8月15日に出すという安倍談話が今から注目されている。
中・韓のみならず米までも河野村山談話の継承を忘れるなと釘をさしている。
これも歴史戦だろう。
■西村眞悟「総理大臣談話の作り方、そして奉天」
http://www.n-shingo.com/jiji/?page=1076&view=0
中・韓のみならず米までも河野村山談話の継承を忘れるなと釘をさしている。
これも歴史戦だろう。
■「加瀬英明のコラム」メールマガジン 2015年3月24日 02:00:07JST
http://www.kase-hideaki.co.jp/magbbs/magbbs.cgi
大戦終結“70周年”に露・中・米がこだわる理由
安倍政権は戦後70周年に当たる談話をだすのをめぐって、苦慮している。
新しい首相談話を発表する8月は、日本にとって重い夏となる。
ワシントンから再三にわたって、村山談話、河野官房長官談話を「継承」し、先の大戦に対する反省を繰り返すように求められている。
安倍首相が5月の連休に訪米して、アメリカ議会で演説することになるが、先の大戦にどのように言及するのか、頭が痛いことだ。
だが、大戦終結後70周年を記念しようという騒ぎが、このように大きく盛りあがっているのは、おかしいではないか?
ふつうなら、50周年、100周年を記念するもので、70周年が大きな節目となることはない。60周年にこのように大きな話題に、ならなかった。
ロシアと中国には、70周年を盛大に祝いたい計算がある。
ロシアはソ連が崩壊して、共産主義も破綻してしまったので、前大戦でヒトラーのナチス・ドイツを打倒したことしか、正義を主張できない。
中国も同じ弱みを、かかえている。東南アジア諸国などの周辺の国々を恫喝して、評判が悪い。いまの中国は、中華民国ではないから、先の大戦の戦勝国ではないが、軍国日本を屈服させたことしか、正義を騙(かた)ることができない。
しかし、アメリカはどうなっているのか?
アメリカは17世紀はじめに、イギリス本国から迫害を受けていた清教徒が、北アメリカ大陸に“地上のユートピア”である「神の国」を築こうと決意して、大西洋を渡って、建国した国である。
そのために、今日でもアメリカは、キリスト教の信仰が篤い国となっている。ヨーロッパでは神父や、牧師のなり手がいないので、アフリカの黒人や、インド人の聖職者が増えている。アメリカはヨーロッパ諸国において宗教離れが進んでいるのと、対照的だ。
アメリカはいまでも「世界で自分たちのアメリカがもっとも正しい」と信じている、“地上のユートピア”主義を国是としている。
なぜ、ソ連が東西冷戦が終わるまで、地球上の半分近くを支配したのか。なぜ、アメリカが「アメリカの理想」を振り翳して、全世界をアメリカ化しようとしているのか。
この答えを求めるためには、西洋史を遡らなければならない。
ヨーロッパでは中世を通じて、ローマ法王のキリスト教原理主義によって、いっさいの知的な自由が圧し潰されていた。
そこに、ルネサンスと啓蒙の時代が、到来した。
啓蒙の時代は人間の知性を、神よりも上に据えた。その結果、それまでは天国が死後の世界に属していたが、天国を地上に引きずりおろして、“地上のユートピア”主義が出現した。
18世紀のフランス革命が、その鬼子であり、マルキシズムが“地上のユートピア”思想の代表的なものだった。
ソ連が消滅して、中国もマルキシズムを捨てて、“偉大な中華文明の復活”を旗印とするようになった。
だが、アメリカがまだ“地上のユートピア”主義国家として、のこっている。
アメリカも先の大戦で、アメリカが正義であったことを、証したいのだ。
http://www.kase-hideaki.co.jp/magbbs/magbbs.cgi
大戦終結“70周年”に露・中・米がこだわる理由
安倍政権は戦後70周年に当たる談話をだすのをめぐって、苦慮している。
新しい首相談話を発表する8月は、日本にとって重い夏となる。
ワシントンから再三にわたって、村山談話、河野官房長官談話を「継承」し、先の大戦に対する反省を繰り返すように求められている。
安倍首相が5月の連休に訪米して、アメリカ議会で演説することになるが、先の大戦にどのように言及するのか、頭が痛いことだ。
だが、大戦終結後70周年を記念しようという騒ぎが、このように大きく盛りあがっているのは、おかしいではないか?
ふつうなら、50周年、100周年を記念するもので、70周年が大きな節目となることはない。60周年にこのように大きな話題に、ならなかった。
ロシアと中国には、70周年を盛大に祝いたい計算がある。
ロシアはソ連が崩壊して、共産主義も破綻してしまったので、前大戦でヒトラーのナチス・ドイツを打倒したことしか、正義を主張できない。
中国も同じ弱みを、かかえている。東南アジア諸国などの周辺の国々を恫喝して、評判が悪い。いまの中国は、中華民国ではないから、先の大戦の戦勝国ではないが、軍国日本を屈服させたことしか、正義を騙(かた)ることができない。
しかし、アメリカはどうなっているのか?
アメリカは17世紀はじめに、イギリス本国から迫害を受けていた清教徒が、北アメリカ大陸に“地上のユートピア”である「神の国」を築こうと決意して、大西洋を渡って、建国した国である。
そのために、今日でもアメリカは、キリスト教の信仰が篤い国となっている。ヨーロッパでは神父や、牧師のなり手がいないので、アフリカの黒人や、インド人の聖職者が増えている。アメリカはヨーロッパ諸国において宗教離れが進んでいるのと、対照的だ。
アメリカはいまでも「世界で自分たちのアメリカがもっとも正しい」と信じている、“地上のユートピア”主義を国是としている。
なぜ、ソ連が東西冷戦が終わるまで、地球上の半分近くを支配したのか。なぜ、アメリカが「アメリカの理想」を振り翳して、全世界をアメリカ化しようとしているのか。
この答えを求めるためには、西洋史を遡らなければならない。
ヨーロッパでは中世を通じて、ローマ法王のキリスト教原理主義によって、いっさいの知的な自由が圧し潰されていた。
そこに、ルネサンスと啓蒙の時代が、到来した。
啓蒙の時代は人間の知性を、神よりも上に据えた。その結果、それまでは天国が死後の世界に属していたが、天国を地上に引きずりおろして、“地上のユートピア”主義が出現した。
18世紀のフランス革命が、その鬼子であり、マルキシズムが“地上のユートピア”思想の代表的なものだった。
ソ連が消滅して、中国もマルキシズムを捨てて、“偉大な中華文明の復活”を旗印とするようになった。
だが、アメリカがまだ“地上のユートピア”主義国家として、のこっている。
アメリカも先の大戦で、アメリカが正義であったことを、証したいのだ。
「戦争の歴史を知らない世代」の戦後70年談話を
池田信夫 2015年03月19日(木)17時57分
http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2015/03/70.php
今年は戦後70年。政府は8月15日に安倍首相談話を出すための有識者会議をつくった。戦後50年の村山談話で「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」と述べた部分を変更したいのが首相の意向らしい。
ところが有識者会議の座長代理である北岡伸一氏(国際大学学長)は「安倍首相には侵略と言ってほしい」とコメントし、産経新聞などが反発している。いまだにこんな話をしているのかとうんざりしていた矢先に、三原じゅん子議員が参議院予算委員会で「八紘一宇」を賞賛する事件が起こって驚いた。
彼女は「八紘一宇の理念の下に世界が一つの家族のように睦み合い、助け合えるように、経済および税の仕組みを運用していくことを確認する崇高な政治的合意文書」をつくれという。麻生財務相は当惑して「こういった考え方をお持ちの方が三原先生みたいな世代におられるのに驚いた」と答弁した。
八紘一宇という言葉は、大日本帝国がアジアの「家長」として他の国々を支配する思想である。三原氏が特に極右的な思想の持ち主とも思われないが、戦時中の歴史がメディアや教育でタブーになってきた結果、彼女(1964年生まれ)の世代では、こういう言葉の使われた文脈がわからなくなっているのだろう。
そういう意味では歴史が一めぐりした今、あの戦争の意味を確認しておく意味はある。侵略については、北岡氏もいうように「日本の歴史研究者に聞けば99%そう言う」だろう。1928年の不戦条約以降は、他国の領土を侵犯する行為が侵略であることは国際的な常識である。
だから1931年の満州事変以降に日本軍の起こした戦争は、明らかに国際法上の侵略である。ヨーロッパ諸国も1928年以前にアジアを植民地支配したが、そのときは侵略という概念はなかった。日本は不戦条約を批准したのだから、それを意図的に破ったことは批判されてもしかたがない。
当時の日本政府は「八紘一宇」や「大東亜共栄圏」などの言葉を使って侵略を正当化したため、日本が最初からアジア全域を領土にしようとして戦争したと考える人が多いが、これも誤りだ。
日本政府が公文書で「八紘一宇」を初めて使ったのは、第2次近衛文麿内閣が1940年に出した基本国策要綱で「大東亜新秩序」を打ち出したときだ。このときすでに日中戦争は始まっており、東南アジアに戦線は拡大していた。これは戦争が始まってからつけたスローガンなのだ。
よくも悪くも、日本はアジア全体を支配しようという思想はもっていなかったし、そんな戦略もなかった。何のために戦争するのかわからないまま、ずるずると戦線を拡大したのだ。こうした「歴史問題」を騒いでいるのは、中国と韓国だけである。東南アジアでそういう話題が出ることはなく、台湾は日本に感謝している。
日韓併合は1910年の合法的な条約なので、植民地支配と侵略を一括して謝罪した村山談話はおかしいが、それを今さら変更しても中韓の反発をまねくだけだろう。むしろ三原氏のような「戦争の歴史を知らない世代」が歴史を勉強し、戦後70年の談話を出してはどうだろうか。
http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2015/03/70.php
今年は戦後70年。政府は8月15日に安倍首相談話を出すための有識者会議をつくった。戦後50年の村山談話で「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」と述べた部分を変更したいのが首相の意向らしい。
ところが有識者会議の座長代理である北岡伸一氏(国際大学学長)は「安倍首相には侵略と言ってほしい」とコメントし、産経新聞などが反発している。いまだにこんな話をしているのかとうんざりしていた矢先に、三原じゅん子議員が参議院予算委員会で「八紘一宇」を賞賛する事件が起こって驚いた。
彼女は「八紘一宇の理念の下に世界が一つの家族のように睦み合い、助け合えるように、経済および税の仕組みを運用していくことを確認する崇高な政治的合意文書」をつくれという。麻生財務相は当惑して「こういった考え方をお持ちの方が三原先生みたいな世代におられるのに驚いた」と答弁した。
八紘一宇という言葉は、大日本帝国がアジアの「家長」として他の国々を支配する思想である。三原氏が特に極右的な思想の持ち主とも思われないが、戦時中の歴史がメディアや教育でタブーになってきた結果、彼女(1964年生まれ)の世代では、こういう言葉の使われた文脈がわからなくなっているのだろう。
そういう意味では歴史が一めぐりした今、あの戦争の意味を確認しておく意味はある。侵略については、北岡氏もいうように「日本の歴史研究者に聞けば99%そう言う」だろう。1928年の不戦条約以降は、他国の領土を侵犯する行為が侵略であることは国際的な常識である。
だから1931年の満州事変以降に日本軍の起こした戦争は、明らかに国際法上の侵略である。ヨーロッパ諸国も1928年以前にアジアを植民地支配したが、そのときは侵略という概念はなかった。日本は不戦条約を批准したのだから、それを意図的に破ったことは批判されてもしかたがない。
当時の日本政府は「八紘一宇」や「大東亜共栄圏」などの言葉を使って侵略を正当化したため、日本が最初からアジア全域を領土にしようとして戦争したと考える人が多いが、これも誤りだ。
日本政府が公文書で「八紘一宇」を初めて使ったのは、第2次近衛文麿内閣が1940年に出した基本国策要綱で「大東亜新秩序」を打ち出したときだ。このときすでに日中戦争は始まっており、東南アジアに戦線は拡大していた。これは戦争が始まってからつけたスローガンなのだ。
よくも悪くも、日本はアジア全体を支配しようという思想はもっていなかったし、そんな戦略もなかった。何のために戦争するのかわからないまま、ずるずると戦線を拡大したのだ。こうした「歴史問題」を騒いでいるのは、中国と韓国だけである。東南アジアでそういう話題が出ることはなく、台湾は日本に感謝している。
日韓併合は1910年の合法的な条約なので、植民地支配と侵略を一括して謝罪した村山談話はおかしいが、それを今さら変更しても中韓の反発をまねくだけだろう。むしろ三原氏のような「戦争の歴史を知らない世代」が歴史を勉強し、戦後70年の談話を出してはどうだろうか。
■西村眞悟「総理大臣談話の作り方、そして奉天」
http://www.n-shingo.com/jiji/?page=1076&view=0