『グイン・サーガ・ワールド 8』 天狼プロダクション監修 (ハヤカワ文庫 JA)
グイン・サーガ・ワールド第2期完結。
正篇である五代ゆうのパロ篇は驚天動地の展開。「大丈夫なのかこれ!」と思わず叫んだくらい。栗本薫の創作ノートに準拠しているならばいいのだが、完全オリジナルでこの展開はまずいだろ!
いやいや、冷静になれば、あれが本物のはずはないのだから……。しかし、ここで終わられても困るので、ぜひ第3期も続けてもらわなければ困る。
宵野ゆめはさすが栗本薫の弟子の安定感。ケイロニア篇はそこまでの驚きではないが、遂にその時が来たかとの衝撃。そして、ついにグインとパリスが合いまみえる。が、こちらも、無常にも続く。ぜひ第3期も(略)
グイン・サーガ・トリビュートは一般公募形式。まだ応募数が少ないせいか、応募作すべてに選評が付いているのが素晴らしい。その中では、掲載されなかったものの「夢の中で」村上善行が一番読んでみたい。梗概がいちばんおもしろいというパターンで終わりそうだろうけれども(笑)
そして、「スペードの女王」の最後は“未完”。本当にこれで終わってしまうのか。謎解き編プリーズ。ぜひ第3(略)
「パロの暗黒」 五代ゆう
驚天動地の展開。パロが竜騎兵に再侵攻されるのはともかく、黒幕として出てきたひとは許されるのか? 黒竜戦役篇からの登場人物もひとり死んじゃったけど許されるのか? そして、マルコはどこいった。まさか竜騎兵にやられたとか、許されるのか? いろいろ大問題を抱えながら、ここで終わりは無いでしょう。次に期待。
「サイロンの挽歌」 宵野夢
ついにパリスとグインの対決。かと思ったら肩すかし。ケイロニアの未来を決めるのは運命の天秤か、神々の取引か。シルヴィアに対するグインの複雑な想いも読めて非常に興味深い。
「アムブラの休日」 円城寺忍 (トリビュート・コンテスト)
まだ天真爛漫な頃のシルヴィアに萌えずにはいられない。そして、この先に待つ運命を知れば、そのギャップに泣けてくる。そして、この人の作風は驚くほどグイン・サーガを再現できていると思う。いや、栗本薫的なのか。グインだけではなく、《ぼくらシリーズ》の雰囲気も感じるんだよな。
「ヤーンの紡ぐ光と闇」 青峰輝楽 (トリビュート・コンテスト)
こちらもシルヴィアを主人公に据えた作品だが、なんとなく絵柄の違う同人誌風。
トリビュート・コンテストでは、シルヴィアとフロリーが人気のようで。やっぱり薄幸の女性をなんとしても救いたいという想いが強いのだろうか。個人的には、外伝でも続篇でもないのだから、もっとぶっ飛んだ作品があってもいいと思ったのだけれど。(←お前が書け)
「現実の軛、夢への飛翔」 八巻大樹
中島梓としての仕事は余り読んでいない(ヒントでピントに出てるのも、当時は知らなかったし)ので、栗本薫と中島梓の活動を俯瞰するのは初めてで、なかなか興味深かった。いろいろ、ふーんそうだったのかと思いながら読んだ。