落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

平成24年度予算・過去最大96兆円

2011年12月26日 | 政治・外交
結局、歳出削減はできなかった。
民主党の仙谷由人政調会長代行発言
選挙前   : 行革と予算の組み替えで16兆8000億円が捻出できる
今日この頃 : 行革を今からいくらやっても2兆円、3兆円は出てこない
【主張】 来年度予算案 これで「再生」できるのか 徹底した歳出削減が問われる 2011.12.25 02:56
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111225/plc11122502570001-n1.htm

 これでは、日本の再生にはつながらない。

 野田佳彦首相は平成24年度予算案について「日本再生元年予算となる」と強調したが、実質的に過去最大となった歳出規模からは、悪化一方の財政の再建に向けた道筋は浮かび上がってこない。

 野田首相は年内に社会保障と税の一体改革の素案で消費税増税を決めるとしている。しかし、そのためには民主党が掲げたばらまきマニフェスト(政権公約)の撤回が不可欠だ。与党や地方からの歳出増圧力に押されたまま、徹底した歳出削減を主導できないのであれば、負担増への国民の理解は得られない。

 ≪増税の先食いは残念だ≫

 民主党政権で3度目の予算編成だが、当初予算としては3年連続で新規の国債発行額が税収を上回った。歳入に占める借金の割合を示す国債依存度は、49%と今年度を上回って過去最悪を更新した。来年度末には国債の発行残高だけで709兆円に達する。借金頼みという異常事態が続いている。

 野田政権は、こうした危機的な国家財政の姿を直視できているのか。確かに中期財政フレームで示した「国債費を除く一般会計歳出で約71兆円、新規国債発行は約44兆円以内」の大枠は何とかクリアしてみせた。

 しかし、これは基礎年金の国庫負担割合を2分の1に維持するための2・6兆円を通常の国債発行計画に含まない交付国債で賄うことによるものだ。本来なら恒久財源で手当てすべきだが、将来の消費税増税分をその償還財源に充てるという。「増税の先食い」にすぎず帳尻合わせでしかない。

 また、地方交付税も16・6兆円と前年度比1・1%減になっているが、実際の地方配分額は政府系金融機関の基金取り崩しなどによって17・5兆円と前年度より増える。体裁を取り繕うだけの予算編成では財政規律を失わせ、今後の財政再建にも悪影響を与える。

 こうした小手先の演出ともいえる手法を駆使しなければならなかったのは、高まる歳出増圧力に屈したためだ。民主党のばらまきマニフェストは与野党で見直しが決まっていたが、来年度予算案の編成過程で協議は決裂した。結果的に与党内の声に押され、農家向けの戸別所得補償と高校無償化は制度改革に取り組まないまま関連予算を計上した。
 成長分野などに7千億円を重点投資するとした「日本再生重点化措置」では、各省庁から約2兆円の予算要求が殺到し、それを絞り込めずに配分額は最終的に1兆円を上回る規模に膨らんだ。アフガニスタン支援や艦艇燃料費など、日本再生と関係が薄い予算も含まれている。

 ≪借金頼みはもう限界に≫

 整備新幹線でも、肝心の採算性が示されないまま北陸新幹線の金沢-敦賀など3区間の同時着工を決めた。JRが鉄道・運輸機構に支払う施設使用料を建設費用に充てることで財源は確保できたとしているが、負担は国や地方も求められる仕組みだ。費用対効果を見極めた公共投資が必要だろう。

 震災復興にも課題を残す。来年度予算案では予備費を含めて約3・7兆円の復興費用を特別会計に計上し、約4500億円の除染費用を盛り込んだ。だが、削り出した表土を保管する場所が確保できていない。これではせっかく予算がついても、執行できない事態が懸念される。

 欧州の財政危機に見られるように、将来の国債消化が不安視されると、長期金利は上昇(国債価格は下落)する。国内資金が豊富な日本はまだ消化に問題はないが、先進国で最悪の財政状態であるとの厳しい認識は持っておかねばならない。国債頼みの予算編成は限界を迎えている。

 安定した社会保障財源を確保するための消費税増税が必要となるが、それには徹底した歳出削減が問われる。25年にわたって所得税を増税するなどの復興増税の決定過程でもそうだったように、いったん増税を決めてしまうと、歳出削減に向けた取り組みは弱まる恐れがある。

 国家公務員の給与削減は与野党対立で法案が成立していない。国会議員定数の見直しも進んでいない。負担増に対する国民の納得を得るためには自らの身を削る姿勢を示すことが何よりも求められている。来年度予算案からはそうした危機感はみられない。



産経記者阿比留瑠比氏ブログ「国を憂い、われとわが身を甘やかすの記」
野田バラマキ予算案と本日の「お前が言うな!」 2011/12/25 12:21
http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/2549574/

 今朝は出勤後しばし、野田政権が編成した実質96兆円強と過去最大の平成24年度当初予算案に関する在京各紙の論調を、じっくりと読み比べてみました。

社説のタイトルを見ても、「まやかしの『目標達成』」(毎日)、「日本再生の看板が泣く野田予算案」(日経)などと、どこも厳しい視線を送っていましたが、その中でも朝日と東京の論評がいいなと感じました。逆に読売は、天下の大主筆が野田佳彦首相支持を明言しているためか、ちょっと「ぬるい」という印象です。

 朝日は1面で原真人編集委員が「日本売り 忍び寄る危機」という明快な記事を書いています。持って回って韜晦し、奥歯にものが挟まったような、結局何を言いたいのだかよく分からない書き方を「よし」とするこの新聞にしては、表現も実にストレートでわかりやすい。例えば

 《来年度予算はまちがいなく過去最大にふくらんだバラマキ型予算である》
 《これはいわば、行き当たりばったりの財政拡張だ。そこに厳しい財政規律も、明確な政策意思もない》
 《この歳出のゆるみようでは(増税について)国民の理解は得られまい》

 ……など、全くその通りだと言いたくなります。朝日は社説「危機感がなさすぎる」の中でも「こんな予算で国民に消費税の増税を求められるのか。国会で徹底的に議論し、予算を組み替えてもらいたい」と書いています。野田氏も就任して100日以上がたち、いかに泥の中に隠れて黙っていてもその正体がだんだん誰の目にも明らかになってきましたね。

 東京の社説「消え失せた政権公約」も、こんな率直な書き出しです。この新聞の社説は当たり外れが大きいので、書いている論説委員の署名が読みたいところです。

 《民主党のいいかげんさを一日に凝縮して見せられたような思いがする。》
 そして、こんな言葉が続きます。
 《自分たちで決めた政策決定のシステムさえ守れないでたらめさを見せつけた。(八ツ場ダム建設)再開を決めた最終局面で登場した「官房長官裁定」なるものも、一読して国民にはさっぱり分からない。要するに政権が国民に顔を向けていないのである。》
 《政権交代から三回目になる予算案をみる限り、改革の約束はほごにされてしまった。》
 《子ども手当を試みて失敗し、議員定数削減や年金制度改革、国家公務員総人件費二割削減も先送りである。国家公務員の冬のボーナスは逆に前年度を上回った。それで消費税引き上げでは納得できない》

 ……これまた「まっくだ」と同感します。野田首相は八ツ場ダム建設再開について「苦渋の決断だ」と言いましたが、何が言いたいのだか意味不明です。

 で、ここからが本題なのですが、今朝の各紙を読んでいて、何度か「お前が言うな!」と叫びたくなったのでした。一つは、やはり東京新聞に掲載されていた民主党結党時からの応援団である山口二郎北海道大教授のコラムです。山口氏はこう記していました。
 《予算編成の季節である。消費税率の引き上げが最大の争点となっている。私はこの問題については、多少政府に同情的である。財源に関する見通しが甘かったのは責められるべきだが、世界の財政・金融危機の中で日本も財政健全化に向けた動きを始めなければならない》
 山口氏は政権交代直前、雑誌「世界」(平成21年9月号)では、「(財源の)細かい数字は後から付いてくるのである」とまるで、小沢一郎氏みたいなことを語っていました。責められるべきはあなたも一緒でしょうに。また、山口氏は八ツ場ダムに関してコラムでこうも書いています。
 《これだけは絶対に譲れないという確信まで失ったら、そんな政治家や政党は不必要であり、有害である。》
 民主党に対する「確信」を失ってそう書いているのだとしたら、そんな学者も不必要であり、有害でしょうね。

もう一つ、今朝の紙面で「お前が言うな」と感じたのが、仙谷由人政調会長代行がBS朝日で述べた言葉です。東京新聞にはこうありました。
 《民主党の仙谷由人政調会長代行は24日、消費税を2010年代半ばまでに10%にするとの増税方針をめぐり、5年以内にさらに15%まで引き上げる必要があるとの認識を示した。》
 ……こんな予算を組んでおいてよく言うよ、さすが鉄面皮だというところですが、それだけではありません。産経によると、仙谷氏は《行革を今からいくらやっても2兆円、3兆円は出てこない》とも語っていました。
 行革と予算の組み替えで16兆8000億円が捻出できるという旗印で選挙に勝ったのはどこの政党なのか。あなたがたは負担を国民に押しつける前にどんな努力をしたというのか。少なくとも、鳩山内閣でも菅内閣でも閣僚を務めた仙谷氏に偉そうなことを言う資格はないはずですね。重ねて
 「お前が言うな!」
と言っておきたいと思います。まあ、いくら言っても分かる人たちではないでしょうが。