標識や看板、注意書き、果ては謎の文字列まで。町には沢山の文章が溢れていますが、基本的にそれらは、その文言を発した主の姿が見えない状況で発せられています。
しかしその横に片手袋が現れると…。
なんだか急に無機質な文字列が肉体性を帯びてくるように感じられませんか?つまり、「駐車禁止!」と訴えている人が浮かび上がってくるような。
それだけでなく、何故か文章と片手袋が呼応して、様々な物語が浮かび上がってきます。例えば「立小便禁止」の看板の横に置かれた片手袋は、看板を無視して立小便をしてしまった不届き者が浮かんでくるようです。
人間は壁のシミを見てもそこに具体的なイメージを思い浮かべてしまいます。本来全く関係のない星々を結び付けて具体的な図像を描きます。
ホイジンガは人間を「遊ぶ人」と解釈して「ホモ・ルーデンス」としましたが、僕は人間を「関連付ける人」と解釈して「ホモ・リラトゥス(relātus)」と呼びたいですね。まあ、たぶんラテン語として間違ってますけども。