中国の古代は「戦争の歴史」と言っても過言ではありません。広い土地に乱立した小さな国々が領土を広げるために周辺の国々と絶えず戦っていました。そのために発達したものが武器の製造法と병법(兵法)です。
中国の兵法で最も有名なのは,紀元前500年ごろの中国春秋時代の軍事思想家・손무(孫武)の作とされる呉の「손자병법(孫子兵法)」です。そしてこれよりも前に出てきたと推定される兵法が「삼십육계(三十六計)」です。
三十六計は,戦争や政治において用いられる36の計略のことで,戦争において勝利を収めるためには,あらゆる手段を講じる必要があるという考えに基づいて書かれています。そのため,中には「敵を欺く」「敵を引き離す」「敵を混乱させる」など,一見すると「逃げる」ように見える計略も含まれています。
三十六計の第一計は만천과해(瞞天過海)です。これは,敵の目を欺き,海を渡るという意味です。具体的には,敵が予想しないような行動をすることで,敵の警戒を解き,油断を誘う戦略です。例えば,敵の目をくらますために偽装工作を行う,敵の注意を引き付けるために大規模な攻撃を行うなどの方法があります。
第二計は위위구조(囲魏救趙)です。これは,강한 적은 분산시켜 쳐부수다(強敵を分散させて打ち破る)という意味で,強敵の背後を突いて,倒す戦略です。例えば,強敵の補給路を断って,その戦力を弱体化させるなどの方法があります。
第三十一計は,われわれがよく知っている미인계(美人計)です。つまり,色仕掛けで相手の戦意を削ぐ方法です。
そして,第三十六計は,주위상책(走爲上策)です。삼십육계주위상첵(三十六計逃げるにしかず)と言われているように,形勢が不利になったときは,逃げることが最善の策であるという意味です。韓国語では삼십육계 줄행랑と言います。줄행랑〈-行廊〉とは,줄と행랑の合成語で,もともと「大門の間に糸のように長く続いている門廊」を指します。張り出し門から見ると,左右に長く続いている行廊がまさに줄행랑です。その家の召使たちが主に住んでいたので「大門の左右にある召使の部屋」と定義されます。そして줄행랑을 치다というと,俗に「逃亡する」「高飛びする」という意味になります。
この삼십육계の最後の計略である「走為上」が,転じて「三十六計逃げるにしかず(形勢が不利になったときは,逃げることが最上の策である)」という故事成語として使われるようになりました。
この計略は,現代でもビジネスや政治など,さまざまな場面で応用されています。
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