『Touch〜孤独から愛へ』の旅3週目に入り、九州もようやく秋の気配。再び宮崎に戻ってきました。
10月26日(月)宮﨑県 宮﨑商業高等学校 同校体育館
10月28日(水)福岡県 久留米信愛中学校・高等学校 石橋文化センター
宮崎商業高校
3年に1度の芸術鑑賞行事、在学中に一度はどうしても見せてあげたい。しかし生徒数840人の大きい学校で今、行事ができるだろうか? 困難の中、先生方が生徒たちのためにどれだけ考え抜かれたかが担当の先生の言葉から伝わってきます。そして体育館に集まってくる生徒たちも公演を楽しみに待っていてくれた様子。
開演前の校長先生の話が心に響きます。「ネットで何でも見られる時代だからこそ、生の芸術に触れて〝いま、ここで〟感じてほしい。普段は忘れている大切なことを思い出す2時間になると思います。」
公演は午前中が3年生と1年生の半分、午後からは2年生と1年生の半分が観劇しました。
広い体育館にゆったりと座って、生徒さん一人一人がしっかり舞台と向き合っていました。
先生が生徒たちの姿を見て、2回に分けての公演を劇団が提案したことに大変喜んでくれていました。
終演後には演劇部の生徒さん約20人が、舞台見学→音響・照明の体験→ハロルド役の柳瀬との質疑応答→舞台撤去のお手伝いと、フルコースで劇団員と交流しました。これから文化祭があるとのこと。皆で頑張ってください!私たちも皆さんと一緒に過ごせた時間がとても楽しかったです。
久留米信愛中学・高校
こちらの学校では過去に『星の王子さま』を2回、2011年に『ハムレット』を上演していて、久しぶりの風の公演となりました。男女共学の学校になってからの公演は初めてです。
せっかくの機会なので、できる限り舞台を近くで見せてあげたいという学校の希望があり、前の方の生徒さんたちにはマスクの上にフェイスシールドを着けてもらいました。生徒さんたちにとってはフェイスシールドを着けることも楽しい体験だったようで、開演前から客席は賑やかでした。
開演直後から生徒さんの反応が驚くほど元気!役者の表情、動き、セリフの一つ一つに笑ったり興奮したり……あまりに楽しそうな声が聞こえてくるので舞台袖にいるスタッフも笑ってしまいます! 後半に向けては、フィリップ、トリートの変化と共に客席の空気も変わっていきました。
カーテンコールでは2人の生徒さんからお言葉をいただきました。「これまで皆で集まる行事がなかったので、とても良い思い出になりました。」「タイトルからは重い内容だなと思いましたが、役者の皆さんの演技を見ていたらとても面白かったです。そして感動しました。」
生徒の皆さんにとっては、学校の仲間と過ごす今だけの時間。今だけの感じる心。少しでも多くの思い出をつくってあげたいと取り組んできた先生たち。公演の場をつくる願いと喜びが一層強く湧き上がってくる今回の旅公演に感謝して、また次の公演地へ向かいます。
文:稲葉礼恵(舞台スタッフ)