ハインラインにしては珍しい、少女を主人公としたジュブナイル。
「ひどすぎるよ、ハインライン。女子の夢まで木っ端みじん!」なんて帯がついているので、ちょっと期待して読んでいたのだけれど、そんなにひどいとは思わなかった。
そもそもハインラインが女子の夢など理解するわけがなかろう。夏への扉に代表されるように、しょせんロリコン。膝の上に乗っけられる小っちゃくて元気な女の子が好きなだけで、成長した冒険者にはさせてくれないのさ。
実際、この物語でも本当に“冒険”するのは弟のクラークだ。主人公のポディはガンマ線バーストの非常事態においても、仕事として与えられるのは赤ん坊の子守(それはそれで壮絶なのだが)という、いかにもな役回りだ。
やはりハインラインには女子供は黙って見ておれ的な思想があるんじゃないか。でも、決して侮蔑的な視線ではなく、ジェンダー的に女子供の領分とされる分野で力を尽くせと主張しているように見える。
そして、その領分を越えようとした時には悲劇的結末が待っている。
とはいっても、最終的に採用されたものは完全なる悲劇ではなく、復活と成長を予感させるものではあるのだけれど。
要するに、ハインラインはドジっ娘大好きなわけだな。そして、それを勇気ある少年が救うわけだ。これがハインライン的王道であって、主人公が少女に変わろうとも、この構図は変わらない。