風のBLOG

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Touch~孤独から愛へ 2012秋 九州ツアー 第10週目

2012-12-02 15:34:57 | 全国巡回公演


『Toch~孤独から愛へ』の旅公演は、いよいよ2ケタ代に突入しました! 
福岡県2校、大分県、そして最後は鹿児島県。
4ステージ全てが学校内の体育館、アリーナでの公演でした。

11月27日 光陵高校
  29日 有明工業高等専門学校
  30日 日田三隈高校
12月1日 神村学園

9月下旬、道具や機材の搬入や搬出、舞台の設営などはTシャツ一枚で大汗をかきながら、そして出演者たちは滝のような汗を流しつつ舞台に立っていた頃から季節は移り、早いもので期末考査が終わる時期となりました。
本来ならば、すぐにでも授業を進めたいところわざわざ“芸術鑑賞”の時間を持つ。
一年間、または二年間、三年間に一回、しかもそのうちのたった2時間というほんの短い時間でしかありませんがこの時間を設けるための先生方のご尽力は並大抵ではない事、そしてここには、校長先生をはじめ多くの先生方の生徒さんたちに対する期待や希望、夢、愛情...たくさんの熱い思いが込められているという事をまた、ひしひしと感じさせてくれる一週間でした。


<光陵高校>
開校33年を記念しての公演でした。



↑7時という早朝にも関わらず私たちが学校に到着した時には、もうすでに軍手をはめた約30名もの有志の先生方が今か今かと待ちかまえていて、ものすごいチームワークで搬入を手伝って下さいました!
とても明るい溢れんばかりの先生方の笑顔に私たち、そして生徒さんたちと共に創り出す“時間と場”への期待感を感じ、身の引き締まる思いと一緒にたくさんのパワーと元気をいただきました。


そして終演後には、文化委員を中心に大勢の生徒さんたちが撤去のお手伝いに来てくれました。







<有明工業高等専門学校>
1年生から5年生までという幅を持った高専。
約1000人の学生さんたちで体育館はいっぱいになりました。
高専独特の雰囲気の中、後方の5年生まで終始舞台に集中し、真摯な眼差しを向けてくれていました。







↑公演後、見学を希望する生徒さんたちで埋め尽くされた舞台。







こちらも学生会の皆さんたちが撤去お手伝いをしてくれました。
こうした交流の場は私たちにとっても貴重な時間です。





<日田三隈高校>



↑カーテンコールで生徒会長さんから「愛には色んな形があるんだと思いました。」という言葉をもらいました。


そして、こちらではとっても嬉しい再会が待っていました!
6年前、在学中に風の『肝っ玉おっ母とその子供たち』を観たという演劇部OGの方が来てくれていたのです。



上の写真は現演劇部の生徒さんとの笑顔。
卒業してもずっと演劇部の応援に来ているそうです。
これも“色んな形の愛”のひとつですね。
素敵だなと思いました。




↑ボート部、バレー部、バスケ部の皆さんも元気いっぱいお手伝いしてくれました。



<神村学園>



↑初等部、中等部、高等部までの約1300名の生徒さんたちが校内のアリーナに集まりました。
こちらは何と‘風’の上演は1989年の『ハムレット』から数えて9回目になりました。
1万人以上の生徒さんたちとの出会いがあった事になります。
学校と劇団の歴史を感じながらの公演は、とても自由でのびのびとした感性に包まれていました。






終演後は中等部の弓道部、テニス部のみなさんが大人に比べてまだ少し小さい身体で差後の最後までいろいろなものに興味を持ちながら一生懸命手伝ってくれました。






人間の関係が希薄になってきていると言われて久しい現代。
人と人との出会いの様相がどんどんさま変わりをし、何の接点も持たない、ただの一度も接触した事すらない者同士でも簡単に知り合える。
気軽に、手軽に、その気になれば誰にでもできます。
この実体を伴わない関係や出会いの向こう側にあるものは、人と繋がりたいという思いとは裏腹の矛盾に満ちた深い孤独感。
しかし...だからこそと言うべきか、人が人を求める本質はどんな時代においても変わらないと思います。
生身の人間同士が出会っていくのは、ハロルドとトリートのようにそう簡単なことではないかも知れません。
でも“触れる”という行為を起こしてみた時、ハロルドとフィリップのようにそれは意外に簡単なことかも知れません。
一口に“出会い”と言ってもそれは様々、ひとつひとつは違ったもので特別なものです。
お互いの身体を通し、心が震える出会いの瞬間を共有できるそんな“時間と場”を残すところ2週間半、13ステージ、大事に創っていきたいと思っています。

凱旋公演もぜひお楽しみに!



仲村三千代