風のBLOG

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『Touch~孤独から愛へ』2021年 春 西日本地域巡回公演 第3、4週目

2021-06-15 18:06:27 | 全国巡回公演

Touch班は、前回の和歌山県紀北工業高校の公演に続いて、3ヶ所6回の公演を行いました。

6月2日(水)  [和歌山県] 近畿大学附属和歌山高校・中学校

        9日(水)  [滋賀県] 信楽学園

        11日(金) [福井県] 南越前町教育委員会主催 町内小学校・中学校合同鑑賞

        12日(土) [    〃    ] 南越前町教育委員会主催 一般公演

 

近畿大学附属和歌山高校・中学校

昨年から延期をした学校です。中高合わせて1650人の大きな学校ということもあり、2回に分けての公演でした。会場となった和歌山県民文化会館では、先生方と劇団スタッフとで、コロナ感染予防策としてアルコール消毒をしっかり行い、2000席の客席は一席ずつ空けて生徒のみなさんが座り、二階席までいっぱいに。

 

開場前に担当の先生から「ロビーが混み合うから開場時間に合わせて来るようにと言ったのに、公演が楽しみすぎて生徒が早く来てしまって、開場時間を早められませんか?」との申し出があり、二回とも予定より早く開場となりました。困った顔をしながらも、どこかうれしそうな先生方の顔が印象に残っています。

開演前、校長先生が楽屋にあいさつに来てくださり、「去年から何も行事ができてなくて、生徒たちにはとても寂しい思いをさせてきていました。だから今年こそはと、保健所にも話して、感染予防対策をこれだけやっているなら大丈夫でしょうと、許可をもらって実施にこぎつけました。生徒、教員ともとても楽しみにしています。」という期待と熱意の言葉をもらい、本番に向かいました。

一回目は、中学生と高校一年生の一部が、二回目は高校一年生の一部と高校二、三年生が観劇しました。

食い入るように、舞台にまっすぐ視線を向けて三人の男たちの物語を真剣に味わってくれていました。

公演後に担当の先生も「生徒たちも本当によく見てくれて、きっといい思い出になってくれたと思います。」と仰っていました。

 

信楽学園

昨年9月に上演した「ヘレン・ケラー」に続いての今回の公演です。

今年入園した6人を加えて、23人と職員の方々との贅沢な時間と場所を共有できました。

「ここに来ている子たちはみんな、大人の都合に振り回されてきた子たちなんです。そういう意味では、この『Touch』の登場人物のようなものです。今日、舞台と客席がどんな化学反応を起こしてくれるのかとても楽しみです。」と、園長先生が話してくださいました。

楽しみながらも、何か見定められているかのような、真っ直ぐな視線を終始感じる客席でした。

終演後には、希望者による舞台裏見学を行いました。「あそこの場面が面白かった。」「ここはこうなってるんだ。」と、劇団員と交流しながら、結局全員が残って衣装を着てみたり、小道具を手にとって遊んだりと職員のみなさんも一緒に楽しんでくれました。

翌日の舞台撤去には、作業服姿の園生と職員の方々が手伝ってくれました。

前日の舞台見学の時とはみんな、印象が変わって作業モード。

みんなテキパキ動いてくれて、あっという間に元通りの体育館に。

私たちにとっても、とても楽しい時間を過ごさせてもらいました。またお会いしましょう。

 

南越前町教育委員会主催公演

2019年のヘレン・ケラー以来の公演です。前回、同会場のロビーで、劇団の大切な友人であり、福井県出身の写真家、向瀬杜子春氏の写真展を行いました。

今回は、「ふるさと越前&インド写真・絵画紀行」と題して、向瀬氏を含めた、福井県在住の4人写真家、画家による4人展、そして…

劇団風の『トビウオの森~夢をつなげ、わたしたちの未来をのせて、トビウオドリームプロジェクトinふくい』という全国の子どもたちと世界の人々を、夢を書いた折り紙のトビウオでつないでいこうという企画もロビーで同時開催で行われました。

 

『Touch』の公演は、11日の午前の回が、町内4校の小学校(今庄小、河野小、南条小、湯尾小)の5、6年生185人が鑑賞。

ケラケラと楽しそうな笑い声が聞こえたかと思うと、物語が進むにつれて、ジッと集中していく児童たちの様子が印象的でした。

 

午後は、町内3校の中学校(今庄中、河野中、南条中)の生徒294人が鑑賞しました。舞台上で起こる出来事を見逃すまいと、食い入るように見てくれていました。カーテンコールでは、温かな拍手が会場に響き渡りました。

各回の終演後には、密を避けるために、学校毎に舞台見学を行いました。限られた時間のなかでしたが、楽しんでくれているようでした。

児童生徒のみなさんひとりひとりのなかに、何か残るものがあってくれたらと思います。

 

翌日の12日には、一般公演が行われました。

小学生からご年配の方々、県内の高校の演劇部の生徒さんなど、事前の予約数を上回り、95人の方が観劇してくれました。

カーテンコールでは、見に来てくれた福井商業高校の演劇部の生徒さんからサプライズで花束のプレゼントをいただきました。

この日も、終演後に舞台見学兼交流会が行われました。

「昨日見た孫が家に帰ってきて、お芝居楽しかった。と聞いたので見に来ました。」というおじいちゃん、おばあちゃん。

「なかなかこういう本格的な演劇を見る機会がなくて。今日は感動したし、勉強になりました。」と目を輝かせる高校生。

そして、前日の公演を見た湯尾小学校の五年生の女の子が、ひとりで自転車に乗って見に来てくれていました。出演者ひとりひとりにお手紙まで。

主催した教育委員会の担当の方も「こういうコロナの状況であっても、これだけの人が見に来て、楽しんでくれました。本当にやってよかったです。」と、うれしそうに話してくださいました。

この南越前町での二日間のなかだけでも、たくさんの出会いがありました。

 

未だコロナウイルスの影響は続いています。しかし、一年前の春の巡回公演は、西日本、東日本ともに一校も実施することができませんでした。だからこうして両班とも、先生方や教育委員会の方々と劇団とが、生徒たちのためにと熱意と知恵を出し合って公演が行えていることに喜びを感じています。

そして、こうしてブログを更新できることもうれしい限りです。

劇団の、この小さな発信が、このブログを見た人たちの励みや勇気につながってくれればと思います。次の更新もお楽しみに。

 

文:フィリップ役  佐藤勇太