kankoのひとりごと

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『細胞の不思議』からのメモ

2016年10月11日 | 読書メモ

永田和宏著 
細胞の不思議 すべてはここからはじまる
     講談社   2015年3月25日発行
「オートファジーなんて知らなかった!」の他にも、「そんなこと知らんかった…」があるんですね~。
今回はこの本を読んでのメモ。本書の後半部分です。

14章 細胞にも寿命がある
ヒトの細胞の寿命
血管内皮細胞   6か月
胃粘膜細胞    2~3日
骨細胞      10年以上
神経細胞    100年程度
赤血球      120日
小腸栄養吸収細胞 2~3日
皮膚       1か月

平均、1日に全細胞の2%が入れ替わっている。
1年で九十数%が入れ替わる

脳の神経細胞は人の寿命とほぼ同じだけ生きる。ヒトの細胞の中では超長寿命の細胞。ほとんど分裂もしない。

最も短寿命の細胞に、小腸上皮細胞がある。この細胞は3~4日かけて小腸の微絨毛根元付近で作られ、先端に移動し、上皮細胞となって吸収などの働きをする。働くと1~2日で死んで脱落する。
ヒトの大便の固形成分のうち3分の1は、小腸などの上皮細胞の脱落した細胞成分。

細胞にはそれ自身に寿命があることを唱えたのは、アメリカの学者ヘイフリックで、1961年のこと。ある回数分裂した細胞は、それ以上分裂できないことを発見し、これを「ヘイフリック限界」と呼ぶ。

年を取ったヒトから培養された細胞は、若い人の細胞に比べて分裂回数が少ない。

遺伝子DNAの構造は、染色体は1本のヒモであるが、ヒモには当然端がある。複製の時、端っこだけは一部欠けてしまう。
それで、短くなってもいいように、染色体の端っこにテロメアと呼ばれる特殊なDNAの断片を付ける。テロメアも、DNA複製のたびに複製されるが、端にあるテロメアの一部も短くなっていく。そして、ある長さ以下になるとDNA複製ができなくなる。これがヘイフリック限界で「細胞老化」である。

このテロメアを複製して、細胞老化を遅らせるメカニズムもある。

がん細胞は無限増殖性を獲得した細胞。細胞が不死化することでガン細胞はどんどん増殖し、ヒトの死を引き起こす。
がん細胞ではいくら分裂増殖してもテロメアが短くならず、がん細胞は老化して死ぬことがない、と考えられている。

<もう一つ>
私たちの体を作っている細胞の数は60兆個と言われていましたが、2013年に出された報告では37兆個に訂正されました。
将来も、この数字は訂正されるかもしれません。

蛇足:細胞生物学が専門の著者は、歌人で朝日新聞歌壇選者。夫人の歌人・河野裕子さんは乳がん闘病の歌を残し6年前に死去されました。

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