夕方、ゴロゴロと雷鳴が近づいてきた。
夕食を終え一服している午後6時50分、停電。
大きな雷鳴と共に閃光が走った。近所に落雷したようだ。
北側の鈴蘭台盆地、西側の住宅街は町の灯りが見えており、停電はこの団地だけらしい。
空に目をやると、閃光が編み目のように走った。
ベランダから見る南側の住戸棟は外灯を含めて真っ暗だ。
こんな風景は此処に来てからはじめて見る。
黒々とした建物の窓という窓は一切灯りがない。
近未来のSF、核戦争で廃墟になった町を連想させられた。
しのつく雨の中、仕事から帰ってきた車が1台、駐車場に入った。
ドアを開け部屋に入る様子はなく、車内灯が点いた。
どうやら電気が通じるまで車内で過ごすつもりだろう。
普段、部屋は消灯しても、階下の外灯などで窓は明るいが、 この停電では真っ暗になった。
車中泊で使う乾電池式のランタンを点けてみた。
本を読める明るさはなく、ノートパソコンを開いてみてもネット回線は働かず、寝るしかないと横になった。
微かな音で目が覚めた。雷様は通り過ぎたらしい。
枕元のオートタイマーが通電したらしく点滅している。
時刻はゼロに戻ってしまっていた。
目覚まし時計は9時を過ぎていた。
改めて電気器具類のOFFを確かめて横になった。