今回の北京五輪、開会式の「ヤラセ」演出などから「偽装五輪」などと名づける向きもあるようだ。競技の陰では、当局による弾圧や取材規制など、これまでの五輪では考えられなかった事態も生じていると伝えられている。
しかしながら、最終日の男子マラソン。これは「偽装」でもなく、真の「世界一決定戦」となった。もともと、僕は五輪はマラソンにしか興味がない男だ。アテネで日本が取った金メダルの数もとっくに忘れてしまっ . . . 本文を読む
コンスタンティナ・ディタ・トメスク。マラソン・ファンにはおなじみの名前だろう。土佐が銀メダルを獲得した7年前の世界選手権でも、トップに飛び出し、独走していた。その時優勝した、リディア・シモンが産休に入った後、ベスト記録を2時間21分30秒まで縮めていき、ルーマニアのトップにのし上がったが、実はシモンよりも2歳年上なのである。
土佐の姿も何度か画面に映る。痛みを堪えて体を前に進める。その度に、
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8月17日の朝、六時半に目覚まし時計のベルに起こされる。昨夜は、町内会の行事についての飲み会で、かなり悪酔いしてしまった。口論になった記憶がある。そんなわけで、目覚めの気分はかなり良くない。むかつく胃袋に無理に朝食を押し込み、車で松山大学まで。
土佐礼子の母校、松山大学で行われる女子マラソンのパブリック・ヴューイングを見に出かけるためだ。4年前のアテネ五輪は一人部屋でテレビを見ていた。昨年の世界 . . . 本文を読む
「オリンピック ヒーローたちの眠れない夜」 佐瀬 稔 世界文化社 1996年
著者の佐瀬稔は、'60年のローマ大会から'72年のミュンヘン大会までは報知新聞の記者として、以後はフリーランスとして五輪の現地取材をしてきた記者である。プロローグでは、ローマ五輪のマラソンでアベベ・ビキラが優勝直後、報道陣出入り禁止の記者テントに忍び込み、単独会見を試みた時のことが描かれている。
そんな「五輪の語り部 . . . 本文を読む
「オリンピック ナチスの森で」沢木耕太郎著 集英社 1998年
北京五輪開幕直前ということで、オリンピックにまつわる本を紹介しようと思う。
1936年のベルリンオリンピックは、今も語り継がれている。ヒトラーの支配の下、ナチスドイツのプロパガンダに利用された大会であり、三段跳びの田島直人や200m平泳ぎの前畑秀子ら日本人が多く活躍した大会であり、「民族の祭典」・「美の祭典」の二部構成から成る極め . . . 本文を読む