神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] 聖なる怠け者の冒険

2013-07-06 18:24:57 | SF

『聖なる怠け者の冒険』 森見登美彦 (朝日新聞出版)

 

これはSFかと言われれば、トミヒコ氏は立派な日本SF大賞受賞者なので、これもまたSFなのである。

本当に体調不良だったのか、単純に怠けたかっただけなのか、3年ぶりの新作。謎のヒーロー「ぽんぽこ仮面」の正体を巡って、怠け者の冒険が繰り広げられる。

タヌキと偽電気ブラン(テングブラン)、赤い金魚と赤い浴衣の少女、お馴染みのモチーフが他の森見作品とのリンクを暗示する。それだけではなく、下鴨幽水荘も健在だし、主人公が勤める会社は七尾に支社があっても不思議ではない。主人公たちは独立かもしれないが、この舞台はまぎれも無く森見ワールド。

「諸君、土曜日だ」との掛け声とともに、理想的な土曜日の過ごし方が主張される。あるものは恋人同士でひたすら充実した週末にしようとスケジュールをぎっしりと埋める。あるものはただひたすらに怠けようと眠りにつく。そしてまた、あるものは「ぽんぽこ仮面」として善を無し、その「ぽんぽこ仮面」の正体を探る者もいる。

彼らは森見的不思議の糸に引きずられ、ひとつのけったいな結末へと冒険の週末を過ごすことになるのである。

「ぽんぽこ仮面」はキック・アス的な市井のヒーローとして描かれるが、これは彼の跡継ぎを探す冒険でもある。京都を去らなければならない「ぽんぽこ仮面」の気持ちは、跡継ぎとして見初めた主人公へ向かう。この気持ちを考えると、実は感動的な師弟物語なのである。

一方で、これは週末の過ごし方の意味を問う哲学的命題でもある。週末を充実して過ごそうが、怠けて過ごそうが、平等に月曜日はやってくるのである。それならば、どうやって過ごそうが勝手ではないか。いずれ、いやでも月曜日はやってくるのである。

しかし、土曜倶楽部の上位組織が日曜倶楽部であり、その先をずーっといけば、また土曜倶楽部という名の別組織に行き当たるように、土曜日は繰り返しやってくる。しかし、その土曜日は同じ土曜日ではない。こうやって週末は続いていくのである。

と、まぁ何を書こうにも、とにかく森見ワールドの魅力だけで読ませる小説だった。グズグズと鬱屈した非モテな男子学生のルサンチマン成分は減少し、夏の宵山という現実の幻想空間で増幅された脳内幻想成分がダダ漏れとなり、現実をタヌキが化かす如く侵食していく様子を見よ。

しかしながら、ページを開くたびに蛍光ペンで横線を引きたくなるような名言や迷言の数々は、混迷した現代に生きる我々にとって新しい見地と感動を与えてくれるであろう。そしてその驚きがSFにも通じる《センス・オブ・ワンダー》となっているのである。

おお、なんとか諸言につながったぞ。これぞ詭弁論部(笑)

 

 


[コンサ] 2013 J2 第22節 徳島 vs 札幌

2013-07-06 17:29:37 | コンサ

2013 J2 第22節 徳島ヴォルティス 1-0 コンサドーレ札幌 @スカパー

 

久し振りに平日夜の試合。なんと幸運にも全日教育外出だったので、当然のように直帰。見事キックオフに間に合った。

しかし、徳島とあっては札幌サポも行きづらかろうと思っても、どこにでもいるのが札幌サポ。さすが、かつて「俺たちにアウェィは無い」と言い放った男たちである。テレビを点けるといつもの人たちが(笑)

九州四国はゲリラ豪雨のニュース。隣のニンスタは水没してると聞いたのでどうなることかと思ったが、徳島の雨は試合開始前に止んだらしい。(途中でまた降ってきたけど)

この日の札幌はパウロン+ソンジンのCBコンビ。この組み合わせは初めてじゃないか。とにかくパウロンを試してみたかったのか、放り込みを警戒して高い選手を集めたのかは不明。このため、奈良がベンチで櫛引が押し出された。櫛引は奈良と遜色無い上に、サイドやボランチも経験があるから、ベンチに置くなら櫛引だと思うのだけれど、そこは財前監督からの信頼感の差なのか。

さらに、先日ポカった松本もベンチ外で、ゴメス堀米が久し振りのベンチ入り。サイドハーフも岡本ベンチで砂川先発と、メンバーをいじってきた。

前の方の変更意図はわかるが、後ろの方が何となく不安な感じ。ブラジル+韓国+日本で意思疎通とか、コンビネーションは大丈夫だろうか。カギは杉山のコーチングになるだろう。苦手っぽいけどさ。

 

さて試合開始。

雨上がりでスリッピーなピッチのためか、ロングボールの蹴り合いで開始。ボールが徐々に落ち着いて、だんだんと札幌側でボールが回せるようになる。って、これ前節とほとんど一緒の展開。しかも、前半にペースをつかみながらも得点を奪えず。

両チームともシュート数も少なく、2-4。徳島はボールを持てないせいだが、ボールを持ってる札幌がシュートを撃てないのは、最後ライン前でパスカットされることが多すぎるからだ。このあたりも、前節とまったく変わっていない。

目立ったのはパウロンの身体能力の高さ。高いだけでなく、速い。サイドのオープンスペースに出た危ないボールにもしっかり追いつける。ただ、勢い余ってしまうことが多いのが問題。前半イエロー1枚。

このままだと、群馬戦の再現になってしまう。監督もそう思ったのか、ハーフタイムに荒野に替えて岡本を投入。前半、荒野は悪くなかっただけに、惜しい交代。何かを変えたい気持ちだけは伝わる。

しかし、悪い予想は当たり、後半開始早々に失点。杉山は飛びなしながらも触らないという意味不明なプレー。不用意に飛び込むと抜かれてしまうのでシュートを待つという方針はわかるけど、結果的に阿呆っぽいプレーになってしまった。相変わらず、好セーブが多い割に、珍プレーも多い不思議な男だ。

そうやって笑ってるわけにも行かないので、何かを変えたい監督は工藤を投入。気持ちが見える選手だけに、期待がかかる。しかし、ここで替える相手がボランチの宮澤。宮澤はこの試合でブレーキになっていたから仕方がないが、ボランチの代わりにフォワードを入れたのだから、当然システムは崩れる。結果的に、さらに砂川を堀米に交代。それなら最初から堀米入れろよ。もしくは、ハーフタイムに宮澤アウトで、荒野をボランチに下げるとか。

なんだか納得のいかない交代が続き、結局、前半よりもポゼッションも落として1-0で試合終了。試合終了間際にちょっとだけ意地を見せた場面もあったが、パウロンが二枚目のイエローもらって退場してから頑張ったって手遅れな雰囲気。

この試合で良かったと言えば、パウロンの身体能力だけなので、イエロー2枚は本当にもったいない。

あと、良かったのは、堀米、工藤の若手二人が素晴らしい動きを見せた。どうして若手がこれだけやれるのに、ちょっと前まで若手だったはずの選手が一気に劣化する理由は何なんだろう。三上だって、高校生で試合出てたんだぜと言っても、今じゃ誰も信用しないんじゃないか。

心配していたCBのコンビネーションよりも、悪かったのはボランチ同士、トップ同士のコンビネーション。

トップは、なぜかボールを落としたところに相手がいない。横野が前線で受けて、落としても内村が近くにいないので奪われる。内村はサイドや下がり目でボールを落ち着かせることはできるのだけれど、今度は横野がどこに行ったか分からない。

ボランチは特に宮澤が悪いのだと思うけれど、二人とも攻撃参加せずに、後ろでバランスを取ろうとしてしまう。カウンターでボールを奪っても攻撃参加しない。パスを出したら後ろに下がる。パス・アンド・ゴーって、小学生でも知ってるのに。

上里+宮澤って、かつては散々ダメだしされたコンビだけれど、個人の底上げがあってもやっぱり相性悪いんですかね。かつては二人とも攻撃参加して危なっかしいイメージだったのだから、ちゃんとコミュニケーション取れば良くなると思うんだけど。

 

しかし、この日の最大の見せ場は試合後だった。

ゴール裏へ挨拶に来た選手たちへ、いつものヤジや説教も無く、立ち尽くすサポータ。それに対して、上里が何やら自発的にメガホン持ったとかどうだとか。

そして、工藤のtwitterでの発言。

 

 

工藤って、まだ大学生なんだよ。まだプロじゃないんだよ。それでも、この言葉。これからチームと契約しようとしている選手に、こんなことを言わせてはいけない。

コンサドーレの選手が劣化していくのって、やっぱり気持ちなのか。おらが街の選手としてちやほやされて、最初の気持ちを忘れてしまうからなのか。

もし、この発言を見て、何かを感じるならば、同じ気持ちの選手が増えるならば、なにかを変えることが、まだ、できるんじゃないか。