かたてブログ

片手袋研究家、石井公二による研究活動報告。

『百年の孤独』を読んで

2014-06-18 19:25:48 | 雑感

二ヶ月ほど前、コロンビア生まれの世界的作家、ガルシア・マルケスが亡くなったというニュースを耳にしました。

ガルシア・マルケス、そして『百年の孤独』という名前くらいは聞いた事がありましたが、僕は読んだ事がありませんでした。近所の方と話をしている時にたまたまその話題になったのですが、その方がすぐに『百年の孤独』を貸して下さったのです。

50年近く前に出版され、今まで何度もブームが起きたであろう世界的名作について今さら騒ぎ立てるのも恥ずかしい話なのですが…。とんでもない衝撃を受けました。

『百年の孤独』

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『百年の孤独』はマコンドという架空の村が舞台で、その村を創建した一族の歴史と村の盛衰をおよそ百年に渡り綴った大長編です。

物語の詳細は省きますが(というか不可能)、コップの水の中に大量の砂糖を入れてグルグルとかき回し、やがて砂糖が溶けていくまでの様子を静かに見守っているような小説でした。

故にもし思春期に読んでいたら、「時代という大きな流れの中では一個人の感情や行動など、どうあがいてもやがて消えゆくコップの砂糖粒のようなものだ」という、変な諦念や虚脱感に襲われてしまったかもしれません。

しかし三十も過ぎてから読んだおかげで、「コップの中でグルグルとかき回される砂糖粒はどうあがいてもその力に抗う事は出来ないかもしれないが、やがて出来あがる砂糖水を構成する小さな一要素くらいにはなる事が出来るのだ」という、むしろ優しさに近いような印象を受けました。

時代の進化と共に技術や環境がどんなに進歩しようとも、そこに生きる人間の愚かさや欲望や運命は相変わらず同じ事の繰り返しなのだと思います。しかしその全く同じ営みの繰り返しをガルシア・マルケスが驚くべき緻密さで描写すると、不思議とそこに感動のようなものが生まれてくる。これこそ、マジックリアリズムという事なのでしょう。

つまり『百年の孤独』は溶けていくコップの中の砂糖を客観的に眺めると同時に、グルグルと回り続ける砂糖自身の視点も持ち合わせている。この事に僕は深い感銘を受けたのです。
(※そしてその視点は何となく、村上春樹のエルサレム賞での有名な『壁と卵』のスピーチに通じているのかもしれない。)

さて、何故このような拙い読書感想文を当ブログで綴っているのかというと…。

僕は常々、「もしかしたら、“片手袋を写真に撮る”という行為自体はそれほどオリジナリティがある行為ではないかもしれない」と思っているんです。事実神戸ビエンナーレ以降、「私も撮ってます!」という連絡を幾つか頂きましたし、路上に片方だけ落ちている手袋の事を気にしている人は結構いると思うんです。

肝心なのはむしろ、「片手袋を通じてどのように世界を見るか?世界をどのように切り取るか?」という事の方なんですよね(なんか壮大な話になってしまっているような気がしますが…)。

その際に、溶かされていく砂糖からの視点、卵の視点。これを忘れないようにしたい、と思った次第であります。

思わぬ所にもヒントが隠されているのが、片手袋研究の面白味ですよね!まあ、ガルシア・マルケスは天国で「おい!『百年の孤独』と片手袋、全く関係ねーから!」と怒ってるかもしれませんが。


『わかってくれとは 言わないがそんなに 俺が悪いのか』

2014-06-17 23:59:00 | 写真

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ガードレールがあったので、少し離れた位置から必死に手を伸ばして撮影した今日の一枚。

傍から見れば完全に怪しい人ですよね。まあ、「いやいや、片手袋を撮ってるだけですよ!」って説明しても、さらに怪しい人だと思われそうですけど。

もし警察に呼びとめられて僕の携帯の片手袋フォルダを見せたら多分、

「はい、確保~!」

だと思いますよ…。


『木更津キャッツハンド』

2014-06-16 22:46:23 | 写真

今日は潮干狩りをしに木更津へ行ってきました。

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平日だったので殆ど貸し切り状態!のんびりと楽しめました。

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収穫も、決められた重量の上限ギリギリで大満足!潮干狩りなんて子供の時以来でしたけど、来年からは定例行事にしたいくらい面白かったです。

…しかし。それでも何故か埋まらない僕の心の隙間。ハッキリ言って、どんなにアサリが採れても「滅多に行かない場所で片手袋と出会わないで何が人間か!」という感じですよ。

若干の物足りなさを感じつつ、砂浜を後にしたのですが…。

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しっかりアイツが待ってて見送ってくれましたよ!

『木更津キャッツアイ』のロケ地となって以降、恋人達の聖地となったらしい橋をバックに記念撮影。

これで完璧な休日。


『Kind of Samurai blue』

2014-06-15 23:19:14 | 写真

夜、街灯もない所で片手袋を撮影すると…

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こんな感じで何の写真だか全く分からなくなってしまいます。

しかし先日出会ったオレンジの軍手類片手袋は…

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自ら光を発するような感じで、ボワッと怪しい写真が撮れました。オレンジ色の軍手自体初めて見たので、「オレンジ、すげーよ!」と一人興奮しました。

しかし今日になってみると、オレンジという色は日本人にとって最も嫌な色になってしまいましたね…。