Form-A と言われる一般特恵原産地証明書は貿易関係者ではなじみが多いですが、近年、EPA締結が進展して、経済連携協定の「特定原産地証明書」が見られるようになってきました。
そもそも、原産地証明書の発給については、「1923年の11月3日にジュネーブで署名された税関手続の簡素化に関する国際条約」(ジュネーブ条約)11条に基づき、条約を批准した国がそれぞれ発給機関を定めて発給を行わせることになっています。
この発給機関は、日本では商工会議所が位置づけられていますが、アジアでは税関が発給したり、多くのヨーロッパ諸国では輸出者が自ら作成することもできます。この違いは、大きくは社会構造や規範の違いが有るんでしょう。
そこで、2009年2月に署名の日スイスEPAでは、日本では始めて「輸出者」が自ら証明書を作成できる制度が導入され、3月10日にそのための根拠を法律で規定するため「経済連携協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律の一部を改正する法律案」が公表されました。
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今回は、この法律案の内容を、制度の趣旨は違いますが関税法のAEO制度である「特定輸出者」と対比しながら、概観してみます。
1 第1種、第2種 特定原産地証明書
EPAの特恵税率を受けるための特定原産地証明書に表題の2種類が出来ることになります。
関税法は、このように数字をつけて識別すると言うことはされていません。これは、関税法は
全ての輸出入をカバーしていますから、何かそこから切り出して特別の概念を作るためには「特定」や「特例」を付加して、その他一般のものと区別するんでしょう。
この第2種特定原産地証明書が、輸出者が自分で作成するもので、第1種は今までと同様に商工会議所が発給するものです。
2 自己作成できる者の認定
第二種の証明書を自己作成したい輸出者は、経済産業大臣の「認定」を受ける必要があります。
関税法の特定輸出者は「承認」を受ける必要があります。関税法での「認定」と言う言葉は第79条のAEO通関業者の条文で「認定」を受けるとされています。
承認と認定、かずさんは詳しく知りませんが、法律上の違いが有るんでしょうね。
そして、原産地証明書は「経済産業大臣」の認定ですが、特定輸出者は「税関長」の承認で財務大臣の承認ではありません。
ちなみに、法人税法の税の徴収や承認権限は、税務署長で、国税局長でも、国税庁長官でも財務大臣
でもありません。
これも面白いですね。脱線しますと、
経済産業省は、省―地方経済産業局―事務所が組織のラインで、こういう実務を大臣権限にしています。
財務省は、省―各税関―税関支署・出張所のラインで、中間に位置する税関長に権限を与えています。また、国税関係は、省―国税庁―各国税局―各税務署 のラインで、最も第一線の税務署長に権限を与えています。
3 欠格
自己作成できる者になれない欠格条項があります。
原産地発給の法律に違反して罰せられたり認定取消を受けてから、「1年経過していない者」は認定を受けられません。(法律の第7条の3)
関税法の特例輸出者の承認要件(関税法第67条の4)は、同じく罰せられたり、取消されると、3年(又は2年)は承認を受けられないとされています、よりレベル高く法益を求めると言うことでしょうね。
4 認定の更新
自己作成できる者の認定は、「期間」があるようで定期的に更新をする必要があります(法の第7条の5)。この期間は省令で定めるようで未だ明らかになっていません。
関税法の、認定通関業者の「認定」には、このような期間はなく、更新も有りません。認定なら必ず期間があるということでもなさそうです。ただし、元の通関業の許可については、「条件を附すことができる」(通関業法第第2項)とされ、実務的には許可期限をつけていますから、更新が発生しています。
5 登録免許税と更新料
自己作成できる者の認定を受けるためには、9万円の登録免許税が必要です。税金なんですね!
また、期間は分かりませんが更新時には「手数料」が必要です。
関税法の特定輸出者の承認や、認定通関業者の認定にはこんな税金や手数料は不要です。これはちょっと驚きですね。自分で証明書を発給できるから、税金が必要になるんでしょうか?
税や手数料の世界も、法的に整理するための理屈があるんでしょう。
6 義務
自己作成できる者の認定を受けると、書類の保存義務とかの義務が発生します。まっ、これは特定輸出者でも同じですね。
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2008年10-12期の実質GDP改定値は年率12.1%マイナスと報道されましたが、サラリーマンの月給がGDP連動型だと大変な事態ですね(苦笑)。
良き週末をお過ごし下さい。
そもそも、原産地証明書の発給については、「1923年の11月3日にジュネーブで署名された税関手続の簡素化に関する国際条約」(ジュネーブ条約)11条に基づき、条約を批准した国がそれぞれ発給機関を定めて発給を行わせることになっています。
この発給機関は、日本では商工会議所が位置づけられていますが、アジアでは税関が発給したり、多くのヨーロッパ諸国では輸出者が自ら作成することもできます。この違いは、大きくは社会構造や規範の違いが有るんでしょう。
そこで、2009年2月に署名の日スイスEPAでは、日本では始めて「輸出者」が自ら証明書を作成できる制度が導入され、3月10日にそのための根拠を法律で規定するため「経済連携協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律の一部を改正する法律案」が公表されました。
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今回は、この法律案の内容を、制度の趣旨は違いますが関税法のAEO制度である「特定輸出者」と対比しながら、概観してみます。
1 第1種、第2種 特定原産地証明書
EPAの特恵税率を受けるための特定原産地証明書に表題の2種類が出来ることになります。
関税法は、このように数字をつけて識別すると言うことはされていません。これは、関税法は
全ての輸出入をカバーしていますから、何かそこから切り出して特別の概念を作るためには「特定」や「特例」を付加して、その他一般のものと区別するんでしょう。
この第2種特定原産地証明書が、輸出者が自分で作成するもので、第1種は今までと同様に商工会議所が発給するものです。
2 自己作成できる者の認定
第二種の証明書を自己作成したい輸出者は、経済産業大臣の「認定」を受ける必要があります。
関税法の特定輸出者は「承認」を受ける必要があります。関税法での「認定」と言う言葉は第79条のAEO通関業者の条文で「認定」を受けるとされています。
承認と認定、かずさんは詳しく知りませんが、法律上の違いが有るんでしょうね。
そして、原産地証明書は「経済産業大臣」の認定ですが、特定輸出者は「税関長」の承認で財務大臣の承認ではありません。
ちなみに、法人税法の税の徴収や承認権限は、税務署長で、国税局長でも、国税庁長官でも財務大臣
でもありません。
これも面白いですね。脱線しますと、
経済産業省は、省―地方経済産業局―事務所が組織のラインで、こういう実務を大臣権限にしています。
財務省は、省―各税関―税関支署・出張所のラインで、中間に位置する税関長に権限を与えています。また、国税関係は、省―国税庁―各国税局―各税務署 のラインで、最も第一線の税務署長に権限を与えています。
3 欠格
自己作成できる者になれない欠格条項があります。
原産地発給の法律に違反して罰せられたり認定取消を受けてから、「1年経過していない者」は認定を受けられません。(法律の第7条の3)
関税法の特例輸出者の承認要件(関税法第67条の4)は、同じく罰せられたり、取消されると、3年(又は2年)は承認を受けられないとされています、よりレベル高く法益を求めると言うことでしょうね。
4 認定の更新
自己作成できる者の認定は、「期間」があるようで定期的に更新をする必要があります(法の第7条の5)。この期間は省令で定めるようで未だ明らかになっていません。
関税法の、認定通関業者の「認定」には、このような期間はなく、更新も有りません。認定なら必ず期間があるということでもなさそうです。ただし、元の通関業の許可については、「条件を附すことができる」(通関業法第第2項)とされ、実務的には許可期限をつけていますから、更新が発生しています。
5 登録免許税と更新料
自己作成できる者の認定を受けるためには、9万円の登録免許税が必要です。税金なんですね!
また、期間は分かりませんが更新時には「手数料」が必要です。
関税法の特定輸出者の承認や、認定通関業者の認定にはこんな税金や手数料は不要です。これはちょっと驚きですね。自分で証明書を発給できるから、税金が必要になるんでしょうか?
税や手数料の世界も、法的に整理するための理屈があるんでしょう。
6 義務
自己作成できる者の認定を受けると、書類の保存義務とかの義務が発生します。まっ、これは特定輸出者でも同じですね。
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2008年10-12期の実質GDP改定値は年率12.1%マイナスと報道されましたが、サラリーマンの月給がGDP連動型だと大変な事態ですね(苦笑)。
良き週末をお過ごし下さい。
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