まずは大前提として、「片手袋とは何か?」を定義しなくてはならないだろう。
一口に“片手袋”といっても、それがどのようなものか定義しようとすると幾つかの難しい問題が浮上してくる。
簡単に言えば「まちで見掛ける片方だけ落ちている手袋」となるが、そう簡単にはいかないのである。
例えば上の写真。ちゃんと一組揃いで落ちている手袋だ。これは勿論、片手袋ではない。しかし、考えてみて欲しい。ピューっと突風が吹いて、このうち一つの手袋がコロコロと転がり段々離れていく。その間隔が10cmなら、それはまだ一揃いの手袋。しかし間隔が20cm、30cm、1m、遂には50mまで拡がってしまったら、果たしてそれは“一揃いの手袋”と言えるだろうか?そこまで拡がればもうそれは、“片手袋が二つ”となるはずだ。
このように片手袋にはもう片方との距離が重要になってくる。それはオタク達が熱く語り合う「スカートの裾とハイソックスの間の感覚はどれぐらいが理想か?」という“絶対領域問題”や、「どれだけ恋人達の距離が離れていて
も恋愛は成立するのか?」という“遠距離恋愛問題”と非常に近い問題なのだ。
少なくとも僕はそう思うのだから、そうしておいて欲しい。頼む。
僕が片手袋の撮影を始めてから七年が過ぎた。片手袋との日々の出会いを綴ったこの『かたてブログ』は、もうすぐ四年。
最初の二、三年はただただ写真を撮る事に夢中になっていた。しかし長く続けていると、片手袋の発生しやすい場所や季節や条件、また片手袋に関する様々な事象が分かってくる。
「あれ?こういう片手袋前にも見たぞ?」という発見は調査と論考を重ねて確信となる。そうして積み重ねてきた確信が集まってくると、それはやがて“学問”となる。
“片手袋撮影”という馬鹿馬鹿しく些細な活動であっても、究極的に突き詰めていくとそれは学問になる!
僕の中で学問の域にまで熟成されてきた片手袋。その研究成果をそろそろ発表していこうと思う。具体的には、片手袋の定義、片手袋の分類法、片手袋から見えてくる人間の心理、などを考現学的に考えていく。
『片手袋研究発表』というカテゴリーを新たに作り、ほぼ毎週月曜更新していきます。
勿論、片手袋との日々の出会いも引き続きこのブログでご報告していきます。
「片手袋は学問です!」なんて頭おかしい事言いだしたのは自分でも分かってますが、まあ、お暇があればお付き合いくださいませ。