落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

携帯女

2011年07月04日 | 世相
日曜日夕方、用事を済ませ団地の周回マイクロバスに乗った。
以前70円の料金が150円になっていた。それほど久しぶりだ。
車内は蒸し暑く、それぞれ買い物袋などを膝に載せ我が家に向かう客で満員だ。
発車して間もなく携帯電話の会話が始まった。

「A男はね・・・・」
「B男はね・・・・」
「C男はね、いいけど・・・よ」
「D? Dは以前付き合ったけどダメよ」
と延々と続くのだ。
しゃべり慣れた若い女のよく通る声は、まことにうるさい。
次の停車駅を知らせるアナウンスも霞むほどだ。
どんな女かと見ると、二十歳前後の女でまだらの茶髪をかき上げかき上げ、暗くなった窓の外を見てまくし立てている。安物香水の強烈な匂いはそこから漂っていた。

(狭いマイクロバスの中も、女には他の乗客の存在は感じないのだろう、ここはあの女の居間か)

「こらぁ、うるさいっ! そこの携帯女!」
「お前は淫売かぁ、ええ加減にせいっ」


こう怒鳴りつけたい自分だが、じっと我慢している。
おそらく他の乗客もそうだろう。

自分の降りる駅がくるまで実に長かった。
バスから自分一人が降りた。夜空を見上げほっとした。
バスは「こんなの毎度のことだよ」と云わんばかりに走り去っていった。