先日、映画好きが集まって楽しく語らう会で、「『カーズ3』が良かった」という感想を複数聞き、気になっておりました。なんとなくネットで検索したりしていると、同時上映の短編作品のポスターに目が留まりました。
『LOU』という作品らしいのですが、ここを見て下さい。
緑色の片手袋が写ってるじゃありませんか!ディズニーピクサーは過去にも様々な作品に片手袋を登場させてきた経緯があります。
気付いたのは昨日なんですが、今日の夜早速チェックしてきましたよ。『カーズ3』への興味から始まった話だった事も忘れて。
『LOU』のあらすじをWikipediaから引用しますと…
ある幼稚園の運動場の片隅に、忘れられたおもちゃが入った「忘れ物預かりボックス(Lost and Found)」があり、その中にはそれらが合体して成る不思議な生き物ルーが潜んでいた。休み時間中、運動場では園児達が各々に遊んでいたが、他人のおもちゃを奪い取っては自分のリュックに隠してしまう意地悪な少年JJが出現する
この画像を見て下さい。
つまりこのタイトル、忘れ物預かりボックスに付けられた“Lost and Found”から取れてしまった文字を並べて『LOU』になってるんです。
で、結論から言うと短編にはポスターに描かれた片手袋は登場しなかったように思います。ソフト化されたら一時停止などを繰り返して改めて確認してみますが。
しかし、落とし物、失くされた物、忘れ去られた物達にまつわる物語を描いた点で、やはり過去のディズニーピクサー映画で片手袋が描かれた時と共通点がありました。
『ティンカーベル』に出てきた片手袋。
この物語内では、妖精たちが人間の落とし物を利用して生活しています。これは種まき機として使用しているんですね。
『モンスターズインク』の片手袋。
物語中盤に出てくるイエティの住処は、人間が落としたであろう物で溢れています。イエティも落とし物を利用して生きてるんですね。その中からマイクは片手袋を選んで、防寒具として利用しています。
これらはあくまで物語内の小道具として登場する訳だし、僕が映画を見る際も片手袋に注意しているから気づいた訳ですが、でもピクサー、そしてジョン・ラセター体制以降のディズニー作品は、テーマそのものが「落としもの、失くされたもの、忘れ去られたもの」である事が多い気がします。
まずその筆頭がピクサーの長編映画の歴史が始まった『トイストーリー』である事は言うまでもありません。理由はお分かりですよね?
『ウォーリー』の冒頭、人間がいなくなった地球でゴミの山をひっそりと整理しているウォーリー。その姿が映っただけで何故か涙が溢れてきます。
『カールじいさんの空飛ぶ家』では、カールじいさんはもういなくなってしまったある人の思いに捉われ生きています。
『インサイド・ヘッド』に出てくるビンボン。この映画を見た時、多くの大人はかつて自分にもいた「空想の友達」の存在を思い出したのではないでしょうか?
そして今回の短編、『LOU』。そもそもタイトルが「なくなってしまったアルファベット」で作られてますし、物語自体も「失くしたものが自分を作り上げていたことに気づく」お話でした。
その後の本編、『カーズ3』もまさにもう忘れ去られていた人(車)達の物語なんですよね。
冒頭の映画好きの会で、「ジブリの後継者は誰なんだろう?」という話になりました。細田守監督とか湯浅政明監督の名前が上がるなか、とある方が「それは日本人である必要はないし、ジョン・ラセターがしっかり志を継いでくれてるんじゃないか?」という事を仰られまして。僕が全く思いつかなかった視点でありながら、膝を五千回くらい打ちたくなるご意見でした。
というのもちょうど『メアリと魔女の花』を見て、「ジブリの意思を継いでいくって、どういう事なんだろう?」と考えていた所だったのです。例えば、『となりのトトロ』公開時の糸井重里氏のコピー。
「このへんないきものは、まだ日本にいるのです。たぶん」
巨神兵の存在そのもの。誰からも忘れ去られひっそりと空に浮かび続けるラピュタ。もう殆どの人が存在は知っていても実際に見たことはなくなってしまった魔女の力。バブル期に建造されたと思しきテーマパークの廃墟とシームレスに繋がる神様たちの異世界。
もしジョン・ラセターがジブリから何かを引き継いでいるのだとしたら、こういった「もうなくなったもの、なくなっていくもの」への視線である気がしてなりません。そしてジブリ映画をジブリ映画たらしめているものは、「飛翔」でも「おいしそうなご飯」でも「戦闘少女」でも「ファンタジー」でもなくて、意外にもこの視線だったのではないか?
そしてその視線があるからこそ、手描きアニメと正反対であるフルCGアニメであっても、ラセターが指揮を執るディズニーやピクサーの作品にはジブリと同じような誠実さを感じるのかもしれません。今回『LOU』を見て、あらためてそんな事を考えてしまいました。
ここまで来たらもう一歩。あとは片手袋そのものが主題となる作品が作られる日を待ち望んでおります。
先日の別視点ナイトで、二年ぶりに改訂した片手袋分類図を発表致しました。前回の改訂は2015年だったんですけど、二年間で新たな知見がだいぶ積み重なってまいりました。
では早速見て頂きましょう!
(旧) (新)
別視点ナイトでは細かな変更点は説明できなかったので、今日は一つずつ解説していきたいと思います。
①デザイン
まず全体のデザインを見やすくなるように改良してみました。でもこれは、まだまだ駄目ですね。何しろデザインセンスが皆無なので…。例えば第三段階。放置型と介入型共に存在している分類が幾つかありますが(電柱系とか)、これらは一目でそれが分かるようにしたいんですよね。やはり専門のデザイナーさんにお願いするべきなのかな?
②第一段階
ここはあまり変更がありませんが、唯一、今まで「ファッション類」だったものを「ファッション・防寒類」に変更しました。
冬場によく見かける片手袋を「ファッション類」と表現していましたが、
こういう冬場によく見かけるものの、ファッションというより防寒に主眼が置かれた手袋もあるじゃないですか?かといって「ファッション類」と「防寒類」に分けるほどではないと判断し、「ファッション・防寒類」としました。
③第二段階
ここが今回、一番多きな変更点です。今までは「片手袋を大きく二つに分けると、放置型と介入型になります」と説明してきました。でもそれに加えて、例外的に「実用型」というのを設けました。
これは今まで放置型の第三段階に「実用系」として分類していたものです。
例えばこれは海鮮居酒屋の生け簀に置かれていた片手袋。魚を掴んだりする時に使うようです。
これは駐車場のポールに被せてあった片手袋。どうやら車が傷つくのを防ぐ目的があるようです。つまり片手袋の中では例外的に、役割があってわざと片方だけになっているタイプなのです。
「拾った人が存在しない」という事と「片手袋には大きく分けて二種類ある」という説明の分かりやすさにこだわるあまり、今までは放置型に分類してたんですけどやはり無理がありました。これは「放置型でも介入型でもない、第三の片手袋」として分類すべきです。
でもあくまで例外的に取り扱うので、時間がない中で説明しなければいけない時には今まで通り「片手袋には二種類ある」で良いと思いますが。
④第三段階
第三段階は正直、「加えてもよいかな?」と思うものが他にも沢山あるのですが、やはり確実に沢山存在している事が判明するまでは慎重になろうと思います。そんな中で今回追加したのは、まず介入型の「室外機系」。
これは特に冬場、沢山見かけますね。拾った片手袋を置く場所として、室外機の上の平面空間は最適なんでしょうね。
あと介入型と放置型共に追加した「バス停系」。
(放置型)
これは文句なしですね。何しろお金やICカードの出し入れがある場所なので、手袋を落としやすい環境なのです。不思議と電車の券売機付近より多いんですよ。その違いがどうして起きるのか?についてはもう少し考察が必要です。
あと最後にもう一つ。
この最初期の分類図から「放置型雨に唄えば系」として存在していた、雨に濡れてぐちゃぐちゃになっている片手袋。
ただでさえ誰にも見向きもされない片手袋なのに、雨に濡れてゴミ同然になってしまった姿が憐れで意地になって入れてましたけど、やはりこれだけは共通点が「濡れているという状態」にあるので、第三段階の中で浮いてしまってるんですよね。どちらかと言えば第一段階に入れる方がまだしっくりくる、と言いますか。
なので今回、泣く泣く第三段階からは削る事にしました。でもいずれ、「片手袋の状態」だけに絞った別の分類図を作ってもよいかもしれません。それこそ「濡れている」とか「指の形がチョキになっている」みたいな感じで。
さあ、以上が今回の変更ポイントです。この分類図を何年使用していくかは分かりませんが、片手袋研究は一生固定することのない動的なものです。むしろこの分類図をより納得出来るものに改訂できる様、再び頑張っていきたいと思います。
一か月以上前に公開され話題を呼んだMONDO GROSSO『ラビリンス』のPV。
満島ひかりが曲名の通りな香港の町中を怪しく彷徨うこのPV。曲も満島ひかりのダンスも独特の浮遊感があり、なんか中毒性があって何回も見てしまいますよね。ちょっとRadioheadの『Daydreaming』のPVを思い出しました。
さてこの『ラビリンス』、僕もここ一か月何回も見ていたんですが、とんでもない事に気づいてしまったのです。
ちょうど1:40くらいからのシークエンスを見て欲しいのですが、満島ひかりが商店の棚に並べられた何かに気づきます。
これ、何回も繰り返して見たんですが片手袋ですよ!気づいた時は腰を抜かしました!
こちらの映像ではこのシーンの別角度や(1:30くらいから)、このPVの撮影裏を見れるのですが…
世界的に有名な振付家の方と打ち合わせながら撮っている部分(当然振付がきちんとある踊りの部分)と、監督と話し合って割とアドリブ的な動きで撮っていく部分があったみたいです。
で、おそらく片手袋を放り投げたシーンはアドリブだったんじゃないかな?と。
片手袋を見つけた瞬間の満島さんは、なんとなく「ん?」という感じが漂っていて、あらかじめこれを投げることが決まっていたようには見えないんですよね。
それなのに投げ終わった後のこのチャーミング且つ妖艶な表情。満島さん、あんたスゲーよ!
全体的に迷宮に迷い込んだような不思議な感覚が漂うこのPVですが、この片手袋放り投げシーンがある事でそこに若干のユーモアもプラスされている気がします。先程のさう栄舞台裏映像の中でもこのシーンは取り上げられているので、製作者側も気に入っているんじゃないかな?と勝手に思ってます。
今回は「何故満島さんが片手袋を投げたのか?」とか「意図していたのか、偶発的なのか?」といった疑問に明確な答えは出せませんが、いずれにせよ満島ひかりさんは、
「世界三大片手袋放り投げ女性」に見事選ばれました!おめでとうございます!
それにしても、本当に思いもよらぬところで片手袋と出会うから、全く気が抜けませんよ。