かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

636 適度な緊張関係を背景にした、自己是正を求める行政への転換過程か・・。

2009-04-14 | 関税法一般
 輸出入業務に携わっている方とAEO制度など税関行政の思想や手法の変化について話す機会がありました。

 行政庁の業務に当たっての一般原則は、公平性+公共性+安定性が基本項目でした。

この発想からは、輸出入者を「質」によって輪切りにして、通関手続きや処理面で優遇策を設けるとの考えは、ややもすると大企業優遇策と反対意見が出ることにもなります。誰にたいしても同じように対処することが善とされる時代が長く続いてきました。

 しかし、この三つの基本項目に、近年は(効率性+説明責任)を付加する考え方に変化しています。

  この考え方を背景に、税関の伝統的な手法は、個々の輸出入貨物に着目して自らが審査や検査をして、発見される規範に違反する者に対しては権力を発動して刑事罰、行政罰、行政処分、行政指導を行なうというものでした。

ところが、近年、税関業務の対象となる輸出入貨物や入国者が増えるとともに、その役割は(関税+密輸入の取締り)から、(密輸出入の取締り+テロ対策+知的財産権侵害物品対策+食品衛生・環境対策・大量破壊兵器などについての他法令確認)と守備範囲が大きく広がっています。

 一方、税関職員数は、財政改革でそう増やすことは出来ない状況が続き、税関の事情としても、軽微な違反の摘発に限られた行政資源を投入したくないとの状況となりました。

 このような状況は、日本だけではなく、程度の違いは有るものの世界の主要国税関共通の課題で、その解の一つとして、「企業にコンプライアンスプログラムの実行を求め」、「税関の負担を軽減して」、「プログラムを実施する企業には一定の優遇を行なう」と言うものでした。

 この発想には、「税関はいちいち瑣末な誤りを探すための審査や検査は行なわない」から、「間違いは企業が自ら正すことが重要」との意識があるように想像できます。

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日本社会は、行政と企業が、お互いをパートナーとして敬意を払いつつ、適度な緊張関係の中でWIN/WINを目指すということには、あまり馴れていないように感じられます。

日本のAEO制度が成熟するためには、それなりにこなれる時間が必要なんでしょう。

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 関東から以西は、ソメイヨシノの時期が終わり、八重桜の頃とな、日当たりの良い花壇では、つつじが咲き出しました。

通勤の電車の窓から見えるマンションのベランダに鯉のぼりが泳いでいます、いつの間にか季節が変化しています。




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2 コメント

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Unknown (Matrix)
2012-09-28 04:46:23
Kazusann様
こちらに書いておられましたね。まさにおっしゃられるとおりです。その解の一つがAEOであったわけです。
今後どのようにすべきか全くわかりませんが、例えば、ベルギーの地下鉄のように、改札は設けないで、定期的に大検査をやり、その際に違反をしている乗客から多額の罰金をとる、という考え方も議論しないといけないかもしれません。どうお考えでしょうか。
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Unknown (kazusann)
2012-09-29 20:13:33
Matrixさん

 新橋、大崎、竹橋あたりを右往左往の出張があってレスが遅くなりました。

 AEO制度の優遇とルールを守らなかった場合の対応はむつかしいですね。
アメリカでは、C-TPATのハイレベル者にも、貨物情報の事前提出を免除してなかったのではと記憶しています。
一般に、アメリカでは、ルール違反には高額の罰金のように厳しいようですが、日本の法制度や社会構造では、同じことができるのか疑問があるような気がします。


AEO者には思い切った簡素な手続きで、ルール違反者にはその剥奪をダイナミックにできるんでしょうか?

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