結構寒くなってきたというのに、まだあんまり片手袋と出会ってないんですよね。でも流石に12年もやってると焦りは全くありません。いずれバンバン現れてくれるでしょう。
さて、この季節。僕はこんな商品が欲しい!そう、それは「片手袋ガチャガチャ」!
僕、「片手袋そのもの」にフィティッシュな執着があるかというと、未だに自分でも分からなくて。「片手袋がある風景」に惹かれるのかもしれないし、「片手袋を生み出す人間の社会」に興味を持っているのかもしれない。
でも、片手袋ガチャだけはあったら絶対に買っちゃいますね。いろんなタイプの片手袋を並べて眺めてたいですわ。
まあ、それを望んでいるのが僕だけである以上、永遠に叶わない夢ですね!
僕は町で実際に出会う片手袋だけでなく、あらゆる創作物に登場する片手袋も記録している事は度々お伝えしています。
映画や文学や漫画など過去に片手袋が登場した作品は多々ありますが、不思議と絵本も多いんですよね。まあそもそも僕が片手袋に惹かれるきっかけとなったのが、ウクライナ民話の絵本『てぶくろ』でしたし。
「何故片手袋は絵本作家を惹きつけるのか?」という事に関して色々と仮説は立てておりますが、それはあくまで僕の想像。しかし今回、直接絵本作家さんに僕の疑問をぶつけるチャンスが到来したのです!
なんと11月に偕成社さんから、女の子が片手袋を落とすところから物語が始まる『ふたつでひとつ』という絵本が出版されるのです。(作品詳細はこちら)
そして色々な縁があって、作者のかじりみな子さんをお招きしてトークイベントを開催出来ることになりました!
当日はまず僕が片手袋と片手袋が登場する創作物の説明をして、その後かじりさんに『ふたつでひとつ』を朗読して頂いたり様々なお話を伺ったりする予定です。
日時は11/12(日)の19:00から、会場は昨年片手袋写真展とトークイベントをやらせて頂いた谷中の「ひるねこBOOKS」さんです。料金は500円、定員は10名と少なめなので、興味ある方はお早目の予約をお願いいたします。
イベントや予約の詳細は、以下のひるねこBOOKSさんのページよりご覧ください。お待ちしております!
http://hirunekodou.seesaa.net/article/454145355.html?1507888467
一か月くらい前でしたかね?友人の奥様から信じられない片手袋写真が送られてきました。それがこちら。
分かりますか?
これですよ。あのね、さすがに僕も見た事のない片手袋でしたよ。何がどうなったらこんな事になるのか?もう気になって気になって、その日のうちに現場へ直行しました。
ところが…。
既になくなってました。友人の奥様が撮ってから数時間しか経過していなかったのに。でもあの片手袋があった場所は分かりました。
この何かの計器に被されていたんですね。で、この計器は新品に見えました。つまり取り付け工事が終わった後に養生する必要があって被せていたのでしょう。
結論としては、「実用系片手袋だった」という事です。
それにしても、まだまだ未知の片手袋が存在してるんですね。気を引き締めなおしました。
今日は神奈川県近代美術館葉山に行ってきました。なんと今、「マックス・クリンガー版画展」を開催しているのですよ!
世の中には片手袋をモチーフにした作品が沢山ある事は何度も書いてますが、マックス・クリンガーの『手袋』という連作版画はその中でも(現在僕が確認出来た物の中では)最古の作品です。なんと1881年ですからね。
『手袋』は全10葉からなる作品ですが、僕が実物を見た事があるのは2葉目の『行為』だけでした。三年前の事です。
古い美術雑誌などを取り寄せて確認はしていたのですが、ようやく全作品実物を見られる機会がやってきたのです!葉山に向かう京急の車内で僕の胸は既に高鳴っておりました。
ここにやってくるのは本当に久しぶりで、前回はヤン・シュヴァンクマイエル展の時でした。
そして、いよいよですよ。緊張しながら展示室に足を踏み入れました。
ここで少し解説を。マックス・クリンガーは19世紀から20世紀の転換期に活躍したドイツの版画家です(画家・彫刻家でもあります)。シュルレアリスムを予感させるような幻想的な作品を多く残しています。
『手袋』は1881年の作品で、クリンガー自身と思われる男性が夫人の片手袋を拾い上げた事から展開する幻想的な全10葉の版画集です。
…というのがWEBや展覧会のチラシによく書かれているような解説なのですが、今回実物をじっくり何度も見た結果、「幻想的というよりはよく見るような片手袋だよな」という感想を持ちました。ちょっと具体的に書きます。
第一葉『場所』
物語のはじまり。左から二番目がクリンガー。椅子に腰かけてこちらを向いているのが後に片手袋を落とす婦人。
第二葉『行為』
ここで夫人が落とした片手袋を拾い上げるクリンガーが描写されますが、普段片手袋を撮っている僕とそっくり!
第三葉『願望』
恐らく片手袋の持ち主である婦人への思いを募らせるクリンガーの図。僕、日々片手袋のことを考えてこんな感じですから。
第四葉『救助』
ここから物語は飛躍していくのですが、荒波に浮かぶ片手袋を船に乗った男が銛で救おうとしています。船と片手袋を捉えた写真や、かつて釣りをしている時に片手袋を釣り上げてしまった事を思い出します。
第五葉『凱旋』
片手袋が馬車を操っているように見える図。でもこれ、バイクのサドルに置かれた片手袋や、築地のターレーのハンドルに忘れられた片手袋を見るとき、まるで片手袋が運転手のように見える事ってあるんですよ。
第六葉『敬意』
打ち寄せる波こそバラか何かですけど、画面左端の片手袋自体は良く見かける「放置型海辺系片手袋」ですよ。
第七葉『不安』
寝てる時も片手袋にうなされる。僕の日常ですが、なにか?
第八葉『休息』
手袋に囲まれる片手袋。落とし物スペース系の片手袋や、両手袋のそばにある片手袋を思い出します。「休息」というより「孤独」を感じますけどね。
第九葉『誘拐』
得体のしれない鳥が片手袋を奪い去りますが、ずいぶん前に友人が送ってくれた写真をご覧ください。
第十葉『アモール』
天使か妖精と片手袋なんですが、ディズニー映画『ティンカーベル』では妖精たちが片手袋を活用してましたっけ。
以上のようにほぼ全ての作品に、今まで出会った片手袋から思い当たる例が浮かんできたんですよね。
マックス・クリンガーが実際に片手袋を目撃してこの作品の構想が出来上がったのは間違いないと思います。しかし全十葉、それぞれのパターンの片手袋に出会ったはずもなく、やはり想像を広げて制作していったのだと思います。
それでも現実社会に似たような現象が見られるという事から得られるのは、「人間が想像し得ることは、現実に起こり得る」という結論で、クリンガーの作品を語る際に必ず出てくる「幻想的」というキーワードからはやや外れる感想となりました。
今回初めて『手袋』以外のクリンガー作品にも触れてみて思ったのは、幻想という突飛な空想世界を描いた作家というよりは、モチーフとして神話などを用いつつも人間が心の奥底で抱えている不安や暴力性と向き合った作家なのではないか?という事でした。
やはり実物を見られて本当に良かったです。
その後、葉山周辺の海岸を幾つか回り片手袋を探してみました。
それほど多くはありませんでしたが、第五葉『凱旋』 のような片手袋に幾つか出会えました。
最後にたまたま訪れた海岸は、夕日が綺麗な事で有名だったらしく、大勢の人が写真を撮りに来てました。
その中で僕だけは子供用の軽作業類片手袋を撮るのに夢中でしたけどね。
今回「葉山女子旅きっぷ」というのを利用してブラブラしたのですが、これが異常にお得でした。
「品川・新逗子間往復運賃+逗子周辺のバス運賃+提携レストランでの食事(選択制)+提携店舗でお土産(選択制)」、これでなんと3,000円ですからね。
マックス・クリンガー展は11/5(日)までやってますし、皆様にもこの切符を利用した「秋の葉山片手袋旅」をお勧めします!