落葉松亭日記

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2016台湾総統選挙

2015年01月21日 | 政治・外交
中共は経済の衰退、共産党幹部の汚職などで不安定さはあるが依然として第一列島線、第二列島線を対米防衛線として軍拡に努めている。
2015年になったばかりだが、来年2016年は、台湾総統選挙、米大統領選挙がある。
台湾は第一列島線上にあり、台湾が中共に併呑されるようなことになれば、日本にとっても重大な脅威となる。
Andyの国際ニュース解説日時: 2015年1月20日 06:28:19JST
[AC論説] No.526 2016年の総統選挙
http://www.melma.com/backnumber_53999

九合一選挙が終わったばかりだが、2016年1月の総統選挙があと一年となった。米国の大統領選挙は2016年11月だから台湾の10ヶ月後である。国民党が大敗したので候補者選びが困難となった。米国の中間選挙でも共和党が大勝利、オバマ・民主党は惨敗した。

いまのところ民進党は蔡英文が立候補すると言われている。台湾では一般にヒラリーが当選すると言う予測がある。蔡英文より他の候補が出る可能性もある。ヒラリーの選挙は台湾選挙の10ヶ月後だから台湾の選挙に影響しない。米国では共和党が勝つと思われる。

●人民の反政治感情

去年秋の台湾と米国の選挙は反対政党が勝ったのではなく国民の反政治が勝ったのである。馬政権とオバマ政権に反対して反対党に投票しただけで、反対党が勝利したのではない。

台湾ではヒマワリ革命が国民党独裁に反対し、香港では雨傘革命が反中国独裁の抗議運動がおきた。民間の「現状に不満」感情が執政党に反対したのである。台北市長に立候補した柯文哲は民進党に入党を拒み、無党派で立候補したが民間の支持率が高かったので民進党は自党の候補を出さず柯文哲を支持した。

台湾と米国の選挙に見られる傾向は、国民が「政治からの脱却(Political Freedom)」を求めていると思う。しかも国民が現状に不満で現状から脱却を求める傾向は来年の選挙まで続くと思われる。国民は政党所属よりも「世直し大明神」を求めているのだ。

●台湾の核心課題

台湾選挙の核心課題は三つある。中国、米国と民意である。この三つが人民の投票を決める。

台湾の政治にとって中国は最も複雑で困難な課題である。中国は台湾併呑を目指し、国民党も統一を目指している。台湾人民は統一に反対だが、中国との政治経済関係を切ることが出来ない。中国と国民党政権がグルになっているのが大問題で、彼ら(中国人)は「92共識」と呼ぶ合意があったと主張するが合意は存在しない。台湾人は合意はなかったと主張するが、中国はウソを言い張り、台湾独立反対、武力行使で恫喝する。しかも民進党は中国関係を重視し、党綱領から台湾独立を消去した。人民は民進党に失望し、無党派の柯文哲を支持した。

米国は中国の横暴に対処できず、台湾の主権問題を放置している。
中台問題は平和解決すべきと主張するだけで、中国のウソ、「台湾は中国の一部、二つの中国反対、台湾独立反対」に反対しない。米国は現状維持で対決を避ける。2012年の選挙ではダグラス・パールを台湾に派遣して馬英九を支持し、選挙に干渉した。
台湾人民は来年の選挙に米国の干渉を強く警戒している。民意を無視して独裁支持はできない。米国の民主党はいつも国民党を支持してきたが、ヒラリーが人民を支持する発言をしたが、明かにヒラリーの選挙活動、リップサービスである。

台湾人民は中国統一に反対である。民進党が独立を棄てて中国路線をとっため人民は柯文哲を支持した。
選挙で明らかになったのは、台湾人民が政党闘争に飽きて柯文哲の政治中立、台湾優先、経済優先を支持したのである。政党政治を棄てて台湾の為になる候補者を選ぶ、「台湾優先路線」である。中国、米国の圧力も人民の総意に対抗できない。

●柯文哲旋風とその他の候補者

柯文哲は台北市長に就任した当日から政治改革に乗り出し、遅延工事、汚職摘発、公務員の職務効率と無駄遣い監督など、毎日の新聞トップを飾る高能率を発揮した。
この一月で中国人が70年も悪辣な汚職や掠奪をしていたことが明らかになった。
つまり中国人が政権を奪回する可能性を限りなくゼロにしたのだ。

数日前、柯文哲が南部の東港を訪問したとき、数千人が広場に押し寄せ、握手、胴上げで柯文哲を歓迎した。正に「世直し大明神」である。この状況から見れば、もし柯文哲が来年の総統選挙に出馬すれば8割以上の得票率で当選するだろう。しかし彼は台北市長に就任したばかりだから出馬は難しい。柯文哲のほかに人気が高いのは頼清徳台南市長だが、彼も再選を果たしたばかりである。

民間では蔡英文が出馬すると予想しているが、蔡英文は2008年の選挙で「台湾=中華民国」の中国路線を主張したので人民の支持率は低い。おまけにダグラス・パールが馬英九を支持したから米国の蔡英文支持は期待できない。逆に米国が国民党の朱立倫を支持する可能性もあるが、米国では選挙の真っ最中だから各候補は台湾問題を避けるかもしれない。

●米国と日本の動向

極東問題の焦点は中国にある。米国や日本の宥和政策は中国が増長するだけである。
台湾は中国の描いた第一防衛線の中央にあり、中国の太平洋進出を防ぐ重要拠点である。
台湾が併呑されれば中国の太平洋進出を防ぐことはできず、尖閣と沖縄、日本全体に大きな脅威となる。

米国は台湾の重要性を知りながら現状維持を主張し、中国の尖閣諸島、パラセル、スプラトリー諸島の覇権行動を抑止できない。台湾を失えばアジアピボットは失敗する。
口先でリバランスとかピボットとか言いながら台湾問題を放置しているのは大きな間違いだ。
しかも米国は現状維持、国民党支持という愚劣な政策を変更しない。

中国の軍艦が尖閣付近に出没してもアメリカは軍艦を派遣しない。
第7艦隊は台湾海峡を通過せず太平洋側を通るようになった。
アメリカはパラセルやスプラトリー諸島で中国の軍事行動や建設を監視する軍艦を常駐させたことがあるか。

米国と同じく、日本政府も台湾問題について介入を避けている。
日本の不干渉が中国の無法を許し、極東の不穏、日本の安全が脅かされる。
台湾と日本は「唇亡歯寒」の連帯関係である。台湾を失えば日本も危ない。
台湾問題を避けてアジアの平和は得られない。

当たらず障らずいつまでも事なかれ主義で通せるだろうか。

■台湾の統一地方選挙(九合一選挙)の開票結果(2014/12/01)
http://www.taiwanembassy.org/ct.asp?xItem=569027&ctNode=1453&mp=202