・片手袋の聖地①~築地市場~
前回の片手袋研究では、主に冬場の片手袋多発地帯について考察してみた。簡単に書くと「片手袋多発地帯=手袋の脱着回数が多い場所」という結論である。
しかし、それは冬場のお洒落目的手袋の話。片手袋の圧倒的多数を占めるのは一年通じて観測出来る作業系片手袋、つまり軍手やゴム手袋なのである。
それではそれら作業系片手袋にも発生しやすい場所はあるのか?
結論から言うと軍手やゴム手袋はどこにでも落ちている。つまり日本全国全てが多発地帯、と言っても過言ではないのだ。
しかし、その中でも軍手やゴム手袋が落ちている可能性が恐ろしく高い場所、片手袋密度の異常に高い場所、片手袋の聖地とも言って良い場所が存在するのだ。
片手袋の聖地になる条件とは何か?
まず、大前提として“手袋が多く使用される場所である事”。手袋の絶対数が多ければその分、落とされる可能性も高くなる。
次に、“忙しい場所である事”。忙しければ忙しいほど、手袋への意識が低下して片手袋が発生しやすくなる。
この二つの条件を満たし、行けば必ず片手袋に出会える、片手袋の聖地。僕は生まれも育ちも東京なので他県の状況は分からないのだが、都内では
二か所把握している。
今日はそのうちの一つ、築地市場をご紹介しよう。
この場所で手袋が大量に使われているだろう事は容易に想像がつくと思う。市場の人達は魚をさばく場合ゴム手袋をはめている場合が多い。また荷物を積んだり運搬したりする際、軍手も沢山使われる。
さらに築地は毎日毎日、東京でも有数の忙しい朝を過ごしている場所でもある。魚を運ぶターレットという乗り物が、歩行者など一切気にする事無く場内を縦横無尽に駆け回る。このまちでは歩行者が車に轢かれたら、それは歩行者の責任だ。気性の荒い河岸の男達はターレットから魚の入ったトロ箱が落ちても全く気付かないくらいなのだ。手袋を一つ落としたって気付くはずもない。
手袋使用量の多さと都内屈指の忙しい場所。二つを完璧に兼ね備えた築地市場。年間通してどの季節でもこの場所で一回も片手袋に遭遇しない、という事はまずない。
お魚天国としてアジアのみならず、世界中にその名を知られる築地だが、実は片手袋天国でもあるのだ!まあ、後者は世界中で僕にとってのみの天国だが。
(また、築地はいずれこの研究発表で触れる、片手袋分類における“作業系”の宝庫でもあるのだが、この件についてはまた今度)
来週月曜日の研究発表は、もう一つの片手袋の聖地について。