
谷崎潤一郎の3つの作品をベースに、舞台を現代に移した3作品の上映が始まった。
『神と人との間』は、作家同士で妻を譲渡した事実を基にしたストーリーだ。社会の規範からハズレたところに文豪は生きて、そこから人間が持つ内面の非常識に訴えているのだ。
主演の渋川清彦、これまでの『下衆の愛』『お盆の弟』では、本能で生きるアウトローを演じて、それが様になっていた。今作は、情けないほどに一人の女性を愛し続ける男を演じた。役の幅を広げた印象だ。
5年前、兵庫・芦屋の谷崎潤一郎記念館に行ったのだが、何を見てきたのか全く記憶がない。
(テアトル新宿にて)