落葉松亭日記

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TPPの正体(7) オバマの点数稼ぎ?

2011年12月14日 | 政治・外交
オバマの点数稼ぎに過ぎないTPP(日高義樹=ハドソン研究所主席研究員)
2011年12月9日 リベラルタイム
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20111209-03-1201.html

 TPPをめぐる野田佳彦首相の動きを見ていると、目の見えない侍がやみくもに刀を振り回して、あげくのはてに、自分を傷つけてしまうという時代劇ドラマを思い出してしまう。そもそも野田首相の最大の誤りは、「TPPとは一体何であるか」を全く理解していないだけでなく、オバマ米大統領が何を考えているかもわかっていないことだ。

 日本ではTPPが環太平洋経済連携協定と訳されて、すでに実体があるかのように誤解されているが、本当のところはASEAN(東南アジア諸国連合)の中の、貿易自由化の話し合いの一つに過ぎない。クリントン米大統領は一九九三年、やはりASEANの枠組みの中で、関税撤廃を含む貿易自由化の話し合いをまとめようとして失敗した。続いて二〇〇〇年には、アジアの国々の主張で話し合いが始まったが、頓挫してしまった。〇四年には、ブッシュ米大統領が話し合いをまとめようとしたが、これまた失敗した。

 オバマ大統領は今回、関税問題だけでなく、環境保全や新しいエネルギー政策を含めた、包括的な話し合いをしたい意向を表明しているが、本当のところは、大統領選挙をひかえて点数稼ぎを狙っているのである。アメリカの専門家は、TPPについてこういっている。

「オバマ大統領はあらゆる政策に失敗してしまった。最後に残されたのが、貿易拡大によって経済を回復させるという道だが、TPPについてアメリカ国内の意見はまとまっていない」  アメリカの労働組合は、政府が労働組合を管理しているベトナムやブルネイといった専制主義的な国家が、話し合いに加わっていることに強く反発している。

一方、中国政府は、太陽エネルギービジネスに対する、アメリカの干渉に強く反発している。十一月七日中国政府は「TPPは他の貿易協定とのバランスをとって慎重に進めるべきである」と牽制し、太陽エネルギービジネスにアメリカがTPPを使って介入するようなことがあれば、カリフォルニアで計画している、五億ドルにのぼる太陽エネルギー関連のビジネスプロジェクトを、中止すると脅しているのである。

 ハドソン研究所の研究会にやって来た、アメリカ労働組合の代表は次のように述べた。
「オバマ大統領が、これまでの貿易自由化の枠組みをつくり直そうとしているのか、アジアに新しい政治体制をつくることを考えているのか、全くわからない」

 十一月十日、ハワイのホノルルを訪れた全米商工会議所のトム・ドナヒュー会長は、記者団に対してこういった。
「一セントの経費もかけず、増税をしないでアメリカ経済をよくするには、貿易を増やす以外にない。オバマ大統領に努力してもらいたいものだ」

 ワシントンで見るかぎり、TPPの話し合いは、あらゆる経済政策に失敗したオバマ大統領が、失地回復のために最後の思いつきとしてやり始めたもので、見通しもはっきりせず、基本的な構想すら明らかでない。このためオバマびいきのアメリカ東部マスコミですら、まともに取り上げていないのである。

 外務省幹部の話によれば、野田首相は二〇一一年九月にオバマ大統領に会った後、急にTPPにのめり込み、十一月のハワイの会談ではTPPの協議に積極的に参加する意向を表明した。
菅直人前首相、鳩山由紀夫元首相といった民主党指導者達は、恐るべき外交音痴で日本を迷走させたが、野田首相もまた、外交音痴で日本を傷つけようとしているように見えてならない。
リベラルタイム1月号 「THE POWER OF U.S.A」
来年は米大統領選、どぜうさんも国民の眼をそらすためにやっているのかも。
日本も解散総選挙ともなれば、それどころではなくなるのではないか。