついに先頭に立った!!五十嵐は今にも倒れこみそうだ。

優勝はアベベ。タイムは2時間13分19秒。
五十嵐は22秒遅れて2位でゴール。倒れこんでしまった。
3位に吉冨。彼も山口出身。

4位で戻ってきたのは福永。5位に渡邊。

五十嵐は一人では起きあがれないようで、担架が用意された。力を全て出し尽くしたようだった。


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