さぁ、『ジャンヌ・ダルク』九州ツアー2週目が始まります。
今週はどんな出会いがあるのでしょうか。
10月21日(月)長崎県 海星中学校・高等学校 長崎市民会館
22日(火)福岡県 中村学園三陽中学校・高等学校 ももちパレス
23日(水)福岡県 中村学園女子中学校・高等学校 ももちパレス
24日(木)福岡県 武蔵台高等学校 同校体育館
海星中学校・高等学校
2022年に上演した「ヘレン・ケラー」以来、5回目となる風の公演でした。
会場となる長崎市民会館は約1000人の生徒たちで埋め尽くされ、袖で控えている私たちにも大きなエネルギーが伝わってきました。
開演直前に静まりかえった客席は、物語のはじまりと共に弾けるような拍手で役者の一団を迎え入れてくれました。
そして初めは笑い声が聞こえていた客席も物語が進むにつれ、じっと観て聞いてくれる生徒たち。カーテンコールで徐に立ち上がり拍手をしてくれた1人の男子生徒、あの子は何を感じ想ってくれたのでしょう。
また、代表の生徒が壇上に上がり感想を伝えてくれました。
「1人の少女がフランスのために優しさと真面目さと勇気で声を上げるその姿に感動しました。また音響、照明の使い方に魅了されました。」
1000人を超える人たちの前で、その時に感じた事を力強く言葉にしてくれたこの生徒の勇気に、僕は感動です。
終演後にジャンヌ役の髙階ひかりと行われた座談会には、演劇部所属の中学1年生2名が参加してくれました。
男の子は将来、俳優になりたくて演劇部へ、女の子は単純に興味があったから演劇部に入った、とのこと。
「どうしたら、感情を出して演じることができますか。」
「演じてて本当に涙がでることは?嘘泣きってどう演じますか?」
など様々な質問を投げかけながら髙階と真剣に楽しく対話していました。
2人とも度胸がすごくて、先生が書いた2人芝居の台本を演じているそうです!この機会がふたりの演劇に繋がると嬉しいです。
中村学園三陽中学校・高等学校
高校では2012年の「Touch」以来4回目、中学校では2021年「ヘレン・ケラー」以来5回目となる学校で、「ジャンヌ・ダルク」を上演するのは初めてです。
生徒が入場すると、客席は少し穏やかな空気が流れていました。
開演し客席から役者たちが登場すると驚きと関心の眼差しが同時に向けられます。
背もたれに深くもたれかかりながら観る生徒や最前列には裸足の生徒たち、終始リラックスして観てくれていたように感じます。
またこの公演では、約30名の保護者の方々が足を運んでくださり、その中には小さなお子さんもいて上演中によく通る可愛い声が聞こえていました。物語に登場する大きな人形(死者、ペスト、飢え)が怖かったと言っていましたが、最後までよく観てくれていたそうです。
終演後、役者たちがお見送りをしにロビーで待っていると、会場を後にする生徒たちは少し恥ずかしがりながら、はたまたとても元気な声で「ありがとうございました!」と声をかけてくれました。
中村学園女子中学校・高等学校
この学校も「ジャンヌ・ダルク」は初めての上演で、2015年「ヘレン・ケラー」以来の風の公演となります。
午前と午後2回の公演で、午前の部では中学生と高校3年生が観劇してくれました。
今、何が起こるのか、どんな言葉が交わされるのか、その一瞬を逃さんとする真剣な眼差しを舞台上で感じました。
カーテンコールで代表の生徒さんが「お話も面白かったですが、衣装、セットにも凝っていて迫力がありました。」という言葉と共に可愛らしい黄色い花束をジャンヌ役の髙階ひかりに手渡してくれました。
バックステージツアーでも真剣な眼差しは続き、舞台上で道具や衣装、人形たちに触れて、感じた事を話してくれるその言葉に私たちはとても力をもらいました。
午後の公演に向けた準備も手伝ってくれて、物語の象徴となるブナの木の枝を付けている生徒たちに「次の子たちはあなたたちのつくったブナの枝、木を見るんだよ」と伝えると、一本一本の傾きや配置を考えながら丁寧にブナの木を仕上げてくれました。ありがとうございました!
そして、午後の部は高校1、2年生の観劇です。
開演と同時に役者たちが客席に飛び込むと、音楽に合わせて明るい手拍子で迎えてくれる700人を超える生徒たち。
オープニングから役者と生徒たちのやり取りで盛り上がります。場面場面でとても素直に反応してくれました。
感想を述べてくれた代表の生徒は「本格的な演劇を見る機会が少ないのでとても面白かったです。」と言葉にしてくれました。
劇団員から聞いた話によると、1番前に座っていた生徒が「シャルルにムカついて見ていられかったから寝ようと思った」とのこと。
シャルルに奮い立つ勇気を与え、国王となるよう導いてくれたジャンヌを見捨てた事にムカついたのか、はたまたそれを演じる役者にムカついたのか。。。
どちらにしても、舞台上で起きている事や登場人物に共感し、ひとりひとりが当事者となって感じてくれた公演だったように思います。
武蔵台高等学校
芸術鑑賞行事で5年以上演劇を行なっておらず、劇団風としても初めての公演となった高校です。
前日に舞台設営のために学校に到着すると、バトミントン部とバスケ部のお手伝いがありました。
溢れんばかりのエネルギーと息の合った元気な掛け声で、ジャンヌダルクの舞台道具が次々と体育館に運び込まれていきます。
その姿と声に、私たちも励まされ力をもらいました!
本番当日、この日は涼しい1日でしたか、会場となる体育館は熱気が渦巻いていました。
開演と同時に役者の一団が会場に入ると大きな拍手で迎えられ、最前列から最後尾まで力強く真剣な眼差しを感じました。
カーテンコールで感想を述べてくれた生徒は「世界史をとっていなくても、中世のこの時代を理解できた。とても楽しい時間をありがとうございました」と、お話の内容と共にその時代に生きた人たちのことも感じてくれたようです。
片付けにもお手伝いがあり、有志の生徒たちが大勢集まってくれました。
さっきまで自分たちが観ていた舞台道具に触れ「へぇー」と感心しながら、息の合った動きで片付けられていきます。
前日の準備から当日の本番、夕方の片付けまで沢山の生徒たちと交流することができた公演となりました。
本当にありがとうございました!
ジャンヌ・ダルクと同じ年齢かそれに近い生徒たちはこの物語に触れ、何を見て聞いて、感じ、考えてくれるのでしょうか。
その時に生徒たちの中で何かが生まれるのか、或いは何年後かになるのか、それは人それぞれだと思いますが、
終演後に見せてくれるみなさんの表情はとても素敵です。
そして伝えてくれる言葉ひとつひとつとその表情が、私たちの次の一歩へと繋がります。
来週はどんな出会いが待っているのか、ジャンヌ・ダルクの一団の旅公演は続きます。
文:賀來俊一郎(シャルル7世役)